第3皇子の正体
「ラスビイ、いや第3皇子!」
メガスの言葉に皆何が起きてるのか分からない気持ちになった。
「え? 第3皇子⁉️」
これには聴衆席の諸侯まで違和感を感じ騒ぎになった。
メガスは言う。
「そうだ。ラスビイと言うのは仮の名。本当の名前はアスタロト・ハーディング。父オロゴンの隠し子で私の義弟だ」
「な⁉️」
「隠し子?」
ラスビイのにやり笑いが一層悪魔的になっていた。
メガスは続ける。
「普段は城におらず身分を隠して城の外で生活し、本当に我々に何かあった時の為の切り札として待機しているのだ。くっくっく」
マライは言った。
「私と同じように……」
「か、隠し子」
アスタロトは初めて話した。
「ふっふっふ、ヘリウムのお人よし諸君、見事に僕がシュトウルムからの亡命者だと信じ切った様だね、君達のお人よしぶりには涙が出るよ」
「くっ!」
メガスは言った。
「では彼に君達と戦ってもらう。そして彼が勝った暁には私に代わり彼が真の王となる」
「くっ、そんな事」
「彼には絶対に勝てん。彼が真の悪魔王だからだ」
「何?」
メガスは続ける。
「そう、悪魔王は昔自らの存在を2つに分けた、肉体と霊体だ。私に憑依しているのが霊体。そして彼こそが悪魔王の肉体なのだ」
「な、何だって?」
「そして霊体と肉体が合わさった時真の悪魔王が誕生する。私に憑依した霊体よ、今こそアスタロトの肉体と1つになり給え!」
そう言うとメガスの体から悪魔王霊体が抜け出した。
メガスは元の姿に戻った。
そして霊体はアスタロトに憑依する。
すると彼の肉体が変化し始めた。
「あ、あううう」
アスタロトはうめいた。
吐きそうになりながらまず顔は変形した。そして背丈が足を中心に伸び始めた。
「な⁉」
絶句するシギア達。
そしてアスタロトは小柄な体から変貌して180以上のスマートかつ筋肉もある20歳程の成人の体になった。
それだけではなく今度は服も破け全身肌がグレーになって行った。
「悪魔の血が全身に回っているのだ」
そして体がグレー色となり、体のあちこちに約直径10センチほどの紫と赤の痣が出来た。
「ああ、まさかこんな」
「ふっふっふ」
アスタロトは初めて笑った。
アスタロトは言った。
「そう、この私こそがメガスを継ぎ王となるアスタロトだ。私が王になった暁には単にシュトウルムが世界制覇するだけでない、魔界から呼び出した悪魔達によって悪魔の支配が始まるのだ。
「そんな事俺達がさせない」
シギアは一応そう言ったが、いつもの勢いがない。
本当に押されている様だった。
「お、俺達だって」
レオンハルト達も立ち上がろうとした。
しかしマーティラスは言った。
「か、勝てない」
「何を言うんだ!」
「あいつは強い、とてつもなく。メガスも比較にならない程。ここは撤退するしかない」
「しかし」
シギアは言った。
「分かった。俺1人で戦う」
マーティラスは止めた。
「自分の力を過信するな!」
「いや、過信じゃない。女神様の力を信じているんだ」
「さあ来い! 皆には手を出すな。俺1人で相手だ! 皆逃げてくれ」
「おっと逃げたら聴衆の傭兵たちがお前達を襲いワンザやマライも無事で済まんぞ」
「よし、行くぞ!」
とシギアは勢いよく走り込んでアスタロトに切りかかった。
ところがアスタロトは腕で剣を防御し止めてしまった。
「ぎぎ……!」
しかしシギアが精一杯なのにアスタロトは無表情のままだ。
逆に腕で押し返され、いきなりパンチを受けシギアは吹っ飛ばされた。
「す、素手で!」
「鋼鉄か⁉️」
「う、うぐ」
しかしシギアは立ち上がった。
「負けんぞ、この剣と女神様からもらった力、そして皆の信頼がある限り。もうすぐヘリウムに平和が戻るんだ」
そう言って立ち上がったシギアは再度切りかかった。
しかしまた腕で防がれた。
そしてあざのような跡から瘴気が噴き出した。
これをまともに食ってしまった。
「がう」
苦しむシギアに今度は跡から瘴気が剣の様に伸びてシギアを刺した。
「ぐああ!」
「ほう、猛毒の瘴気を受けて良く持ってるな」
「くっ!」
「焦ったシギアは闇雲に剣で突きまくったが全て防がれた。
女神は前に出た。
「私が悪魔王の力を抑えます! 私も幽体だから幽体の悪魔王を!」
「女神ごときが!」
女神は手をかざしアスタロトに聖なる力を送った。
アスタロトは耐える。
女神は渾身の力を込める。
競り合いが続く。
しかしアスタロトは力を逆流させた。
その力で女神は吹き飛ばされた。
そして壁に叩きつけられた。
「女神様が死んだ⁉」




