悪霊兵バロナバ
シギアは剣を構えながら恐る恐る悪霊兵と対峙し様子を見ている。
隙がある様でないような構えと雰囲気、覗き込む様な目線の悪霊兵。
シギアは隙を見せない様にじりじりと下半身に重心を置き横移動した。
悪霊兵も不気味に合わせる様に付いて来る。
目線が合う。
クリウも心配する。
敵の目の圧力に負けたシギアはいきなり大味な攻め、しかも「うおお」と声を上げながら切りかかってしまった。
これを悪霊兵は見透かす様にバックステップで回避しすかさず反撃して来た。
速く重いだけでなく不気味さも感じさせる剣筋。
防いだシギア。
2人の剣が交じり合う。
シギアは何とかバインドから離れた。
しかし間が空くと一瞬の振りかぶり切りがシギアを襲った。
とらえきれない速さだ。
6大幹部より速い。
これは何とか防げたものの、次に反応しきれない速さで首を狙う水平上段切りが放たれた。
恐怖を感じたシギアは肩口を狙う45度の袈裟切りを避け切れず肩から出血しさらに瘴気で額を切られた。
これが目に入る。
「あっ!」
クリウは動揺した。
「は、早く回復させないと!」
しかしクリウが飛び出そうとするのをシギアは何とか手で待ったをかけた。
「でも」
「血が出たって剣は持てるし」
血を流すシギアを悪霊兵はさらに覗き込む様な目で見た。
「はっはっは! 血が出ながらどうやって勝つ気だ」
メガスは嘲笑った。
しかし
「うおお!」
とシギアが腰を落としながら力を入れると羽根が出た。
「ぬっ⁉」
と言う目で悪霊兵は見た。
メガスはまた笑った。
「それで飛んで空中攻撃を仕掛けるつもりか」
「そんなナンセンスな攻めはしないさ」
と言い見せる様に左右移動して見せた。
「この羽根は高速移動の効果もあるんだ」
そしてアレーナはシギアに高速移動の呪文を使った。
2重にスピードアップがかかった。
メガスは動じない。
「それで少しはパワーアップしたか、しかし女神に力をもらって始めて壁に当たったか? しかも悪霊兵に苦戦しているが悪魔王様ももうすぐ戻って来る」
「分かってるさ。それで力をもらう気か」
「その時まで持ちこたえられればだがな」
「倒して見せる! もう最後なんだ」
「果たしてそうかな」
「?」
またシギアはラスビイが何故か笑っているのに気づいた。
シギアは戦い方を再開した。
動体視力や身体能力が上がりついて行けるようになった。
「行けるぞ!」
初めて悪霊兵のスピードを上回ったシギアは左上から右下へ46度の切りおろしをした。
防がれたが相手は動揺していた。
次に左の腹に打突したがかろうじて防がれた。
シギアは言った。
「女神様が言った様にもうすぐ新しい剣が届くんじゃ」
高速バックステップしたシギアは翼の力で前への強い瞬発力を伴う突きを放った。
これは防がれた。
相手もさるものと感じながら血は額から流れる。
クリウは流石に心配した。
しかしまた大丈夫サインを出した。
別の悪霊兵の剣から瘴気が発せられクリウは肩を貫かれた。
シギアも流血で目をやられ苦しんだ。
悪霊兵の攻撃が続く。
左斜め垂直に近い85度の剣。
左上、さらに反対の右上に83度の剣。
ねぎを刻む様に細かく鋭い剣を放つのにシギアは苦しんだ。
剣から出る瘴気でさらに額と膝を切られた。
さらに兵は明らかに羽根を狙ってきたが羽根は頑丈で防げた。
メガスは笑った。
「シュトウルムの伝説の剣士バロナバの力を見たかな? 彼も悪魔王に力を貰ったのだよ」




