光となる突撃
シギアは突撃して行った。
自らを光の弾丸とし、ギルギザンにおよそ時速100キロのスピードで
眩い光と高熱に身を包み、叫びながら全てをかけていた。
命と気持ちを全て「賭けているつもり」だった。
「うおおお!」
そして上手くギルギザンの死角となる腹と胸の間辺りにぶつかった。
ここなら前足でも後ろ足でも届かず攻撃出来ない。
「ぐおおお!」
ギルギザンはシギアが腹の皮膚に食い込んだ事で急所に弾丸を撃ち込まれた様に苦悶の表情を見せた。
シギアは弾丸の様に体を貫こうと光を発したままの状態でギルギザンの皮膚に突撃を続ける。
しかし敵もさるもの、これだけシギアが気持ちと力を込めようともなおギルギザンの体は鉄の様に硬くゴムの様でもありシギアの体を通さなかった。
「ぐおおお!」
シギアは根競べのつもりでさらに気迫と力を込め光は更に大きくなって行った。
「ぐおお」
しかしギルギザンも叫びながら踏ん張る。
「何てやつだ。ここまでの頑丈な体とは」
シギアは光を出し続けたがさすがに疲れ光がぼやけ始めた。
「シギア……」
「あれだけの攻撃でもギルギザンは参らないのか」
「俺達も援護しないと」
「でも怖い気もする」
「押し返してくれるわ」
「ぐぐ」
シギアはこれでもギルギザンの体を貫く事が出来ない事に自分自身の心に原因があるのではと思い始めた。
もしかして俺はまだ死ぬ覚悟が出来てない? ぐっそんなはずは! 覚悟はしたんだ自分の体を弾丸、いや爆弾にする覚悟を!
何故押し切れないんだ? 女神様の力を全開にすれば倒せるはず、俺の心に原因があるのか
俺は弱音は吐かない! 吐くなとも言われたし吐かないとも誓ったんだ。勇者になる前もなった後も。
すべてが尽きるまで自分の命を燃やしてやる! ヘリウムの為に、いやシュトウルムの為にも!
戦いは根競べとなっていた。
しかしギルギザンが徐々に押し始めた。
「これほど全てを賭けてもこいつは倒せないのか。いやもしかして俺は全てを賭けてない賭けた気になっているだけ! 女神様が力を無くしてもまたくれると思っているからなのか! ならばここで全ての力と命を使い捨ててやる! ここで終わっていい! 皆が後を継いでくれるなら! その覚悟でないと!」
そしてシギアの光はさらに大きくなった。
ギルギザンも驚いた。
「これは⁉」
まるでシギアは小型の太陽、小型爆弾だと自分を思っている様だった。
そして温度はどんどん高くなり爆発寸前になった。
そして、遂に光と共に爆発を起こした。
シギアはまるで灰の様に落ちた。
ギルギザンは大きな傷を負い血が流れた。
「ぐ、ぐおお!」
「皆! シギアの後に続いて攻撃するんだ!」
一方バットゴーレムはシギアが死んだのか確かめに倒れた体を確認しに来た。
じっと見つめ様子を伺うバットゴーレム。
シギアは動かない、しかし本当に突如バットゴーレムに飛び掛かりまた光を放ち爆発した。
「まだ、負けられない!」




