ギルギザン猛攻
シギアは火を食らったが羽根のおかげで何とか助かった。
「何て威力の火炎だ。あれは人間を焼き殺すレベルじゃない。この世にあんな温度の火炎を吐ける相手がいるとは」
その様子を見てギルギザンは言った。
「ふっふふ、私は悪魔王が地獄から呼び寄せた地獄の住人だ。吐く炎はこの世にある炎じゃない地獄の炎だ。そうだな、8万度はあるだろうな」
そしてシギアの方を向いていた長い首を振り下ろすように下げた。
「こんなふうにな!」
「あっ!」
一瞬の内にギルギザンは兵士達に向かって長射程、広範囲攻撃の火炎を放った。
「みんな逃げ」
とシギアが言う間もなく特大の地獄の炎は兵士達10人以上を襲い、たちまちの内に焼き尽くすどころか灰も残らぬ程消し去ってしまった。
「くっ!」
シギアは目を背けた。
「はっはっは! どうだこの炎の威力は。高温だけでなく溶解、酸化の力もある。だから相手を跡形もなく消してしまうんだ」
シギアはぞっとした。
そして呼びかけた。
「皆! こいつは俺に任せてくれ! 絶対近づいちゃだめだ!」
副隊長も言う。
「弓兵と魔法使いはあいつに攻撃を集中させるんだ! 間違っても近づくな遠距離攻撃で倒すんだ!」
「ふっ」
ギルギザンは微笑んだ。
「行けっ!」
弓兵と魔法使いは一斉にギルギザンに攻撃をかけた。
薄く刺さったり折れたり弾かれたりだった。
魔法も反応を見る限りあまり効いてなさそうだ。
「ひるむな! 何発でも撃て! 諦めずに撃つんだ!」
気合と共に集中砲火は飛んだ。シギアも空中からの衝撃波と閃光で攻撃する。
地味だがこれしかない。
「あまり長くも飛んでられない」
シギアの飛行は魔力を消耗して行く。
デュバンとレオンハルトが言った。
「皆で一斉に奥義を食らわすべきでは!」
しかしシギアは答えた。
「駄目だそれは危険すぎる」
「また息を吸い込んだぞ! 火炎を放つ前に倒すんだ!」
「おう!」
一斉攻撃は続く。
「食らえ!」
ギルギザンはシギアのいる空中へ長距離火炎を吐いた。
「ぐっ!」
間一髪かわしたシギアだが、ギルギザンは息継ぎもせず次を撃ちさらに3発目も放った。
「何て短い感覚で火を吐きやがるんだ息継ぎもせず。威力だけじゃない」
シギアはさらに上空30メートル以上へ逃げた。
「ここなら届かないだろう」
ギルギザンは見上げた。
「ぬう、いまいましい」
そう言って鈍重な動きで前足を兵士達に向かって踏み出した。
「ひいっ! あいつ動きは遅いけどこっちに来ますよ!」
「ひるむな!」
ずんずんとゆっくり歩を進めるギルギザン。
シギアは危機感を感じた。
「まずい! 皆焼き殺されちまう!」
俺がおとりにならないと!
シギアは高速でギルギザンに際どい距離まで接近した。
「シギア!」
「無茶だ!」
「はあ!」
クリウは特大の白魔法を放った。
それが直撃した。
「ぬ、ぬう!」
これまでと違う反応だった。
「効いてる!」
マーティラスは言った。
「もしかしてあいつ地獄から来たから聖なる力に弱い?」
「なら我々白魔導士の力を合わせれば?」
「こっちだ!」
シギアは挑発するように近くを飛び高速反転し離脱した。
凄まじい火が襲ってきたが何とかかわした。
シギアは閃いた。
そうだ!
シギアはシュトウルムの兵達の方へ飛んで行った。
「シュトウルム兵達を盾にすれば!」
ところが何とギルギザンはシュトウルム兵達に対して火炎を放って行った。
「うわあ!」
「なっ!」
その線上にいたシュトウルム兵達は焼かれるどころか消し飛んだ。
「何て奴だ味方を!」
「次は貴様に当ててやるぞ!」
シギアは必死に逃げた。
そしてまた閃いた。
そして超高速でガルマスの方に飛んで行った。
「な?」
ガルマスはどういう気か分からなかった。
シギアはガルマスの背後に回り込み押さえつけた。
「な!」
「ガルマスなら攻撃できないだろう!」
「ふふ」
何とギルギザンはガルマスにまで攻撃して来た。
「な?」
シギアは咄嗟にガルマスを捕らえたまま飛んだ。
ガルマスは憤慨した。
「貴様、私を攻撃しようとしたな」
しかしギルギザンは言う。
「うるさい。私は悪魔王の使いだ。貴様より位は上だ」
「くっ!」
「死ね」
と言いギルギザンはガルマスとシギアに火炎を放った。
その時シギアに兵士達が跡形もなく消された姿がよぎった。
くっ!
シギアは一瞬躊躇し何とガルマスをかばった。
皆呆然とした。
羽根をバリヤーにしたものの、その羽根も体も完全に焼かれ地上に落ちて行った。




