宝児の叱咤とシギアの目覚め
宝児はシギアの言う事に納得出来ず、悲しみながらシギアに食い下がり問いただした。
「シギアさん、そんな本気じゃないんでしょ? 相手を煙に巻くために」
「……」
シギアは自信なげに下を向き顔を動かさない。
どこか辛くて耳を塞ぎたい様だった。
宝児はクリウにも言った。
「クリウさんも戦いが好きな人じゃないけど、最後まで屈する人じゃなかった」
クリウも悲しげだった。
デュバンは目を細めて言った。
少し悲しかった。
「どうしたんだシギア、リーダーのお前がそんな事言うなんて」
シギアは力なく否定した。
「俺はリーダーじゃないよ。逃げるみたいだけど。ただの汚れ役で嫌な事引き受け役さ。リーダーはレオンかクリウか宝児がふさわしいって」
レオンハルトは言った。
「こんな時に責任回避するな」
クリウは言った。
「私はここの皆にもヘリウム国民皆さんにもこれ以上死んで欲しくない。降伏しないで今戦ったら間違いなく何人も死ぬわ。悲しいけど私はヘリウム国民全員よりここの仲間の命の方が大事になってる。私はエゴイストだからヘリウム何百万人の人の命何て背負えない」
宝児は反発した。
また悲しかった。
「そんな、あなたは大人しくても敵に最後まで屈する人じゃなかった。ましてエゴイストなんて」
「いえ、私はエゴイストよ」
「あいつらに操られているんでしょう」
ジーメンは言った。
「失敬な。我々は何もしておらんぞ」
そしてワンザとマライも
「屈するしかない。国民と兵士、君達勇者パーティを救うにはここで降伏するしかない。儂が処刑される事で責任を取りたい」
「私は屈しない、と言いたかった。でも戦ってない私に言う権利は」
「そんな、権利何て関係ありません!」
シギアはぼそぼそ少し投げやりに言った。
「俺はどうせ生活の為に勇者になってインチキ学校に騙された失格勇者さ。根性なしの弱虫さ。こんな時に弱くなるんだから」
「そんな事ない僕はあなたの事を信頼して尊敬しています」
「!」
宝児は今までの事を思い出した。
宝児が新しく来た時シギアが言いつける。
「おい荷物持ち!」
「はっはい!」
クリウがかばう。
「やめなさいよいじめは!」
「いじめじゃないよ上下関係だ」
「上下って程差はないでしょ」
ミランディが入った時
「ミランディさんをいじめないで下さい!」
「いじめじゃないよ諭してるんだ」
宝児は思い出して言った。
「初めて会った時はちょっとやな人だったけど、僕は今は貴方を尊敬してます。今までの戦いや人との出会いを思い出して下さい!」
シギアははっとして今までの出来事を回想した。
半分自動的に思い出される様だった。
宝児は続ける。
「元々仲間や国、全員の命を無傷で救うなんてそんなの無理ってわかってて皆僕達に託してくれたんです。傷を負ったり責められたりしてもそれでも戦うのが僕達の役目なんじゃないですか」
ミランディも言った。
「私も宝児君に同意です。父や母にそう教えられました。責任を負いすぎないで下さい。戦争で誰かを守りたいとかどういう気持ちで戦うかなんじゃないですか」
「2人共……」
シギアは思った。
年下に教えられた。
「そうか、そうだな!」
「何?」
「シギア」
シギアの表情が明るさと力を得た。
「俺は恐れていたんだヘリウムの人達を守り切れないのも負けたら責められるのも。でも本当に必要なのは効率的でも論理性でもなく気持ちなんだ」
「私もどうかしてたわ」
クリウはそういって攻撃白魔法を幹部達に向け放った。
「おのれ!」
シギアは続ける。
「たとえ守れなくて自分が罪を感じたり人に責められてもそれでも自分の気持ちや考えを持ち続ける事、前に進む事が大事なんだ。それが俺が学んだ事、宝児が教えてくれたんだ」
クリウも言った。
「私も敵に屈しないだけでなく、王様がおっしゃった様に和平出来るならしたい!」
「おのれ! 約束を破ったな! 悪魔王様!」
「悪魔王が!」
「我々皆に力を!」
「まずい!」
そこへ女神がまるで巨大な立体映像の様に空中に現れた。
そしてシギアの体に入った。
「新しい力を与えます」
「すごい力が! 新しい奥義が出せる!」
シギアは光を纏った剣を抜き幹部達に向け超巨大な光の刃を放った。
「うわ!」
あまりの眩しさに皆目がくらんだ。
そして部屋が瓦解して行く。
「皆、逃げるんだ!」
シギアが敵を引き付けた物の、ワンザとマライは捕らわれた。
「お前達は取り決めを壊した。よってワンザとマライを人質にして処刑する。防ぎたければ後日城まで来い」




