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天から落ちた最強だが性格が悪い最低ランクの勇者が地上で独立部隊パーティーの一員に任命され帝国と戦う  作者: 元々島の人


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悪魔王出現? そして最後の奥義と決着

「悪魔王様がまやかしだと! 貴様出まかせを言うな!」

 

 僧侶は言ったがミンガードは動じなかった。


「元王子の僕だから調べたり知る事が出来たんだ。君らは出まかせの伝説を作り他国だけじゃなくシュトウルムの国民や貴族までたぶらかして戦意を高揚させている。でも悪魔王等と言う物は最初からいないんだ」


 

 僧侶は少しあたふたした感じで言った。


「恐れ多い奴め。裏切り者の上に悪魔王様の存在まで否定するとは、オロゴン王様が生きていれば貴様を国の恥として処刑するだろう。だから貴様を我々が殺す。そして正統後継者のメガス様が跡を継ぎシュトウルムが世界を支配する」



 しかしミンガードはこれも冷静に返した。


「メガスは僕が止める。それに『シュトウルムが』じゃなく『悪魔教会が』じゃないのか」


「何⁉」

 これはうろたえた。


「悪魔教会が政治権利を乗っ取り教皇として支配する目論見なんだろう」


 図星の様だった。



 僧侶は地団駄を踏み怒り狂った。

「そこまで言うなら悪魔王様に直に力をお見せ願おう」



「何⁉」

 これにはミンガードだけでなく皆動揺した。


 僧侶はまるで攻撃してくれと言わんばかりの無防備な姿勢で祈った。


 本当に攻撃を恐れていない、それほどに悪魔王を信じているそぶりだ。


「悪魔王よ! 今こそその御姿を!」 

「私も祈る。グリザインに更なる強力な力を!」


 僧侶とべロウが祈ると空間が割れ穴が開き、そこから光が何本も放たれた後人の形の影が現れ身長3メートル程の翼と角と赤い人間大の悪魔の姿の怪物となった。


「あ、あれが悪魔王⁉」

 さすがに皆うろたえた。


「惑わされては駄目だ。あんなのは召喚で適当な姿に見せているだけだ!」

 動揺した皆をミンガードは諭した。


 べロウは叫び雷を放った。

「うるさい!」

「ぐわ!」


 ミンガードは雷撃を食って倒された。


「ぬん」

 赤色の悪魔が右手をかざすとグリザインの顔や体が紅潮し激しい興奮状態になった。


 大きな力が降臨し内部に入った様だった。

 

 容器に水があふれる様にグリザインは叫んだ。

「ぐ、ぐわあああ」


 僧侶は声をかける。

「悪魔王! グリザインにもっと力をお与え下さい! いいぞもっと力を解放しろ!」

 

 グリザインはまるで魂を乗っ取られた様だった。

 そして全身の筋肉が膨張し、鎧を破壊し剣も折った。


「な!」


 さすがにデュバンは驚いた。

「あの力ただ事じゃないすよ! ミンガードさん、本当に悪魔王はいるんじゃ!」


「そ、そんなはずはない……!」

 ミンガードは自分の調べた事が間違いだったのかぐらついた。


「今こそグリザインに巨大なる力を!」


 と僧侶が祈り終わるとグリザインは狂った白目をむいた目と膨張した肉体をあらわにした。


 しかし悪魔王やグリザインの異様な姿を見てもデュバンはひるまない。


「くそ、悪魔王がいようといまいと、俺達ヘリウムにだって神がついているんだ!」


 レオンハルトも言う。

「そうだ、我々には神が付いている。そしてヘリウム国民は皆捨てた物じゃない強い心を持っているんだ」


 2人は声を掛け合った。


「よし、行くぞ! 新奥義だ! シギアとの特訓の成果を見せる!」

「うおお! あいつの気持ちに答える! あいつは命をかけてくれたんだ!」


 デュバンとレオンハルトはタイミングを合わせ光る剣で突撃した。

 2人の剣をピンク色の眩い光が包む。


 しかしグリザインは睨んではいるものの構えない。

 防御体勢を取らない。

 体の力が抜けている。


 どう言う事かと2人は少し躊躇気味だったが迷いを振り切り剣を突き刺そうとした。

 

 ところがグリザインは腕だけで2人の剣をブロックした。

「馬鹿な!」


 べロウは言った。

「これが悪魔王様のお与えになった力よ」


 またべロウは言う。

「グリザインは素手挌闘でも奥義を出せる」


 グリザインは両手1本ずつエネルギーの波動を2人に浴びせた。

 2人は全身に浴び焼かれ遠くに吹っ飛んだ。


 しかしグリザインはミンガードの方に行った。

「おっと、まずは裏切り者からだ」

 グリザインは指示通りミンガードの首を掴み激しく殴った。


「あ、ぐぐ」

「これでも悪魔王様はいないと言うか」

「い、いない……!」


 悪魔王はミンガードに稲妻を浴びせた。

 べロウは言う。


「貴様は裏切るのみでなく悪魔王も否定した。もう戻る等許されん、ここで死ね。そして死体を国民の前にさらす。目も骨も内臓も全て出し切ってやる。公開拷問の末殺す。亡きオロゴン王もそれを望むだろう」



 ミンガードは声を絞り出した。

「メガスは僕が止める。過ちを正すのは兄の役目だ」



「くそ!」

 マーティラスはグリザインに切りかかったが逆に素手奥義を受け吹き飛ばされた。

「これで終わりかな?」


「まだだ……!」

 デュバンとレオンハルトは立った。


 悪魔王はしゃべった。

 ひどく冷静で高潔な話し方だった。


「もう手はないんじゃないか?」


 しかしデュバン達は返す。

「この奥義には続きがある」


「続き?」


 レオンハルトも言う。

「さっきの剣が通用しなかった時の最後の手段。全ての生命エネルギーを剣に流し込み相手を倒す」

「何だ⁉」


「命と引き換えにだ!」 

「例え己が朽ちてもこの技を食ったら必ず死ぬ」


 べロウは感じた。

 こいつら、死ぬ覚悟の目だ。何をするつもりかわからんが、万一の事がある。

 

 何かが憑依した様な2人の剣には煙が立ち上った。

 デュバンとレオンハルトは叫んだ。


「行け!」

「受けろ!」


 飛び掛かった2人の剣がグリザインの胴体に刺さった。


 べロウは笑う。

「ふん。今のグリザインはそんな剣も跳ね返してしまうわ!」

「ぬ、ぬぬ!」


 しかしグリザインは苦しんでいる。

「どうしたグリザイン? はっ!」


「こいつら生命エネルギーそのものを剣から流し込んでいる! し、しかしグリザインはそれでも!」


「くっ!」


 レオンハルトもデュバンも顔が真っ青でまるで血や生命をグリザインに注いだが負けそうになっている。


「いかん!」

 ミンガードは危機を察した。


「攻撃は当てられたが根負けするのは貴様らの方だ!」

 悪魔王も右腕を振り上げエネルギーをグリザインに注入した。


「ぐっぐぐ!」 

「諦めない!」


 2人は悪鬼の形相で生命を全て注ぎ込む。


「ここで終わっても構わない、クリウも死んだ。犠牲なき戦争勝利なんてないんだ」 

 レオンハルトは悟った。


 デュバンも言った。

「シギアは俺たちが命を捨てる覚悟なのを理解してくれたんだ!」


 その時ミンガードは飛び込みレオンハルトとデュバンの背中に手を置きエネルギーを注入した。


「あれは前にシギアがタードさんを助けるためにやったスキル!」


「君達を倒れさせはしない!」


 デュバンは固辞した。

「しかしミンガードさん、貴方が倒れてしまう!」

「構わない」


 べロウと僧侶は叫んだ。

「そ、そいつごと押し返せ」


 しかしグリザインは苦しんだ。

「お、押し返せない!」


「しまった! 悪魔王様に注入されたエネルギーと合わせ体が耐えられなくなっている!」


 レオンハルトとデュバンの生命エネルギーがほとんど全てグリザインの体に注入されついに爆発を起こした。


 皆吹き飛ばされた。

 

 新奥義は本来命を犠牲に相手を倒す技である。

 

 しかしミンガードのエネルギー注入とグリザインの体内パワーが先に一杯になって爆発した為にレオンハルトとデュバンは奇跡的に「命の残ったまま」奥義を使用し終える事が出来た。



 そしてマーティラスは気が付いた。

「3人共!」

 レオンハルトに声をかけるとわずかに反応した。


「俺はもう力が残っていなかった」

 

 デュバンも言う。

「俺もだ。これで死ぬつもりだった。ミンガードさんが力を分けてくれなかったら2人共死んでいた」


 マーティラスは言った。

「3人共私が命を賭して回復させる」


 レオンハルトは言った。

「こういう時、いつもクリウは回復させてくれた」


 デュバンは叫んだ。

「あいつらクリウを殺しやがって許せねえ!」


 そして3人はかろうじて歩ける程に回復した。

「勝った……」

「俺達は死ぬつもりだった」


 ミンガードは言った。

「まだ死んじゃだめだ」


「ミンガードさん、貴方の正体には驚きました」

「すまない。状況が状況で雑な説明になった」


「そんな事」


 レオンハルトは言った。

「貴方も生きていてくれなければ本当の平和はないと思います」


 ミンガードは言う。

「僕は確かに戦いを終わらせたいが同時に罪も深い人間だ」


 デュバンは言う。

「皆、罪なんて同じですよ」


 デュバンは続けて言う。

「でも悪魔王って本当にいないんですか?」

「ううむ」

「しかしグリザインに与えられた力とかは」


「もう1度調べる必要があるかも知れない。でも悪魔王はいればヘリウムの人達は怯える」


 デュバンは言った。

「いや、大丈夫です。悪魔王がいても必ず勝って見せます」


 レオンハルトは言う。

「俺達が2人倒した。後2組が勝ってれば4人だがさらに後2人いる」


 デュバンは力強く言った。

「勝つ、必ず」



          


   


 

   

  


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