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天から落ちた最強だが性格が悪い最低ランクの勇者が地上で独立部隊パーティーの一員に任命され帝国と戦う  作者: 元々島の人


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デュバンの過去と女神

「貴方がミミ―デン?」

 マーティラスは驚き少し畏怖しどきどきうろたえながら聞いた。

 一国の皇子が素性を隠して自分達と共にいた……


 ミンガードは表情の変化を最小限に抑えながらもいつもの彼より流石に少しだけ動揺が感じられた。


 言わなければならない時が来てしまったと言う様子が少々の体の震えから感じ取れた。


 流石に少し間を置いた。


「詳しく話すと長くなるが、僕は1度他国との戦闘中敵の白魔導士をかばって死にかけた。その時その魔法使いが助けてくれた。さらに第1皇子のままではいられないから整形をする様に言われた」


 マーティラスはどきどきしながら聞いた。

「その後正体を隠してシュトウルムに?」


 ミンガードは話す内何となく落ち着きが戻った。

 マーティラスを信頼した言い方だった。


「うん。父オロゴンの考えには前から反対して煙たがられていたが父が亡くなった後メガスと周りの貴族たちはさらに調子に乗り征服を早めた。僕は何とかそれを止める機会を見張っていたんだ」



 べロウは真実を知って憤慨した。

 今にも殺してやると言う雰囲気だった。


「貴様、本名を隠して軍に入った上に裏切るとは、裏切り者の裏切り者だ。貴様は大衆の面前で公開処刑してやる」


 グリザインも続いた。

「俺も信じられん事だが信じねばならん」


 悲壮な覚悟をミンガードはいつもの温和な調子で言った。

「僕は死んでも構わない。ただヘリウムと和平条約を結びたいだけだ」


「黙れ!」

 と言いグリザインは襲い掛かった。


 ミンガードは素早くかわした。

「僕がいると皆に迷惑がかかりそうだ。僕は去るべきか」


 マーティラスは強く決意を述べた。

「いえ、貴方がいなければ和平の道は開けません。僕達が貴方をお守りします」

「ありがとう」



 一方デュバンは直接攻撃はされなくてもさらなる幻覚に苦しんでいた。

「ぐああ」

 

 怪物の幻覚がデュバンの想像内で腕を嚙みちぎり腹までも食いちぎった。


「幻覚なのに本当の様に痛い。何故俺はあいつにこんなに恐怖を感じているんだ」


 そこへ突如女性の声が聞こえた。

「それは貴方が恐怖を本当に克服していないからです」


「だ、誰だ⁉」


「私はヘリウムを守る女神」

「あ、あなたが?」

 女神はべロウ達にわからない様、デュバンの視界にだけ現れた。



「相当苦しめらえているようですね。では貴方が恐怖を乗り越える手助けをしましょう。貴方の今までの記憶を集めて呼び起こします」



 するとデュバンは光に包まれ回想に入った。

 様々な過去の体験の映像が頭に戻って来た。


 最初にデュバンが新人の頃修練場でグローブを着けて先輩と殴り合った姿が見えた。


「倒れるまで殴り合え!」

 とギャラリーが声を飛ばす。 


 流石にデュバンは押されたが痣が出来ても目つきだけは負けなかった。


 ギャラリーに囲まれた先輩は言った。

「中々やるな。俺らを恨むなよ。これは新人共通の試練だからな」


 デュバンは必死だった。

 先輩にも自分にも負けたくない。


「はあ、はあ!」


 更に殴り合いは続いたが後数発でデュバンは倒れた。


 先輩は倒れたデュバンを助け起こした。

「よくやったな。負けはしたがお前が1番持ったぞ」


 デュバンは思った。

 そうだ。子供の頃から気持ちは誰にも負けなかった。

 

 そう思いながらデュバンは崖を手掴みで登る試練に耐えた。

 岩を掴む手に汗があふれる。


 さらに崖から海に飛び降りる試練もした。


 俺は今まで精神鍛錬の試練をいくつも乗り越えて来た。

 何が足りないんだ。


 回想に浸りながらデュバンは思った。


 デュバンは子供の頃から体力や運動能力に優れ皆に慕われ中心的だった。

 だから大人になったらそれを生かし人の役に立ち皆を引っ張ったりする職に就こうと思っていた。


「まあ、勉強はいまいちだけどな」

 と小学校の友人が言った。


「うるせえな!」 


 とデュバンは言ったが友人は


「でも騎士になるんなら勉強ある程度出来ないとだめだよ」

「そーなの?」


 気取らない性格も反感を買わなかった。

 また騎士になってからも根性がある為先輩に可愛がられた。


 デュバンは出世にあまり興味なかった。

 あふれる体力と根性を人を助け守る事に使いたかった。


 そんな小学校時いつもよく体育を休む体の弱い友人と話した。

「ベンカ、お前体弱いから少鍛えた方が良いよ」

「ありがとう、デュバンは自分を鍛えていつも克服してるんだね」


「ああ、俺の信条だからな」

「僕は体が良くなるようにいつもヘリウムの神様にお祈りしてるよ」


「いや、お祈りだけじゃだめだろう。努力しなきゃ」

「いや、気持ちや努力じゃどうにもならない事もある。だからお祈りするんだ。人間は弱い者さ」


「そうか?」

「デュバンも礼拝行ってるんでしょ」



 あの時はよく意味が分からなかった。


 その後恋人が出来たデュバンに彼女は言った。

「デュバンって葛藤がなさそうだね」

「えっ?」


 ナロンは言った。 

「裏表がないし皆に好かれてるし直情型で迷う事がない。弱点や悩みがなさそう」

「俺はあまり悩まないたちだし」



「強くなり皆を守ったり役に立ちたい、人生は気持ちの強さだ」

 そう思っていた。しかしお祈りをいつもするベンカの言葉が気になった。



 また昨日シギアと話した事も思い出した。

「俺って何が足りないと思う?」

「弱い所を見せない所かな」


 シギアはぽつりと言った。

 それも意味がよく分からなかった。


 デュバンが騎士になって1年後ベンカが入団試験を受けに来た。

「えっ、お前受けるの?」

「僕も平和の為貢献したいと思った」


 デュバンは流石にぎょっとした。

 どこか淡々とした半面の覚悟、宗教人的悟りと覚悟が感じられた。


 しかし頑張りもむなしくベンカは試験に落ちた。

「ほら言わんこっちゃない」


「僕は体力がない。それにやっぱり僕は直接人を殺す事は出来ません。デュバンは何故剣を取れるの?」


「正しい事の為に剣を取るのは悪い事じゃないって同じように礼拝に行ってる先輩達も言ってるよ」


「それは宗教を誤解してる人達が広めた事だよ。君は昔から迷いがない。少しは迷ったらどう?」


「……」

「君は神を信じてますか」


「……」

「神は人を殺さない」


 声はそんなに大きくないのに、不思議な迫力にデュバンは押された。

 

 心の隙間に杭を打たれた様だった。


 何とか言い返した。

「でもシュトウルムの勢いは日増しに強くなってる」

「じゃ、さよなら」


「体力ない癖に」

 しかし隊長カーレルは言った。


「いや彼は強い人間だ。決して自分の弱い所を隠さない」

「えっ⁉」


 あの時はどう言う事か分からなかった。


 その後「勉強が出来ない」と言った友人に会った。


「やっぱりお前強いけど騎士は人を切る仕事だって気づいてるか皆心配してたよ」

「じゃあ何で言ってくれなかったんだ」

「お前思い込み強いし」

 

 そしてシギアの言った事。

「弱い所を見せない事かな」


 でも何となく分かるのは俺は自分の感じた恐怖や不安を他人に見せない様にする所が一杯ある。


 皆を守るならそう言う人にならなきゃいけない。


 でも弱さもそうだし戦う意味、人を切る意味を十分分かってなかった。

 俺は単純だったから。

 何の為騎士をやるのか。

 

 戦争とは何か。

 何故相手の命を奪うのか、奪えるのか。


 それに弱さを見せるのも恥ずかしかったのかもしれない。

 だから克服出来てないのか。


「やっと分かって来たようですね」

 女神は言った。 






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