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天から落ちた最強だが性格が悪い最低ランクの勇者が地上で独立部隊パーティーの一員に任命され帝国と戦う  作者: 元々島の人


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宝児覚醒

 シギアは呆然としていた。

 ダメージも含め言われた事で戦意喪失気味だった。


 そ、そうだ確かに。

 クリウも他の兵士も騎士も等しく仲間であるはずなのに、それなのに確かにこんなに感情的になった事は今までない。


 クリウの死が初めてだ。他の兵士が死ぬのを見てもここまでの気持ちにはならなかった。


 フェミングは挑発した。

「何が平等な世の中をだ。貴様らが平等に人間を見た事があるのか?」


「うっ!」

 またシギアは心を刺された。


 宝児も戦意喪失し泣きそうだった。

「うう、僕達は何て無力なんだ。あいつに言い返せない」


 ミランディも突っ伏して泣いた。

「ううっ」


 フェミングは宝児に言った。

「この丸顔の弱虫小僧が。貴様なぞに人を守る力も怒る勇気もない。さっさと家に帰れ」


 シギアは宝児をかばった。

「やめろ、宝児をけなすな。けなすんなら俺をけなせ。俺こそ口だけの男だ」

「ふん」

「シギアさん」


 シギアは続ける。

「俺の方が汚れ役や標的にふさわしい。俺は元々そんな男だ」

「うるさい!」


 シギアはまた切られた。

 しかし、ミランディは立ち上がった。

「ぬっ!」


 最後の力を振り絞り痛みをこらえ凛と立とうとした。

 涙をふき唇を咬み、震えながら毅然と立ち剣をかまえた。


 彼女の目に水が宿る。

 体に気をまとった。


「はああ! 水の極意!」

「ぬう! 奥義か⁉」


 ミランディは悲しみを背負いながらジャンプして空中回転し水の極意を放った。

 フェミングの防御が少し遅れ手傷を負わせた。


「ぬう!」

「はあ!」


 ミランディはバックジャンプし回転して再度水の極意を放った。

「くう、こしゃくな!」


 フェミングは上手く振り払った。

 ミラムロは傷ついた体で力を振り絞った為しゃがみこんでしまった。


 フェミングは思った。

 勇者だけでなくこの娘、相当な潜在能力がある、こいつは生かしておけない。


 傷ついたミランディにフェミングが迫る。


 シギアは叫んだ。

「やめろ! 2人を攻撃するな! 2人共俺より勇気のある人間だ! 俺の方があんたに言われた腰抜けの弱虫だ!」


 シギアはよれよれになりながらミランディの前に立ちふさがった。


 フェミングはにやりとした。

「もう完全に戦意喪失したな」


 またシギアは切られ吹っ飛ばされた。

「次はその娘だ」


 シギアはまた立った。

「待ってくれ」

「ん?」


「シギアさん、どうする気ですか」


 シギアはよれよれになりながらクリウの元にひざまずきエネルギーを送り始めた。


「クリウさんにエネルギーを送る気ですか!」

「馬鹿め。もうその女は死んだ」

「……」


 それでもシギアはエネルギーを送り続けた。


 宝児は思った。

 シギアさんはもう、あいつに勝つ気はないんだ。ただクリウさんを助けようと……


「無理だ!」

「無理でもやるんだ」


 宝児はそれを見て悲痛になった。


 フェミングは嘲笑した。

「腰抜けめ!」


 宝児は何かが切れた。

「う、うう! シギアさんをけなすな‼」


「何だ!」


 宝児の体内の聖霊が反応し巨大な力が沸き上がった。


 遠くにいたアレーナは反応した。

「これは宝児君の体内の聖霊?」


 水の聖霊が守護霊の様に宝児の背後に巨大化し現れた。

「何だこれは聖霊か!」


「うおおお!」


 宝児が右手から水を放つとごうごうと音を立て太さ20センチほどの水がまるで生きているような激しい竜巻となりフェミングを包み込んだ。

 そして呑み込みはるか上へと飛ばした。


「ぐあああ!」


 ダウンしたフェミングにさらに宝児はもう1発発した。

 またフェミングは呑み込まれた。  

      

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