会議と疑念
会議は続いていた。
「しかし、火の矢や大砲を使ったのはどこかシギア達を倒す為だったようです。火は軍を混乱させる為の物で、どちらかと言うと3日後の解、ウッドティの解放戦に備えて我々に精神的ダメージを与える為にやった様なのです」
別の家臣は言う。
「そうだな。だからあの6人の幹部は様子を見るだけで留まったのかもしれん。もっと攻勢をかけて来てもおかしくない。ここで徹底的にやらなかったのはまだ余裕があったと言う事です」
「と言う事は後で大きな作戦や計画を用意していると言う事か。後で一気に我々を倒せるだけの」
また別の家臣が言う。
「あの6人の幹部は砦にいるそうです。戦う時はやはりシギアを中心とした勇者パーティに戦ってもらう事になるでしょう。一般兵では犠牲が大きすぎます」
「そうだな。もしかすると万が一負ける事を考え程ほどに撤退したのかもしれん。しかし逆に後の楽しみと余裕の見物をしているのかもしれん」
また別の家臣が言う。
「であの放火の件だが、本当にあいつらの言う通り騎士、兵士の中に裏切った犯人がいるのか?」
騎士長が言う。
「はい、私達も調べた所あの日あの場所に帝国兵が入った形跡がありません。と言う事で望まぬながら皆に聴取をしています。『俺達は疑われているんだ』と少し陰口が聞こえました」
「ここで信頼と結束が崩れるのは良くありません。で調査を急いだのですが」
「1人疑惑の人物が挙がりました」
「誰だ」
「盗賊のグライです。勇者パーティに後から入った男です。前日怪しい男と会っており、また当日火事の方向に向かうのが目撃されています。グライは『盗賊時代の仲間と会っただけ』と申しております」
それが騎士達の間に伝わりざわめきを生んだ。
レオンハルトはシギア達に言った。
「やはりあいつはもう少し見ておくべきだった」
「もう随分前だよなレオンがグライ怪しい言ったの。(第20部分参照) あいつとはあまり話さなかったなあ」
そこへ果たし状の様な弓矢が届いた。
「何だ⁉」
兵士は騒ぎになった。
「ウッドティの町に盗賊グライを捕らえた。返してほしければ勇者シギア1人で来い」
その話は家臣や騎士達に伝わった。
シギアは
「よし、俺が行こう」
と言った。
しかし副隊長は
「待つんだ。危険な上に怪しい。ここは1人で行かない方がいい」
「グライを見捨てるって事ですか?」
「まだ決まってはいないが」
「俺が行きますよ」
騎士達は止めた。
「駄目だ」
「待つんだ」
「要のお前に何かあったら」
しかしシギアは言った。
「俺の気持ちが許さないんです。もしそれで軍が負けそうになったら責任を取ります」
やはり騎士達は反論した。
「どう取ると言うんだ」
「1人の兵、しかも疑惑の者の為に大きな犠牲をいとうのは戦争の常道としておかしい」
そしてワンザ以下家臣会議になった。
「反対です。ここで万一シギアが捕まったら」
ワンザは考え込んだ。
そして絞り出し強く言った。
「行くのを許可しよう」
「な、何故です!」
「シギア達勇者パーティは結束により力がここまで出した。ここでグライが裏切り者なら信頼は一気に崩れ士気は下がる。しかしシギアの手で疑いが晴らせれば結束はより強くなる」
「しかし」
「儂は1国の王としてはあまり効率的でない考え方をする。女神様をすぐ信じてしまったり、しかしそのおかげでシギアと会い彼も多くの仲間が出来た。だから儂にはない若い力に賭けたいのだ」
その命令がシギアに下った。
「わかりました。行って来ます!」
そしてシギアは1人でウッドティの町へ乗り込んだ。
すると兵に囲まれたグライは棒に鎖で絡められていた。
衰弱しているようである。
シギアは言った。
「約束通り来たぞ。グライを放せ!」
「いいだろう。貴様には代わりに鎖で縛られてもらう。貴様が縛られたのを確認してからグライは放す」
シギアは言う通り鎖でがんじがらめにされ棒に処刑の様に括りつけられた。
「では、グライを放す」
兵達はグライを放した。
そしてグライはとぼとぼシギアの所へ来た。
「す、すまない。俺のせいだ」
「気にするな」
そう言った途端グライも兵も笑いだした。
「えっ⁉」
「馬鹿め! そいつは本当に裏切ったんだ! まんまと引っかかったなこの間抜け!」
「な?」
グライは大笑いした。
「とんだお人よしだな。世の中所詮金と権力だ」
「よくやったグライ。では報酬だ」
報酬の袋を持ちグライは去った。
シギアは悲しく悔しかったがこうなる事も予期していた。
その頃ヘリウム兵達は町に到着した。
「シギア達はどうなったんだ?」
兵達はシギアに言う。
「例え鎖をちぎってもこのミンガード様がお前を見張っている」
そして解放戦は始まろうとしていた。




