火消し作戦
マーティラスと交戦中の敵の幹部魔術師は言った。
「敵を赦すだと? そんな馬鹿がどこにいる?」
カーレルは答えた。
「それこそが神の教えだ」
魔術師は怒りと嘲りを込めて言った。
「戦争で敵を赦せと言うのか? 貴様らはその癖非暴力が実戦出来てない癖に! 平和を実現する為の『何か』をするとは具体的に何だ! 宗教信者の大半は平和主義ではないだろうチャプレンが!」
そこにはヘリウムを甘いと笑う気持ちとおかしいんじゃないかと見る目と自分勝手な考えだと言う怒り等が錯綜した。
カーレルは落ちついて言い返した。
「ああそうだ。我々は人を傷つけて来た罪人だ」
マーティラスは横から入った。
「隊長、ここは私にお任せを」
「いや、私も言いたい事がある。論戦の続きをしよう」
「ふん、論戦か」
カーレルは続けた。
「他の全ての方法を使っても解決出来ない場合は武力に訴える。許せば悪を継続させるからだ。だから人間に相応しい方法で解決する」
他の騎士も叫んだ。
「戦うのが不正なら悪人を罰するのも不正になるのか!」
魔術師は言い返す。
「説得力がないんだよ! 貴様らには迷いがない! 迷いがないからこそ悪なんだ! しかも一枚岩ではない!」
「良心的兵役拒否も認められている」
また他の騎士も叫んだ。
「奴隷を解放しろ!」
他の帝国騎士も入って来た。
「何を言う! プランテーションで砂糖革命が起き茶も広まったんだろうが。俺達が世界商品を作った!」
「ラム酒と奴隷を交換するな!」
「悪人を傭兵にするな!」
魔術師は言い返した。
ヘリウムを批判した。
「貴様らは神の名の下に他民族を征服したろうが! やっている事はわれわれと同じだ! 殺人は禁止じゃなかったのか!」
攻撃の1発がマーティラスに当たった。
「ぐわっ!」
マーティラスは気を失い、かつての宿営地での活動を回想していた。
マーティラス達は祭壇をアカシア材で作り、四角に角を祭壇から出る様に付け青銅をかぶせ青銅の網材に環を付けた。
青銅で灰壺、十能、鉢、肉刺し、火皿を作った。
祭壇の為の棒をアカシア材で作った。
さらに幕屋の庭を造り柱や掛け幕、垂れ幕さらに備品とオリーブ油を携えた。
皆エポデや肩当て、金箔、胸当て、帯、縞瑪瑙、宝石を付けていた。
神への奉仕に金、銀、青銅、より糸、亜麻布、じゅごんの皮などを持ってきた。
聖所を作ろうと純金をかぶせたアカシア材を使い、なだめの蓋、金の燭台、ケルビム、机、飾り縁、パン、燭台を作った。
牛か羊を切り割り祭壇の火の上で焼いた。
内臓と足は洗った。
雄牛を捧げなだめと油そそぎをした。
傷のない雄を天幕の入り口に連れていき血を祭壇の側面にかけた。
小麦粉や乳香を添えて出した。
油を塗った種なし輪型パン、種なし薄焼きパンを出した。
子羊にはオリーブ油を混ぜた小麦粉と葡萄酒を添えた。
やぎは脂肪、腎臓、小葉を取り除き捧げ焼いて煙にした。
7日間、種無しパンを食べた。
注ぎの油と香り高い香を用いた。
ツァラアトに侵された者はきよめの為、小鳥を殺しもう一羽殺された小鳥の血の中に浸した。
それを侵された者の体に七度かけ、髪、眉毛、髭を剃り落とし水を浴びた。
収穫の初穂の束を祭司に渡し子羊と小麦粉を捧げた。
さらに50日後、子羊7匹、雄牛1頭、雄羊2匹を捧げた。
そう言った行動を通じてヘリウムの信仰者たちは信仰を確固たる物にしていった。
回想は終わる。
その頃皆は手分けして火を消し人を避難させていた。
ドレッドは言う。
「俺は力があるから数人まとめて担げるぜ!」
また宝児とミラムロは一緒に魔法で火を消そうとしていた。
「私のウォーターじゃ中々消えないわ!」
「僕が水の聖霊の力を引き出して大きな水を作ります。うおお!」
宝児が精神集中し精霊を呼び出すと強力な水魔法を使える様になった。
クリウは1日2回程しか使えない攻撃白魔法を火に向け放った。
火が沈下した。
帝国兵は怒った。
「いまいましい小娘め!」
と切りかかってきたが副隊長が防いだ。
「す、すみません!」
「気にするな」
デュバンはやられそうになっていたがアリザインが手を貸した。
「俺は殺人術しか学んでいない男だ、人を助けるより戦うのが役目だ。俺が戦う」
そして砲兵達が現れさらに火をつけようと焼夷弾を撃った。
「死ね!」
「あっ!」
しかしシギアが現れ剣で弾を切断し爆発を手で吸収した。




