異世界への誘い
「実は今、別世界にある私たちの国は巨大帝国に攻め込まれている。ぜひ君の力をかしてほしい」
「えっ⁉ だって僕にそんな力あるわけ、それって人違いじゃないですか」
しかしペンギンは続けた。
「いや、慎重に捜査し確かに君だと判明した」
「うーん」
さすがに宝児は尻ごみした。決断はまだ出来なかった。
しかしペンギンは話を進めた。
「では、君を向こうに見えている世界に送りたい。で君はそこに呼ばれた勇者なのだがそれだけでない。実は我が国のある賢者が亡くなりある道具が使えなくなってしまった。ところが君はその賢者と脳波が近く、君ならその賢者の道具を使えると言う事なんじゃ。その道具とはある人の動きを封じるため念を送る道具で、賢者が亡くなったためその人物はうまく動けなくなってしまったのじゃ」
「でも勇者って、僕が、そんなとんでもない事出来る訳」
ペンギンは何とか安心させようと先程の様に帝国に攻められているという話は置いておいた。
「そんなに構えなくてもいい。最初君に頼みたい事は1つ2つくらいだ、初めのうちは難しく考える事は何もない」
しかし宝児の不安はまだ消えない。
「えっでも勇者って事は、要するに悪者と戦ったりするんですよね」
安心させる様やわらかく説明した。
「いや、最初はそんな事しなくていい。気楽に構えなさい」
少しだけ宝児は受けようかと気持ちが変わった。
「大丈夫なんですか」
「大丈夫、私たちを信じて」
「はい……」
まださすがに迷いはあった。
「今、私たちの世界は我々の国が強い国に攻められる事で非常に困っている。だから来てほしい。勿論すぐに来てほしいなんてとても勝手なお願いだとわかっている。君にも都合も気持ちもあるとは思っている」
不安と決意を胸に宝児は聞いた。
「今、すぐ行くんですか」
「うん、我々にはそんなに時間がない」
宝児は頭を掻いた。
「親とかにも勿論何も言わないのまずいんですけど……わかりました!」
宝児は遂に決断した。皆が困っているという事が彼の心に響いたのだ。
「おお! 恩に着る! ではこの空間に2人で飛び込むんだ」
そして決意した宝児は空間の入り口をおっかなびっくり見た。
「空間に飛び込むって、どんな感じなんですか? ちょっと怖い」
「海に飛び込む様な感じだな。でそのまま浮いたり泳いだりする感じだ」
「宇宙遊泳みたいな感じですかね」
「宇宙遊泳?」
「あ、こっちの世界ではロケットで他の宇宙の星へ行けるんですよ。もちろんほんの限られた人だけですけど」
「す、すごすぎる。こちらの世界はそんなに進んでいるのか!」
「では行くぞ! しっかり掴まっているんじゃ!」
「はい」
勇気を出し宝児は穴に身を投げた。
「うわ吸い込まれる!」
しかし段々と体が慣れた。浮き輪で浮いているような感覚だった。
とおもったら急激にスピードが上がり激しく流された。
「どうだね気分は」
「まるで息継ぎなしで海の中にいるみたいです!」
そして2人はついに終着点に到着した。
「おお、見えたぞ! あれが次元の終わりだ!」
光に包まれ辺りが真っ白になった。
これから一体何が待っているのかと宝児をとても不安にさせた。
空に出来た穴をすぽりと抜け、2人はヘリウムの町ではない草原の一角の上空に出た。
「うわ!」
2人はどすんと着地した。
「いてて」
「ごらん」
「こ、ここが……」
宝児は240度周りを見渡した。
「す、すごいや、何て綺麗で雄大な景色なんだ。それに空気もおいしい」
「気に入ってくれたかな」
「はい。あっでもやっぱり少し不安です。ここ、本当に地球とは違う世界なんだ……来たんですね」
「うん。ここは君の住んでいる人間界とは違う遥か遠くの大陸だ」
「ここ宇宙とか」
「いや星が違うのではなく次元が違う世界だ」
「次元……」
「離れてるとか近いと言うよりも重ならないようにねじれて2つの世界が存在してるんじゃ」
「この世界どのくらい前からあるんですか」
「国の成り立ちを言えばこの大陸が出来たのはまだ1300年前だ。君たちの世界よりもずっと浅い。浅いのだがそこに生きる人たちは毎日歴史を作るように懸命に生きそして良い事も悪い事もした」
「人間界と同じですね」
「そうだ、そして住む人間は姿も中身も君たちと基本一緒だ」
「安心しました」
ペンギンは先導した。
「では城に来て王様たちに会ってもらいたい。きっと気に入ってくれると思う。では行こう」
「うわ、広大だなあ! 地平線がどこまでも続いてる。緑もすごく多いや」
歩きながらペンギンは言った。
「君には役目、してもらいたい事がある」
ペンギンは
「君は天界の女神に選ばれた」
「天界の女神」
「うむ。実は私にこの国を守る救世主を遣わせてくれたんだ。実はその天界から遣わされた人がもう1人いる」
「もう1人いるんですか。でも何かすごいなあ、想像も出来ないや」
「女神様は王様の枕元に突然現れたんだ、光を纏いながら」
「光を纏いながら」
「本当に素直で優しい少年ですきっと喜ばれるはずですと君の事を言っていた。そしてもう1つの」
「もう1つの?」
「彼の心も開いてくれるはずですと」
「彼?」
「ああ、その彼こそ先に来た勇者だよ」
「えっ? そうなんですか? 僕より先がもういたんだ」
でも心を開くってどう言う事だろう、と言葉には出さず思った
やがてヘリウム城についた。
「うわヨーロッパのお城にすごく似てる!」
「偶然かもしれんな、別の世界の人間でも同じような事を考えるのかもしれん」
お城の門に来た。警備兵が聞いた。
「そ、その方はもしかして」
「ああ、人間界から来た」
「こ、これは! どうぞお入り下さい!」
宝児は驚きっぱなしだった。
「うわー綺麗な内部ですねえ! 生まれて初めてですよ西洋のお城の中入るの。日本の城にはいきましたけど。でも意匠もすごいし照明もしゃれてる。石の1つ1つが磨き抜かれてる。ここで暮らす人ってどんな気持ちだろう」
そして廊下を眺めながら階段を上り上階に進んだ。
「王様に会うなんてわくわくします」
「この先にいる」
ところが、何と偶然にも向こうからシギアが歩いてきた。
目が合い、宝児はシギアの不思議な雰囲気にのまれ反射的にお辞儀をした。
シギアは宝児が日本人の恰好をしてるのに気づきなんだと思いぎょっとして思わず話しかけた
「あの、き、君、この国の人か?」
これには宝児はあわてた。
「い、いえ違います」
「違うのかい?」
またへんな事言う奴だな、早くあっち行け、とペンギンは思った。
さらにペンギンの気も知らずシギアは聞いた。
「城にいるってことは君は関係者だろう。あんた王の親族とかか?」
ペンギンは助けた。
「ああ、今はいいから、その説明は私から後でするから」
そして宝児はワンザに謁見した。
「よく来てくれた」
緊張するけど穏やかな人だな、と感じていた。
「君にはぜひ仲良くしてほしい人がいる」
誰だろうと宝児は思った。
その後広い部屋で家臣の手に連れられ、宝児は城の全ての人物の前で紹介された。
「紹介する。今日からこの城で君たちと一緒に行動する伊坂宝児君だ」
「えっ⁉」
さすがにどよめきはかなりすごかった。
彼が何者か誰もわかっていない。
家臣は説明した。
「驚くかもしれんが彼ははるか遠く人間界から来た」
「ええ、この世界の人じゃない?」
一層どよめきは大きくなった。
「そうだ、はるか遠くの世界だ。住んでいる人たちは姿は我々とほとんど同様だが文化は全く違う。例えば馬の代わりに『車』と言う乗り物が外を走っている。船も我々の世界より早い。でも建物の作りなど共通点は一杯ある」
若い家来が聞いた。
「でも、何でここに」
「ああ、彼が女神に呼ばれた救世主だからだよ」
「えっ⁉」
これが1番どよめいた。
兵士の1人が宝児に直接聞いた。
「じゃあ君、強いのか」
「いえ弱いです」
おどおどしながらさらりと答えた。
別の兵士も聞いた。
「な、何か武術やってるのか? 剣術とか、槍術とか」
「水泳を少々」
「水泳って、泳ぎの水泳?」
「はい」
「他に何かあるのかい?」
「好きな食べ物はさつまいもとオレンジジュースです」
シギアは的外れな答えに苛立った。
「んな事聞いてんじゃない! 例えば魔法が使えるとか、つまり、何か戦う為の事!」
「そろばんを少々」
「はあ⁉」
シギアは馬鹿にされているようでさらに苛立った。
ペンギンは止めた。
「あー君はもう質問しなくていい! いちいち大きな反応する奴だな」
家臣は言った。
「ところで彼は長い旅で疲れている。説明は明日にして、今日はもう休ませてあげよう」
別の事情を知っている家臣が言った。
「じゃあ彼は2階の部屋に住む事になるから荷物を持って行って」
「はい」
宝児が素直に従うと、突然シギアが呼び止めた。
「あっ君さ」
「えっ⁉」
宝児はかなりびくっとした。
シギアが図々しく言う。
「俺の荷物ついでに持ってってくれない?」
「は⁉」
これもすごいどよめきを誘った。
家来は怒った。
「なんて図々しい奴だ!」
しかしシギアは平然と言った。
「俺は彼より先輩にあたります」
レオンハルトは爆発した。
「はあ⁉ お前来て4日だろ⁉ 何が先輩だ仕事もしてない癖に」
クリウが続いた
「そうよ! 何て図々しい! 意地悪な事して」
「いや意地悪じゃなくて……」
シギアは悪びれないと言うか罪の意識がなかった。
シギアは宝児に御高説ぶった。
「いいか、こっちの世界は甘くない。社会はそんなに甘くないと思いたまえ」
と非常に偉そうに言った。
レオンハルトは頭にげんこつを食らわせクリウは脛に蹴りを入れた。
「何がたまえ、だ! 君、気にしないでくれ!」
「この人少し病気だから!」
と2人は宝児を助けた。
ペンギンが言った。
「あーもういい! 宝児君1人で行きなさい!」
あっけにとられ、個性強い人だなあ、と宝児は感じた。
その時声が聞こえた。
「あいつ本当に勇者かよ⁉」
「えっ⁉」
宝児はかなり驚いた。
「ま、まさか先に来た勇者って、あの人」
と宝児はシギアを見た。
「王様が言ってた『仲良くしてほしい人』ってまさか……」
家臣は言った。
「ああ、もう休みなさい宝児君」
宝児は部屋を出た。
「ああ、この先不安だなあ……」
と言い足早に部屋に駆けて行った。
人間界とヘリウムを自在に行きき(一方通行)出来る設定は今さらながらまずかったと思います。
あくまでも女神が連れてくるか、ヘリウム国内で探さないと世界観が散漫になり、なじみにくくもなってしまうと今さら気づきました。
やはり、面白いつまらないより明確におかしな部分がある作品の方が恥が大きくなっちゃいます。
後気づくのが遅いのも。
現代日本に行けるなら拳銃持った軍人でも連れてくればいい、とか。
ペンギンが神の使いだったら良かったんですけども。
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「人間界にいるんですか!」と人間界を知っている家臣と行く方法を知っている…




