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天から落ちた最強だが性格が悪い最低ランクの勇者が地上で独立部隊パーティーの一員に任命され帝国と戦う  作者: 元々島の人


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驚きの空中2段投げ切り

「素手で戦うだと? 正気か」

 

 信じられんと言う顔でサリディアスは呆れた。

 まさしく馬鹿を見ると言う表現がふさわしい表情だった。

 

 しかしアリザインはそれを感じ取っても平然と答えた。

  相変わらず何を思ってるのか分からない暗い表情ではあるが。

「少し、いやかなりおかしいかもしれん。子供の頃からそうだった」


 しかし何とサリディアスも剣をおいた。

「では貴様と同じように捨ててやろう」

「……」


 アリザインは無言で目を合わせた。

「行くぞ!」


 と言いサリディアスは素手で殴りかかった。

 アリザインは瞬時に見切った。


 パンチを上手くブロックした。

 そして反撃のパンチを見舞った。

 これをサリディアスは上手くかわした。


 しかしアリザインは勢いをつけ何発もの連続攻撃に出た。

 一発一発が重い攻撃だ。

「はあ」

 アリザインは低い気合の声を出した。


 ペースを変えようとステップして後方に下がったサリディアス。

 汗をぬぐう二人の間に緊張が走る。


 サリディアスには先程までの余裕がなくなっていた。

 そして次はサリディアスからパンチ攻撃に出た。


 剛のアリザインに対し柔的な小気味よい攻撃を打っていく。

 しかしアリザインは全てブロックしまたかわして見せた。


 そして反撃に転じた。

 アリザインのパンチは重く前のめりに攻めるような戦い方である。

「何だこいつの勢いは、まるで猛牛だ。腕力もかなりあるが足腰など全身の馬力もすごい」


 戦いの中アリザインの脳裏にふと少年時代が浮かぶ。

 ここから回想に入る。


 十歳のアリザインは放課後「武術修練があるから」と言い友人の誘いを断った。

 友人は「道場を見たい」と言ったが、アリザインは「道場に他人を連れてくるなと言われている」と言って断った。


 それは父親が殺人術の様な物を教えている事を広められると困ったから言われている事だった。

 しかしアリザインは友人からは「何か隠している」と言う影のあるイメージが付きまとう事になった。


 また「将来国の為になる仕事をする為強くなれ」と言うやや漠然とした父や祖父の教えに何となく違和感を感じながら聞いていた。

 

 子供心にも「どこか怪しい、何かを隠している」雰囲気は伝わり不信感につながっていった。

 しかしアリザインは父や祖父の「強い」の一点を尊敬する事でごまかしていた。

「俺は有名な武術より強い武術を習ってるんだ」


 そして厳しいながらも良い意味でも悪い意味でも良い経験をしていると言い聞かせた。

 しかし父や祖父一族がまさか殺人に関わる事をしているとは思わなかった。

 

 自分は正しい武術を学んでると思いながらも少し心細くなっていた。

 ふと学校などで「アリザインの父がしているのは殺人気道術と言う武術ではないか」と言う噂が広がった。

 

 他人の目を気にしやすいアリザインは『普通の少年』を演じる意識が強くなった。

 「特別な事をやっている」ことと「普通」両方の意識を持ちふるまう様になり他者と距離が生まれていった。


「僕はなぜこんなきつい修行しなきゃいけないんだ、しかもこんな怖い技を。人の腕を折るとか首を絞めるとか怖いよ」

「我慢して乗り越えるんだ。お前は将来国を守る立派な人にならなきゃいけないんだ」

 

「僕に人殺しの技を教えてるの?」

「めったな事を言うんじゃない、父さん達を信じろ」

 

 その「信じろ」程信憑性がなくうわべだけのものはなかった。

 回想は終わる。


 二人の殴り合い蹴りあいは激しさを増していき遂に顔などにも何回も当たり血も流した。

「す、すげえ!」

 皆騒然とした。 


 アリザインは技をかけるタイミングを計った。

 右足の後ろに踏み込み喉を掴み「喉掴み投げ」で投げようとしたが防がれた。

 

 さらに両足の間に踏み込み腰を掴んで上に投げようとした。


「くそ!」

 猛然たるアリザインの勢いに一旦ステップして逃げたサリディアスは剣を拾った。

 

 シギア達は叫んだ。

「あっ!」


 サリディアスは開き直った。

「ふふ、俺はそこそこ正々堂々としているが卑怯でもあるのさ」

「きたない!」


 サリディアスは素手のアリザインに剣をふるって行った。

 かわし切れず肩などから血が流れた。


 しかしアリザインは、もう少しで動きを掴める。と踏んでいた。

 アリザインは父とやった組手を思い出した。

「俺は昔はいやいや殺人気道術をやっていた。でも今は吹っ切れた! これからは帝国を倒すためこの力の全てを使うんだ」


 そしてついに空気投げが決まった。

 しかも垂直、上側に。


 上空にサリディアスは投げられた。

「すごい」

 皆驚いた。


 アリザインは攻撃しようと落ちてくるのを待った。

 しかしサリディアスは笑った。

「ははは! 投げられても俺はそこから反撃出来る!」


 剣を構え落ちてくるサリディアスにアリザインは再び手をあげた。

「何⁉」


 何と空中のサリディアスの体が手を触れずにもう一度さらに高く放り上げられた。

「空中の敵にもう一度空気投げ⁉」

「えええ?」


「今だ!」

 剣を拾ったアリザインはジャンプし防御態勢が崩れたサリディアスを切った。



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