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天から落ちた最強だが性格が悪い最低ランクの勇者が地上で独立部隊パーティーの一員に任命され帝国と戦う  作者: 元々島の人


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2人目の転移者 人間界の少年

設定がおかしい所を少し改稿しました。

「ええ? 女神様が」

「ああ、昨日また枕元にいらした」


 家臣達は身を乗り出し話を楽しみにした。

「そ、それで」


 どうもこの国の偉い人物たちはあまり物事を疑わずうのみにしてしまう純な人が多いらしい。

 しかもわくわくしてしまう。


 普通なら、ワンザが少しおかしくなった、と感じ受け止めるのが大人の反応だろう。


 皆帝国の侵攻の悩みで疲れているのかもしれないが。

「うむ、実は今のシギアが噛み合わない状態が非常にまずいと言う事で、もう1人救世主を遣わすという」


 重臣達はさらに歓喜した。

「そ、それはすごいです! で、その人は今どこに?」


 しかし少しワンザはトーンが落ちた。

「それがな、人間界にいるらしいのじゃ」


 これはさすがに戸惑った。

「えっ? 天界ではないのですか? 人間界から降臨するのですか」


「実は今回は神殿に来るわけではないという事じゃ。代わりに女神様の使いが迎えに行ってくれるだろうと」


「そうですか」


 ワンザは説明を続けた。

「その救世主の人ならばバクク様のペンダントを操る事も出来ると言う」


 別の意味の驚きの声が挙がった。

「そ、そんなにすごい方なのですか!」


「我々が人間界に行くのは難しい。女神様や使いの方なら行けるだろう」

「ちょっと楽しみ」




 場所は変わって、ここは帝国前線基地の近くである。


 ここのいかにも大将格が座る王座の様な場所に上官らしき男が肘をつき不機嫌な顔でいた。


 30半ばの長髪で顔も長い、目が面倒くさそうな雰囲気を出しているが、逆に良い事があるとにやにや1人で笑いそうな顔をしている。


 机上の策士にも見えるが、その実、筋肉質で体格は良く、歴戦の経験で今の地位に就いた感じに見える。


 何か考え事をしているのか苦虫を噛み潰した様な顔をしている。


 顎も角ばった男で、その顎で部下を使いそうだ。

 今も顎を掻いていた。


「ええい、ヘリウム王国めいまいましい! 思うままに侵攻が進まん。これでは上の方への報告が出来ん」


 そこへ部下が入って来た。

「カイングロ中佐、ご報告します。先の戦いで、勇者は思い通り動けなくなっていると言う模様です」


 カイングロと呼ばれた男は興味を持った。

「ほう、それはどういう?」


「はい、勇者にはバククが付けた制御用道具がつけられているそうなのですが、コントロールするバククが死んだ事により制御する物がいなくなり勇者は思い通り動けなくなったという事です」


「ほほう」

 カイングロは勝機を見出し冷笑した。


「皆攻めるのは今どきかと申しております」


 カイングロは答えた。


「なるほど確かにな。今まで刺客を2人も倒した勇者がいなくなればヘリウムの戦力ダウンは避けられん。しかし、最近は何度もヘリウムに我が軍が撃退されている。それは割と弱い兵が多く向こうは精鋭だった、と言うのも関係しているだろう。なめていて弱い兵を送った部分も確かにある。だが私が思うに、攻め方が少しワンパターンになっているためだと私は解釈する。なので私が今回作戦を立て実行しよう」


「どのような」

「まあ、それは後だ」


 その頃ワンザは話し合いをしていた。


 部下が状況を説明する。

「これまでの戦いですが、シギアが大きなポイントでした。しかし悪い意味の視点からを申し上げます。まず、帝国の挑発に乗ってしまい味方が矢で撃たれました。またレオンハルトと仲間割れしそれが大きな隙を生みました。さらにこれは彼のせいではないですが、情報が漏れたためにバクク様を……」


 ワンザは頷いた。

「なるほど、どうも彼は能力よりも性格で色々問題を起こしているわけだな。刺客を倒したとはいえ」


「はい、刺客を倒した事は大きな功績かもしれません」


 ワンザは少し考え込んだ。

「少し話がそれるかもしれんが、誰か彼と仲良く、友人になってくれる者はおらんものか」


「え、友人ですか」

 何の事かとかなりどよめいた。

 

 ワンザは説明を続ける。

「うむ、彼はクリウ君とレオンハルトにある程度は心を開いているが、どこか孤独感も感じる。それが心の隙を生んだのではないか。だから本当に彼が心を開く人物がいればな、もしかして彼は変わるかもしれん。国にいなければあるいは人間界から探すとか」




 ここで一旦、場面は切り替わる。


「よーいスタート!」

 大声で号令がかかった。


 場所は変わり、ここは人間界のとある私立高校のプールである。

 時間は午後3時半、いわば放課後の部活動の時間だ。


 次々高校生の選手が順番にプールに飛び込んだが「よーいスタート」の号令をかけかつストップウオッチでタイムを計る少年がいた。


 彼の名は伊坂宝児と言う。

 立浪高校の2年生、水泳部に属している。


 水泳の最中なので今は外しているが、眼鏡がトレードマークの誰から見ても真面目で良く気が利く少年である。

 そう見られている。


 外見も真面目、実直を絵にかいたような顔で体格は中くらいだが水泳部で練習しているため筋肉はある。


 しかしどこかおどおどし周りを気にしている。

 普段は眼鏡をかけているためそのイメージが一層強くなる。


 彼はゴール付近に移動した。

 すると選手が泳ぎ終わり顔を苦しそうに水から出した。


「ぷはあ!」

「先輩、お疲れ様です〇分〇秒です」

 と宝児は言って計ったタイムを告げた。


 しかし、彼はいつまでたっても水に入らない。どうやら一貫してタイムと号令係の様だ。


 誰から見ても真面目だから、タイム係を押し付けられてしまうのだ。


 しかし彼は分かっていた。


「これが今の僕の役目。試合にいつか出るための」


 しかし内心は不満ありありだった。

 いつまでも先輩のお使いばかり、と。


 キャプテンが声をかけた。

「今日の練習これで終わり!」


「ありがとうございました!」


 時間は過ぎ皆が帰宅する時間になった。


 すると宝児はほくそ笑んだ。


「よし、先輩たちの練習が終わった。先輩たちが帰ればこのプールは誰も使わない。1人で一杯練習が出来る!」



 今度は僕が空いたプールで秘密特訓だ。とほくそ笑んだ時だった。 先輩らしき人物が声をかける。


「ああ、伊坂、手が空いたら掃除やっといてくれないか?」


「ええと僕秘密特訓が」

「後にしてくれ」


 しかもまた別の先輩が言った。

「おお、伊坂、この荷物しまっといてくれないか」

「は、はい」


 宝児はいつも必要以上にへりくだった答え方をする。


 先輩は言った。

「いやーお前は本当に几帳面で気が利くなあ」

「あ、いえ」


 宝児は思った。

 僕は子供の頃から「腰が低い、几帳面、素直」って多くの人に言われた、勿論悪い意味で。だからいつも頼まれ事をされてしまうんだ。


 回想の中で皆が言った。

「真面目だねー」

「真面目だねー」


 それを聞く度思う、褒めてるのか、利用されてるのか。


 とにかく宝児はいつもへりくだっているだけでなく、掃除も洗濯も上手く速くて綺麗である。


 結局宝児は掃除をする事になり秘密特訓は出来なかった。


 宝児は溜息をついた。

「あーあ来る日も来る日も号令とタイム係ばかり。これじゃいつになっても試合に出れないよ。特訓できずに先輩の雑用ばかりだったな。まあ僕も悪いんだ。自分の言いたい事を抑えてしまうからか」


 彼は環境と言うよりも自分の性格が災いしてか今1つ自分の思い通りにならなかった。


 水泳が好きでもっと練習して試合に出たい、自信だってある。


 でも普段はプールを先輩達が占拠して自分は号令とタイム係ばかりで、終わってから練習しようと思っても今度は掃除などの雑用を言いつけられてしまう。


 彼は掃除が終わり帰路につき夜7時半頃公園のベンチに座り溜息をついていた。


「はあ……僕は水泳が好きだ。だから上手くなって試合に出たい。そして1番になりたい。そのために色々やって来た。でも時間さえないんだ。みんな僕をお人よしとしか思っていないんだろう。」

といつしか一人事を言っていた。


 そこへ隣から声が聞こえた。


「それは礼儀正しい事を良い風でなく悪い風にとらえているからではないかな?」


 振り向くとそこにはペンギンが座っていた。


 と言うよりペンギンのぬいぐるみを着たショーに出る人間に見える。


「わあペンギン! じゃなくペンギンの縫いぐるみ着た人ですか! 何故僕の事を」


「ふふ、それはな、別世界から君を迎えに来たからじゃよ。わしは神の使いじゃ」


「神の使い? え、ええ? テレビの話ですか? 間に合ってますんで」

 さすがに疲れもあり冷めた目で断った。


「じゃあ」

 と言いベンチを立った。


 するとペンギンは答えた。

「あーあ待ってくれ。では証拠を見せよう」


 と言いペンギンはステッキをかざした。

「空間を開ける魔法じゃ!」


「うわ!」

 宝児が驚いた様に言うと本当に空間に黒い穴が開いた。


「覗いてみたまえ」


 宝児が恐る恐る覗くとそこには望遠鏡の様にヘリウムの風景が見えた。

「な、何か望遠鏡みたいに見えるんですけど!」


「そこが我々の住む世界じゃ。信じてもらえたかな?」


「ええ」

「私は君を呼びに来たのじゃ」



ここまでお読みいただきありがとうございます。今後人物紹介表を投稿するかもしれません。その際はネタばれすぎないようにしたいと思います。


城の人なんで人間界を知ってるんでしょうか…

ペンギンは神の使いです。

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