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パワー特化と仲間の再会

 翌日、午後4時にミカンはゴーストと同じタイミングでゲームにログインした。

 リアルで2人はネット上の連絡を取り合っているのでこのタイミングのログインが出来たわけだ。


「さて、昨日最後に獲得したスキルを分配するとしましょう」


「紙でもらったんだっけ。で、どっちが欲しかったの?」


「こっちの〈亡者の進行〉ですね。私みたいなプレイヤーには最高のスキルですよ」


「なら、私はこっちの〈スキルカッター〉だね。これってどんなスキルだろ」


 ここで2人が今取得したスキルはかなり強力なもので、相性の良い2人なら使いこなせるだろう。



 〈亡者の進行〉...効果:自身を霊体化させてあらゆる物理攻撃を無効化する。炎などのエレメンタル系は効くが、素早さが+100になるので簡単には当たらない。


 〈スキルカッター〉...効果:刃物による攻撃でエレメンタル系のスキルを切れる。しかし、耐久が極端に低くなるので物理攻撃を使用中に受けたら折れてしまう。



 どちらのスキルも弱点は大きいがかなり強力だ。

 2人が満足に思うほどに強いスキルを得てまた簡単には負けなくなってしまった。


「これはまたとんでもないね」


「予想以上の収穫でしたね」


 2人して喜びの声が出た。

 それからハイタッチした。


「で、今日は食事するんだよね」


「はい。色々と記念してやっちゃいましょう」


 あの喜びとパーティー結成を祝してゲーム内のレストランで食事することにした。

 まぁ、ほぼゴーストの奢りになるんだけどね。




 ----------------------------------------




 目的のレストランは評価星四の上位プレイヤー達がよく訪れる最高の店だ。

 そこに案内されてミカンが入ると、いきなり他の前回イベントで上位になったプレイヤー達が睨みつけてきた。

 その時感じた肌にビリビリとくる緊張感のある空気はこのゲームで初めてミカンを本気にさせた。

 あとから普通に入ってきたミカンは店員に声をかけた。


「いつもの席って空いてますか?」


「あそこはもうあんたの指定席だっての。他の連中同様に好きにしな」


 店員(女店長)にそう言われて入り口近くの外が見える席にゴーストは座った。

 それに続いてミカンが向かいの席に座った。

 この空気にまだピリピリとしてるミカンはどっかの席から歩いてくる人達をすぐに見た。


「やっぱりミカンだ!久しぶり!」


 そう言う人物はかつてのミカンの仲間だった。

 その顔を見たミカンは驚きつつ警戒を解いた。


「天馬か。5年ぶりだね」


 素っ気なくそう言ってやると相変わらずだねって感じの顔をされた。

 そんな先頭の人物の後ろから見るからに生産職って感じの女が出てきた。


「送って正解だったね。ミカンならハマると思ったよ」


「カンナ姉、今は感謝してるよ。めちゃくちゃ楽しんでるからね」


「どうせあんたのことだ。あたし達のことを考えてプレイしてたら仲間ができちゃったんでしょ」


 カンナはゴーストの方を見ながらそう言った。

 図星を突かれたミカンは静かにやり過ごそうと考えた。

 でも、昔の6人の仲間達は逃すつもりが無いらしい。

 その内の剣士の男がゴーストに気付いて話しかけた。


「誰が一緒なのかと思えば2位のゴーストじゃないか」


「そう言うあなたは6位のフライじゃないですか。前に私に絡むなと言いましたよね?」


「仕方ないだろ。昔の仲間が運悪くこのタイミングで来ちまったんだから。てか、お前が連れてきたんだろ?いつものお前らしくないぜ」


 フライという背の高い男が余計なことを言うとゴーストは影の腕を彼に向けて言った。


「私が何をしようと勝手ですよね?確かにタイミングは間違えましたが、どうやらミカンはあなた達と今はまた組む気が無いみたいですよ。お引き取りください」


 その発言を聞いてフライは引き下がった。

 でも、天馬は引き下がるどころか楽しそうに一歩前に出た。


「ミカン、どうだろうか。彼女も一緒でいいからまたリーダーになってくれないか?」


 その申し出にゴーストは怯んだ。

 ミカンの方を見ると笑顔で怒りをあらわにしてるのが見えた。


「嫌だね。私は怠け者は嫌いなの。誰も寄せ付けない強さこそが私達のチーム『レインボー』の基本だったのに、このゲームを勧めておきながら個人で一位になってる奴がいないなんて話にならない」


 そう言われて全員が個人の順位をわざわざ提示した。

 これでも頑張ったことを示そうとしてるのだろう。

 しかし、並んだのは『天馬4位』『フライ6位』『カンナ不参加』『カオス10位』『デビラ128位』『サクラ53位』とミカンを余計に不満にするだけの順位だった。

 誰一人として偶然味方にしたゴーストより強い奴がいない。

 あまりの不甲斐なさに元リーダーのミカンは頭を抱えてため息をついてしまった。


「せめて3位以内が一人でもいればと思ったけど、誰もいないなんてガチで話にならないよ。どうしてもと言うのなら次のイベントで成績を残せ。言っておくけど、運も実力のうちだ。ゴーストを偶然仲間にしたことを悪く言おうとしてるならこの話は破棄するからな」


 高圧的に元仲間達に高い目標を与える。

 これくらい出来て当然だったのが昔ならミカンがこう言うのも仕方ないのだろう。

 だって、ミカンの最終目標は最強なのだから。


 このことを了解した6人は支払いを済ましてすぐにその場を後にした。

 ミカンは不甲斐ない元仲間達でもやってくれると信じている。

 ゴーストもミカンの元仲間ならパーティーに混ぜてあげてもいいと思っている。

 また仲間になれるかはあいつらの頑張りにかかっているんだ。

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