パワー特化のスキル集め
今、ミカン達は目的のスキルを得るために森の中に入っている。
今回手に入れておきたいと思ったのは〈爆破〉というスキルだ。
「ここに爆裂草という草が生えてます。それを食べればスキルが手に入りますが、代わりに大ダメージを受けるというデメリットがあるそうです」
ゴーストはサイトをチェックしながらそう言った。
言い終えてミカンの方を見るとすでに食べていた。
「...ポーション用意しておきますね」
ゴーストが呆れ顔でそう言った直後にミカンは爆発で見えなくなった。
すごい煙でしばらく何も見えなかったが、煙が晴れると座って大ダメージを受けたミカンが〈爆破〉を獲得して堂々とそこにいた。
「これくらいのダメージはカラスと比べたらマシだよ」
そう言いながらゴーストから手渡されたポーションを使った。
フル回復したミカンは立ち上がってスキルを確認した。
それからすぐに〈高圧斬〉と〈爆破〉を統合して〈爆裂斬り〉に変えた。
「うまくいきましたか?」
「うまくいきすぎて怖いくらいにね」
ミカンがそう言うとゴーストはさらに強くなった彼に喜びを感じて笑みを浮かべた。
そんなゴーストが次に良さそうなスキルを探していると、《深夜の亡霊退治》というミニイベントで手に入るスキルが目に入った。
「そういえばもうすぐ深夜ですね」
「確かに!ここは明るい森だから分かりにくいけど、そろそろ深夜帯に入って出現するモンスターも変わるらしいね」
「それで、深夜専用のミニイベントがあるんですよ。そこでいいスキルが手に入るんですけど、やりませんか?」
「いいね!なんて言うやつなの?」
「えっと、《深夜の亡霊退治》ですね」
ゴーストの口からのその単語が聞こえた途端にミカンは青ざめて固まった。
そして、カクカクした動きでゴーストに向き直して震え声で尋ねた。
「ねぇ、このゲームって亡霊系とかアンデッド系とかって出るの?」
「えっ?普通に出ますよ」
ゴーストがそう答えるとミカンは泣きそうな声で言った。
「幽霊はダメ!ゾンビもダメ!怖いの無し!」
意外な反応にゴーストは目を点にして驚いた。
あんなにも嬉々としてモンスターを狩れる男の娘がまさか幽霊を怖がるなんてゴーストは思わなかった。
「えっと、欲しいスキルがあるんで我慢してくれませんか?」
ゴーストがそう聞くとしばらくミカンは恨めしそうな目で睨んでから仕方なく了解した。
「ゴーストは私のスキル集めを手伝ってくれたし、仕方ないからやってあげる」
それを確かに聞いたゴーストはミカンの気が変わらない内に手を引いて目的の別の森を目指した。
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《深夜の亡霊退治》が発生する森はさっきまでと違って薄暗い感じのいかにもな場所だ。
そこでミカンは周りを警戒しまくってるが、その横でゴーストは冷静にミニイベント発生条件を検索している。
「ゴースト!早くしてよ!」
「そんなに怯えなくても大丈夫ですよ」
そう話してると突然空気が変わって2人の目の前にまあまあ強そうな亡霊が現れた。
発生条件は深夜0時ジャストにこの森の中にいることだった。
「あれが例の亡霊ですね。倒して森の亡霊達の平和を取り戻せばいいみたいですから、今回は私が相手をしてみましょう」
そう言ってゴーストは盾を構えて前に出た。
ミカンは震えて刀と銃で警戒を続けている。
ゴーストはそんなミカンを守るようにしながら亡霊と対峙している。
「さぁ!掛かってきてください!」
そこでゴーストは〈挑発〉を発動して亡霊に突っ込んでくるように仕向けた。
真っ直ぐ向かってくる亡霊はゴーストのことしか見えていない。
「〈影をもたらす者〉からの〈シャドーネイル〉です!」
盾を持っていない右手に影を纏わせて、それを鋭い爪のある手の形に変えた。
それを構えて突っ込んでくる相手に盾と入れ替えに突き出して攻撃した。
しかし、亡霊はそれを避けて盾のある方に回り込んだ。
腕が簡単に届かなければいいと思ってるのだろう。
「残念でした!私が一番頼りにしてるのはそっちなんですよ!」
そう言うとゴーストは盾のスキルを発動した。
〈魂の捕食者〉は幽霊系を吸収して、他のは魂を吸い取って一撃で撃破する。
そんなスキルによって亡霊は盾に飲み込まれて消えた。
こうしてミニイベントを終えてたので報酬としてスキルの紙が2枚現れた。
「やりました!欲しいスキルが手に入りましたよ!」
ゴーストが嬉しそうに紙を持って振り返った。
その時、ミカンはあの亡霊が消えたことによって活発になった雑魚のアンデッド達を見て半狂乱になっていた。
それを見たゴーストは『あっ、これマジでダメなやつですね』と思った。
仕方なくミカンを落ち着かせるために買っておいた転移魔法で街に戻った。
その後はミカンを落ち着かせるために今日のプレイを終了させた。