パワー特化の初狩り
あのチャラ男に言われた南に進むと森に入った。
そこを進んでいくと弱いモンスターがたくさん姿を見せた。
「今機嫌が悪いんだわ。手加減できないけど我慢しな」
そう言った直後、ミカンは刀を抜いて一振りした。
すると、ものすごい圧が発生してモンスター達を吹き飛ばして全滅させた。
直後にピロンっと鳴ってレベルアップとスキル取得が表示された。
今回得たのは〈高圧斬〉〈威嚇オーラ〉〈挑発〉の3つだ。
〈高圧斬〉...取得条件:ステータスがパワー特化の状態で刀を振ること。
効果:ものすごい圧で相手を吹き飛ばし、当たれば大ダメージを与える。当たらなくても近ければ中ダメージを受ける。
〈威嚇オーラ〉...取得条件:相手を高圧的に威嚇すること。
効果:相手に強いと思われていればオーラを見せて威嚇できる。
〈挑発〉...取得条件:相手を舐めてるような言葉を投げかけること。
効果:相手は使用者に釘付けにされる。しかし、別の奴に攻撃されると使用者から目線が移動できる。
こんな3つを手に入れたミカンは少し機嫌が良くなった。
強くなるのは誰でも悪い気はしないだろう。
それはパワー特化の男の娘でも例外では無い。
「さぁ、もっと倒していこう」
不気味に「ヒヒヒッ」と笑った。
ミカンはそれから周囲のモンスター達に〈挑発〉を発動して寄せ付けた。
一瞬ブンッと赤い光が広がるとモンスター達はミカンだけを見つめて襲いかかる。
「パワーこそ正義!誰も寄せ付けない強さこそ最強の証!」
まるで狂気にでも取り憑かれたかのようなミカンは鬼気迫る笑顔でそのモンスター達を次々となぎ倒していく。
それを近くを通りすがった人々が見ると、普通にかわいい戦闘狂が狂喜乱舞してるようにしか見えなかった。
通りすがった内の1人はこの美しくて狂気的な人に見惚れてしばらく見入ってしまった。
「もっと斬らせなよ」
倒しきってまだ物足りないミカンは消えていくモンスターの死骸の中心でそう言った。
それからすぐにまた〈挑発〉を発動して集めることにした。
しかし、残念ながらモンスターは来ないで代わりにずっと見ていた人が〈挑発〉によって襲いかかってきた。
「えっ?なんで人が襲ってきてるの!」
そう言いながらミカンは敵の攻撃を刀で抑えた。
相手の子は申し訳なさそうな顔で謝る。
「ごめんなさい。思わず戦う姿に見惚れてしまって。それで〈挑発〉の範囲内に入ってしまいました」
その言葉でミカンはこの大盾使いの少女が襲ってきた理由を理解した。
それと同時にモンスターを狩り切ったことを残念に思った。
「許してあげるから離れて」
「あっ!そうですね!」
少女はミカンに言われて離れた。
その直後にミカンはここに久しぶりのゲームをエンジョイさせてくれる敵がいなくなったのでため息をついた。
刀も鞘にしまって戦う姿勢から移動の状態に切り替わった。
「ほんの数分で終わるなんてつまんない」
狩り尽くした狩り場を名残惜しそうにするミカンは全身から不満が伝わってくる。
なんでか悪い気がしてきた大盾使いの少女は自分が知ってるダンジョンを教えることにした。
「あの、戦ってる所を見せてくれるなら隠しダンジョンを教えますよ」
そう提案するとミカンは笑顔で少女の方を向いて即答した。
「見せるだけでいいんだよね!それならかまわないよ!」
「なら案内します。あっ、私ゴーストって言います」
「私は初心者のミカンだ。よろしく頼む」
こうしてミカンは最初のダンジョンに挑戦することになった。
このゴーストが実はすごい奴であることを知るのはもう少し後だ。