パワー特化の始まり
初めまして!これからこうして書いていきますが、何かあれば言ってください!参考にしますし修正にも活用します!
あっ、拙い文章ですが読んでいただければ幸いです!
では、どうぞ!
ある日、友達からVRMMOのソフトとヘッドギアなどのセットが送られてきた。
黒咲寒美はそれを嫌々ベッドの上に置いて睨み付けた。
「あんのクソ女!私はVRMMOはやらないって言ったじゃん!」
そう言いつつ棚に飾られたトロフィーを横目で見た。
それは仲間と一緒に勝ち取った栄光の証。
昔のゲームで仲間達と5人で優勝した時にもらったリーダーの思い出を象徴するもの。
それを見てしまった寒美は昔の男の娘初の優勝になった頃の血が騒いでしまった。
「あの子が贈ってきたってことは、そういうことだよね」
そう言うとさらにウズウズしてきてしまった。
久しぶりに本気を出したくなってきた寒美はヘッドギアに手を伸ばした。
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送られてきたソフトは《Unfinished World Online》だ。
通称UWOと呼ばれてまだ総勢1万人しかプレイしていない。
しかし、第一回イベントを終えて段々とプレイヤーが増えてきている。
その世界は未完成でまだ東京くらいの広さしか無い。
十分に見えるかも知れないが長くやってもらうには少し狭いマップになっている。
こういう感じの多くの欠点があるが、それは毎週の更新でどんどん変わってプレイヤーに喜びと絶望を与えている。
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そんな生物のようなゲームと表現されるUWOに旧最強が向かった。
ヘッドギアのセットアップを終えてゲームを始めると、最初の無機質な空間に送られた。
「さて、名前から決めないとね」
表示された画面で操作して名前を入力し始めた。
「寒美はカンミって書くから、並び替えてミカンだね。いつも通りにしよう」
そう言ってぽちぽちと入力すると、今度は武器の選択画面に移った。
数多くの武器達が選んで欲しそうにミカンを囲む。
「さて、ここからが難しいんだよね。近距離も遠距離も魅力的だし、昔のゲームでは遠近両方を同時に使ってたんだよね」
そう言いながら眺めていると、刀と拳銃の装備セットが目に付いてしまった。
それに運命を感じて手に取った瞬間にミカンはゲーマーとして復活した。
「剣と銃のセットがあるなんて驚いた。でも、これなら子供の私でもまた戦える」
手入れた武器達を抱きしめて残りの設定もパパッと終わらせた。
ミカンは最初に振れるポイントをパワーに極振りして今後それが奇跡の強者を生む結果になる。
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準備を終えたミカンはプレイヤーの拠点になる街に転送された。
そこに着くと辺りを見回した。
初めてのVRMMOだから色々と初体験を記憶しようとしてるのだ。
「ほんとにすごい。昔のゲームなんて比べものにならないね」
目を輝かせるミカンはすぐに切り替えてレベル上げを始めることにした。
それで狩り場を誰かに教えてもらおうと思ってウロウロし始めると、誰にも追いつけない足の遅さにびっくりした。
「おっそ!仕方ないけど、これじゃあ狩り場を聞くことさえ出来ないじゃん」
そう言って困っているとチャラそうな男が声をかけてきた。
「そこのお嬢さん、お困りかな?」
お嬢さんと呼ばれたことにミカンは内心喜んだが、被害者になるこの人を想うと気の毒にしか思えなかった。
「初心者でどこにモンスターが出るか分からなくて困ってるんです」
可愛らしい仕草と話し方で相手に女と思わせるミカンのよくやる手だ。
それをくらっても笑顔でチャラ男は普通に教えてくれた。
「それなら南に行くといいよ。方位磁石あげるからそれに従っていけばいいからね。じゃあ、頑張って!」
そう言って男はそのままどこかに行ってしまった。
普通に接して何もなく行ってしまった男にミカンはキレた。
「何が頑張ってじゃ!このクソガキがぁ!少しは気になりやがれぇ!テンプレを守らないとはほんとにガキめぇ!」
その場で地団駄を踏みながら怒鳴り散らした直後に「うにゃぁぁぁぁぁ!」と奇声を上げたことが、後に有名になるが今のミカンはそんなことを知らない。
しばらくして落ち着いたミカンはそのうち会えるかもしれない昔の仲間達のためにレベル上げに出かけた。