王太子の悩みー前
王太子視点です。
王太子苦手な方はこれと「中」をスキップして「後」から続けても大丈夫ですが、結構印象が違うと思うので読んでみてください。
文章をわざと断片化した。
読みづらいかも知れません。すみません。
19/04/02に恋愛・異世界ジャンルに変更しました。問題だらけとは言え、ほぼ恋愛に関する話なので、悩みに悩んで結果で変更しました。
俺はカヒラ王国の第一王子、マルコ・フランセス・カヒラだ。長年の悩みは婚約者ミランネ・セリカ・ラオダだった。
婚約したのは俺が13才で彼女は丁度12才になった。契約した時、俺は参加出来なかったが、なぜか彼女だけ参加出来た。俺が年上で身分上にも関わらず。解せなかった。腹立った。
父上に聞いたら、微妙な表情で誤魔化した。ますます腹立った。
そもそもカヒラの王族は貴族のように若く婚約するのは珍しかった。その理由は一つ、招きする勇者・聖女の相手になるのが多いからだ。
両親もそうだった。母上が招きされた時、父上に一目惚れして早々結婚した。そして俺を産んだ。これはカヒラ王族の在り方だ。
異世界人のイメージは母上から来た。綺麗で不思議な空気感を羽織って。笑顔の裏はどこか寂しくて。普段は物静かだけど、感情上下左右激しくて。俺は小さい頃から母のような聖女と結婚すると思ってた。
初めて彼女にあった時、俺は完全に騙された。
腰まで伸びる真っ黒な髪は満月の夜の海みたいにキラキラ光って、真っ白な肌を引き立てた。アメジストより深い紫色の目は大きくて宝石の様につい凝視したくなるぐらい引きつけた。
母上と似た異世界感を感じた。その瞳があらゆる事を見通せる感覚だった。
異世界人じゃないけど、彼女は聖女だ。
最初に見た時、そう感じた。
けど、全然違った。
不世出な美しさを持つ妖精と見間違える娘、ミランネはいつも人形の様な密かな微笑みを浮かべた。
だけど、目には感情がなかった。面白い話をしても、真剣な話をしても、ゲスな話をしても、悲しい話をしても、その顔に何の変化もなかった。貴族の鏡と教育係達は褒めたが、俺は気に入らなかった。聖女らしくないと思った。
いつも暇な時間があったら、彼女は図書室に隠れて何かを書いたり読んだりしてた。時間があったらなんで俺と遊ばないのか解せなかった。
彼女が学園に入学した時、俺はチャンスだと思った。
宮殿に居ても彼女は勉強で忙しくてほぼ会えなかったが、学園内ならっと思ったら、全然逆だった。暇な時間なんてなかった。彼女は学園の男達にチヤホヤされて、女達の憧れになった。学園の中心な存在だった。
でもそれはまだ良かった。俺の婚約者として当たり前だった。
許さなかったのは彼女の反応だった。
男達が近づき過ぎて不愉快な表情と表現。
女達の訳分からん喧嘩に巻き込まれて怒りの表情と表現。
俺に何されても涼しい顔で避けて、大人たちの所にすばやく逃げたのに。
意地悪や愚痴を言っても何の反応も無く人形のように俺を見つめただけだったなのに。
何故あのチャラ男に睨む顔を見せてあげたのか。アイツを興奮させてあげたかったのか。
そして、一番許せなかったのは彼女の笑い声を聞いた時。
愛想笑いではなく、その軽く短いちょっと鼻で笑った音は聞いた事なかった。
俺が婚約者なのに。俺の婚約者なのに。
動揺した。
そして、その彼女を笑わせた相手を憎んだ。
魔法教師兼司書のナッシュ・ヒューストン。
36才。魔法使いとしては優秀で、教師としての評判も良かった。
身分は平民で孤児。
良く底から上がって来たとはその瞬間までの印象だった。が、一秒で変わった。
悪意を感じた。
この成り上がりはどんな手を使っても地位を取ろうとしている。公爵名を狙ってんのか。いや、それは無理がある。だとしたら。。。次王妃の愛人狙いか。ありえる。その立場を利用して国認魔法士でもなりたいのか。虫を排除せねば。
指示を出したら、アイツは王都から消えた。詳しく聞かなかった。
彼女から何の反応もなかった。逆にもっと人形っぽくなった。怒ったり悲しんだりすればよかったのに。
三年生になる前の初春、彼女の父が死んだ。宮殿で起こったので、死体を連れて帰る彼女を見た。無表情のマスクの裏にあるその悲しみを見た。朝日の空より眩しいその目に浮かんだ感情が美しく過ぎて見入った。
目を瞑ってもその表情は頭から離れられなかった。
もっと見たかった。
もっと見たい。
強い願望が生まれた。
その後、彼女は早卒と言う事になって、学園に戻らなかった。毎日宮殿で王妃修行をしていると聞いた。成績優秀な彼女はもう学園でも宮殿でも学ぶ事はもう無いのに、なぜ俺がいる学園では無く宮殿を選んだのか解せなかった。腹が立った。
その時に出会ったのはカレン・ネアキ。前ネアキ伯爵の末娘カレンは他の娘と違った。太陽のように明るく、表情豊かだった。カレンといると楽しかった。面白い話をしたらケラケラ笑ってくれた。悲しい話をしたら号泣してくれた。意地悪したらプンプン怒ってくれた。そんな反応が嬉しくて面白くて、中毒した。
下品だの行儀悪いだの周りは煩かったけど、俺は無視した。堂々と一緒に行動したり出かけたりしたら、噂されているよと注意されても構わない。
彼女は怒ればいい。悲しめばいい。嫉妬すればいい。
夏頃、カレンは俺に泣きついて来た。
ミランネに虐められたって言った。
あの時、俺はどれだけ嬉しかったのか分かるか。彼女が自分の意思で動いただと。
周りの疑問を無視して、胸張って語った。
彼女は怒っている。
嫉妬している。
当たり前だ。
とある夜、母上が俺を冷たい目で見た。何やってたのかは覚えてないが、多分自慢話とかだった。
「マルコ、浮気は女にとって裏切りだ。ミランネちゃんに嫌われるわよ。」
そうだ!
そうだったのか!
流石母上。
中途半端な馴れ馴れしい関係でこれだけ嫉妬したら、本当の浮気ならもっともっと怒るだろう。
俺の目の前に叫んで怒って悲しめばいい。
浮気しても、反応無かった。最近カレンは俺にベッタリで、虐められたりされなくなった。カレンを彼女に近い所に置いて観察したら、彼女は何もしなかった。スルーを乗り越えてほぼカレンを空気扱いした。
カレンを問うたら、無視するのは立派な虐めと言い返した。
それはそうだ。
彼女は嫉妬している。
当たり前だ。
真冬に最高武器を貰った。カレンは妊娠したって。
嬉しかった。
満面の笑みが浮かんだ。
彼女はこれに反応しないのは無理だ。
カレンの家が素早く動いてくれた。
彼女の叔父まで協力してくれた。彼女は俺を置いて帝王国に旅行したので、動きやすかったんだって。
彼女が帰ってから最初の遠見で暴露しようと思ったが、ネアキ伯爵はもっといい提案があった。彼女は魔法に優れている為、怒ったら危険だと説明した。魔法の揺るぎを見せた事はない彼女は感情制限出来ないと魔法が暴れる可能性があると。
当たり前だ。
俺に捨てられたら、暴走するに決まっている。
俺はこれまでの愚痴や噂を彼女にぶつけて、不愉快だと言わせればいい。
これまでの努力を否定すれば睨むかなぁ。
泣けば最高だ。
怒った顔はお楽しみ。
俺は分かる。
彼女の感情深さ。
その仮面の裏に眠る感情をどんな手を使っても俺に向かせる。
それなのに、彼女が笑っていた。
事前に用意した台詞は彼女に腹立ちを超えて激情させる言葉だったのに。彼女は全部失くした。
俺に抱き着き、謝ればいいのに。
涙目で誤解だと叫べばいいのに。
彼女はそうしなかった。
妖精を越えて妖精女王に化生した彼女は十七才と思えないぐらい色っぽくて遠見の皆が虜になりそうだった。綺麗な整った顔の特徴はやっぱり魔法を感じさせる深い紫色の猫目。血が通ってなさそうな真っ白な肌は滑らかそうでつい手で確かめたくなった。色気を足しているのはブラッドレッドの口紅。その形のいい口が笑っていた。歯が見えるぐらい満面の微笑み。目が細くなって長いまつ毛が頬に影を落とした。
そして、俺をスルーしてカレンの兄に話しかけた。
違う。
これは俺が計画した。
何故俺を見ないんだ。
何故。
何故。
何故。
解せぬ。
あらすじ:王太子は馬鹿な幼児です。好きな子の気を引きたくて虐めちゃうドSです。病んでいます。
ミランネもマルコも相手をちゃんと見てなかったです。見てたとしても合わなかったでしょう。