魔嬢様の人形遊びー6
ブックマークありがとうございます!
ちゃんと読んで頂いていると実感できて、書き続くエネルギーになってます。
フラッシュバック続きます。
剣の研究に任されたのは私の四歳年上の幼馴染みであるアズール皇太子。通常アズ兄。
これでルイン家は帝王国の地位を保てた。
嬉しい事に、研究進歩や発見でアズ兄との連絡は定期的に出来るようになった。魔帝王の弟であるアズ兄は幼馴染みとはいえ他国の貴族で婚約済令嬢と連絡を取るのは顰蹙を買う行動だった。だが、この極秘研究の為なら許された。
ま、カヒラ王国にバレたら、私は即反逆罪で斬首刑だったし、お父さんには内緒だったのはちょっと罪悪感を感じた。でも、徐々にいつも真夜中に到着する宅配カラスを見る時は一番幸せを感じたのは間違いなかった。
最初から古代語の文字の多い手紙が自然に変形古代語に乗り越え、暗号化になり果てた。
もしうっかり誰かに見つかっても、専門家三人が動力しても解くかどうかわからないレベルだった。
研究開始から三年、発見が少なくなり改善に切り換える時期に、個人話も混じってきた。アズ兄は真面目で優秀だが、裏表が無いと言うか、建前は苦手。それに猛毒舌持ち。
普段は催しを避けるが、皇太子として出席しないと不味い時も多々ある。
その時に起こる事件やエピソードが手紙に現れ始めた。
多分アズ兄からの慰めだと今思ってる。あの時期は学園だの王妃訓練だの、色々とストレス溜まっていた。
アズ兄のほのぼのではないが滑稽な話を読んで、息抜き出来た。笑えた。
返しに自分のエピソードを書いたら、私のために怒って、言えなかった毒舌を吐き、違う視線で状況を分解してくれた。
研究論と個人話の割合は1:4になった頃、父が急に体調を崩してそのまま他界した。
宮殿のど真ん中にある事務室にいたにも関わらず、誰も救えなかった。
邸宅に戻って、部屋に引き込んで、思考が暗い所に行き始めた時、夜空が映る窓から影が入ってきた。
目が涙でいっぱいでよく見えなくて、気が付いたら誰かにきつく抱きしめられた。
顔が固い胸板に押し込まれて、夜風のイイ匂いに包まれる。顔が見えなくても、自由と感じるこの匂いで誰なのかは感で分かる。
「アズ兄。。。」
「。。。ラン。」
数年間会えない間、低い響きのいい凛々しい声になった。アズ兄にしか呼ばれない愛称が冷めた体に反響する。私を包む腕は力が入った。
手を伸びて、抱き返した。
温かい背中は意外と筋肉質で、私が力いっぱいぎゅっとしてもびくともしなかった。
溺れる感覚に近い気持ちに追われて、離せなかった。
起きた時、アズ兄は居なかった。
ベッドの布団の中で春朝日は窓から照らしたが、なぜか寒く感じた。
残ったのは手紙一通とベッドにちょっと凹んでる所にわずかな温かさだった。
フラッシュバック終了。
アズ兄が残した手紙に何書いてたのかは秘密です。
遠見の会場に戻ります。