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魔嬢様の遊び  作者: たんぽコロ
1ー魔嬢様の人形遊び
5/44

魔嬢様の人形遊びー5

フラッシュバック編です。

亡母の実家デゥ・ストロイは昔から各国と商売・融資をしている【天下の銀行】とも呼ばれる家。

本家から分立して帝王国を拠点にしたルイン家は数十年前からカヒラ王族にお金を貸した。

元々大した金額ではなかったが、徐々に増えた。十五年前、前ルイン侯爵であったお爺さんはこの融資に賭けた。愚か者ばかりなカヒラ王族は返せない借財金額になると、カヒラ王国を貰う。

金貨の代わりに私はマルコ王太子と結婚し、後々カヒラ王妃になる。

けど、リスクと負担は大きかった。普通の人なら10万金貨あったら一生極楽で住める。2億帝金貨はとんでもない金額だ。それが戻ってこなくなると、ルイン家を破算危機状態に必ず落とす。

ルイン家はもうデゥ・ストロイ家族の中で最弱になった。

前侯爵の判断に猛反対したルイン家の跡継ぎは他の分家に婿入りして逃げた。

私だって出来たら同じ事をしたんだ。この賭けは危なすぎた。

五年半前、私はお爺さんと喧嘩した。小さい頃からデゥ・ストロイ流勉強と王妃訓練に没頭した私はお爺さんの誤算に気付いた。

ルイン家は毎年弱っている。

私が適年になるまで六年。今はまだ契約を飲み込ませる権力はあるが、六年後は厳しい。

それに、今正式にルイン家の人はお爺さんとお婆さんのみ。跡継ぎは一応私だが、カヒラ王国の貴族でカヒラ王族に嫁入する予定である私はどう見ても帝国法律上ルイン家を継げない。

この馬鹿危ない状態で養子になりたいまともな人はいない。もしお爺さんお婆さんに何かあったら。。。自身が危ない。

私まで処理したら返金しなくて済むし、もっと効率的な婚約相手を自由に選べる。

お父さんは公爵兼大臣で権力はその時あったが、上から腐り果てている貴族が溢れて敵無数。父一人じゃ私が誰かに殺されたって何も出来ない。

反逆罪にでも訴えられれば終わりだし。

契約を違反しないように何かで保証しないと。


それで、相当しい物で裏付ける。


地域は広くないし豊富でもないポンコツカヒラ王国は長い間平和でいられたのが、王族が持つ究極兵器。


異世界から勇者・聖女を招き出来る物。


最初は世界問題級邪悪ドラゴンなどの対策として作られたと言われる古代魔道具がカヒラ王国の尻拭き物化した。

愚かな態度を取って隣国と揉めて戦争になったら勇者招き!

研究や進歩しないで数年間収穫失敗したら聖女招き!

魔法頼りがちの帝国でも呆れる程未開発国になった。頑張れば世界制覇出来るレベルのチートツールを持ってこの有様。


その究極魔道具の詳細情報は勿論カヒラ王国が抑えたが、幼い自分でも自己保存の為に一生懸命調べた所、色んな情報を掴めた。


一・魔道具は二個ある。戦闘用の勇者招き具と癒し用の聖女具。


二・形は剣とティアラ。


三・宝庫の中にある。


その三つのポイントを持って、契約制作の為にお爺さんと宮殿に入った。


設定は簡単だった。お爺さんは孫娘の私にメロメロで、どうしても私を王妃になってもらいたい。

私は我儘でうぬぼれなお嬢様。

それで婚約などの事を受け入れ、大事な場面に到着した。


裏付けを宝庫から適当に選ぶと言って、カヒラ王と王妃はお爺さんと私を宝庫に連れた。

勿論、護衛と使用人も数々あったが、最小限だった。王の借金事情を広めない為だった。


「ミランネ、選んで来い。」


「はあい。」


間抜けな返事をしながら気軽な感じで宝庫に入った。

王と王妃はそわそわしながらお爺さんと閉めた門の内で小話をする。

他の人は門の外で待機。これを幸運だと思った。

監視が多くあったら、思うように動けないから。


宝庫は結構物いっぱいだった。それに、簡単に金に変えられない物が多い。

独特と言うか凝っていると言うか、兎に角派手で悪趣味。

最初はマジで金に成りそうな物を選びながら探索する。金の塊やらでかい宝石の指輪やら、次々と部屋の真ん中に運んだ。一角にはギラギラな武器や装備があったが、十二歳になったばかりなお嬢様がそっちに直ぐ行くのは可笑しい。とりあえず、ティアラを見つけよう。


結構簡単に見つかった。ジュエリーケースの中に数品から魔法を感じたが、シンプルな花輪デザインのティアラから出ている魔法は凄かった。そして、感じたことのない独特な圧迫感がある。けど、花模様に隠された魔法印に見覚えがあった。


「あら、組み換える。。。」


帝国ではジュエリーに良く見るこの魔法印は組み換えるように部分を外したり動かしたり出来る構造。数秒でティアラはチョーカーっぽいネックレスに化した。まだ前の面影があったので、フック形のイアリングやペンダントを適当に足して、結構派手でごちゃごちゃな一品になりました。金フィリグリーいっぱいの箱に入れ、他のお気に入り品と一緒に部屋の真ん中に置いた。


宝庫を一周歩き回ったら、最後に剣の所についた。目立つ場所に置いたのは宝石をゴテゴテ付いている実用性ゼロな飾り剣。これは良く各カヒラ王の絵などにある剣で、異世界人招き道具だと思わせる物。


だが、実物を近くで見たら一瞬で分かった。


これはダテだ。


その後ろにはニ十個ぐらいの剣が並んだ。こっちの方から魔力を感じる。ティアラと似ているオーラを感じるのは細いレーピア。意外と可愛い感じの。ティアラと同じ花模様がガードに刻んである。これをどう偽装するか。。。


「終わったか。」


「うん!」


お爺さんが丁寧に一品一品を契約に記録するを見て、明らかにホッとした王は微笑ましい。だって、ティアラやレーピアはこの選別には見当たらない。あったのはネックレスと派手な金鷹模様の鞘に入ったロングソード。


「じゃあ、これでよろしいですか」


お爺さんは完全商人顔だ。


「あぁ、問題ない。しかし、どうやって持ち帰るのかい。騒ぎだされたら困るので、こちらで用意した馬車で運ぼう。」


「いえいえ、お気遣いなく。ミランネ、片付けてくれ」


「はあい」


左手で大きいな丸を描いた。目の前の青く光る円は真空のように全部の物を飲み込んで消えた。


「ッ!!」


ま、この魔法を使えるカヒラ王国民は片手で数えるからな。まさか十二歳の我儘娘が簡単に出来ると思わないよね。


無事に家を帰ってから数日後、影武者が家に潜入したけど、もう遅い。宝庫にあった物はほぼ全部帝王国にあるルイン邸に移った。研究の為に残っていたのは魔法空間ストレージに収納したティアラだった。


フラッシュバック続きます。

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