魔嬢様の人形遊びー4
月曜朝の最新投稿があると嬉しいので、自分もしてみました。
「なッ。。。帝国とつるんでるか!反逆者か!」
状況を追い付いていない馬鹿王太子が煩く吠える。
「つるんでるやら反逆やら。。。数分前の会話をもう忘れましたか。」
私は巻き直した巻紙二本を宝のようにカヒラ王族親子に見せた。
「この場で発表したばかりではありませんか。私はもうこのカヒラ王国の民ではありません。ラオダ家とは完全他人で無関係です。反逆とは言い難いと思いますわ。」
「マルコッ!お前何をやらかした?!」
おぉ、王様激怒。
それはそうだね。彼の切り札を奪ったから。
五年前、婚約が含めた契約を結んだ時、圧倒的に不利の立場にいた国王が文句なしに呑み込んだのはもし本当に破棄となったら、国破産行動で反逆罪として無理矢理中止出来たかもしれない。
そもそも、お父さんがまだ大臣だったらこの選択を選ばなかった。
けど、この国の腐り果て状態をどう治すかと悩んで苦しんで、去年体調崩して他界した父はもういない。
残っているのは父を苦しませた糞貴族と不能王族。
「父上!彼女はいつも俺の前で胡散臭い愛想笑いしかしなくてーー」
「そんなくだらない理由で。。。はハはハハッ!!」
え。。。もう狂ったのか、カヒラ国王。弱っ。
「兎に角、逮捕しろ!!」
あ、エセ操り師が動いた。でも、警備の人には無理難題過ぎる。せめて勇者・聖女数人が掛かって来なければいい運動にはならない。
その手はもう失くしたけどね。
私を囲んでいる帝国騎士三人は外向きに身構えた。手に持っている魔剣を発動し、独特な淡は刃を包んだ。
「罪の無い我が帝王国ルイン侯爵の髪一本を触ったら、宣戦布告と判断する。」
アズール皇太子の言葉で警備隊が急中止。
国王と大臣をキョロキョロ見ても、答えはしばらく出ないよ。
「ルイン侯爵とは。。。?」
へぇ、調子眼鏡はまだ機能しているんだ。意外。
「私の事ですわ。改めて自己紹介致します。エイテルニア帝国ルイン侯爵の座を継いだミランネ・セリカ・デゥ・ストロイと申します。お見知りおきを。」
可憐なカテシーをして頭をピッタリ30°下げてカヒラ王国の皆さんに挨拶した。
「他国の称号を持つのはーー」
イタ眼鏡は反語を語る前に答えた。
「実はつい先までルイン侯爵候補だけでしたが、帝王国でも他国の称号を掛け持ちするのはいけません。カヒラ王国の王太子婚約者でしたので、候補一人しかいないにも関わらずルイン侯爵を継げなかったのです。
この素晴らしい書類を貰うまで。
心から感謝していますわ、ナエキ伯爵。
私の望みを全部実現して下さって。」
アズール皇太子が公の場で私を【ルイン侯爵】呼ばわりした時点で帝王族認定となって、帝国の配下に入りました。
「この不能!!お前の企みだったのか!」
私の言葉から復帰したペトル王はエセインテリ眼鏡にロックオンした。
あ、グウ出た。
ボコボコにしても構わないし、寧ろこの光景を楽しんでるが、気絶させないでね。最後まで付き合わせて貰う。
『もういいか、ラン。こいつらの間抜け顔を見飽きた。』
アズール皇太子は念話で私に喋った。きゃ、久しぶりに愛称で呼ばれるのは嬉しいけどちょっとこそばゆい。
『分かった、アズ兄。』
フィナーレに入ろっか。
指を鳴らすと、左手にあった破棄書と縁切書は消え、一本の分厚い巻紙に切り替えた。
「さてと。契約に書いてありましたわよね。債務者側から勝手に破棄した場合は。。。あら。」
もう暗記しているのに、わざわざ五年前の契約書を確認した。
「[債務者が独断に契約を違反もしくは破棄した場合、融資者に借財全額2億帝金貨を即支払い、寄託を譲る]ですね。財源はほぼ空っぽ状態ですから、借財は金貨の代わりに宝品から取りますね。」
「2億帝金貨って」
カヒラ王国大臣ルカスは啞然とした。こっちのほうがびっくりなんだけど。
大臣の役目をなめてたね、馬鹿操り師。
国の管理者である大臣は宮殿・王族の財源事情を把握しないと無意味なんだ。
だって、王族が破算したら国にどんな影響あるのが想像できる?社会は信用で成立する。高い税金を毎年きっちり支払っている国民は贅沢すぎて金を使い尽くし、馬鹿でかい借財を背負えなくなって破算した王族をどう思うのか。そして、隣国がカヒラ王国を弱と断定する。革命か襲来フラグだ。
今、この会議遠見には四ヶ国の代理人が居る。日が昇る前にカヒラ王族の借金事情が大陸を行き渡る。
それを徐々に理解した人々が石化した。