帝王国の晩餐・1
私は久しぶりに最上級のドレスを着ている。白に近い銀色の布は密かに輝いて、コルセットに縛られている上半身とピッタリ合わせて、豪華に爪先まで広がる。今の流行りとは正反対の作りは私好みで、ちょっとぐらい流行りを取り入れようとした衣装担当が胸元にちらっと見るコルセットの縁や腰に緩く巻いている布ベルトは深青色に刺繍の腕を披露した。操り魔法で作ったのでそんなに時間かからなかったが、担当から聞くと普通ならチームで一ヶ月かかる作業だと。
「着心地はどうですか、お嬢様?」
衣類担当のリカチと衣装担当のメイジュは鏡の隣に鋭く衣装を観察している。真剣過ぎる表情は似てて、面白い。
「いいわよ。二人こそ予想通りの仕上がりなの?」
「やっぱりお嬢様はミスリル布が一番似合います。透明な肌を引き立てます」
リカチはそう言うと、メイジュが頷く。
「えぇ、ドレスのシンプルな形はお嬢様の抜群スタイルを活かしています」
ライバル視の強い二人は満足そうに頷くと言う事は合格。
「では、行ってくるわ」
「「行ってらっしゃいませ」」
首席執事のマイルズのエスコートで階段を降りて、待っているアズ兄の前にお辞儀した。
おお、久しぶりのアズ兄大礼服バージョン頂き。背広を工夫した服は黒に白シャツで、アズ兄の細マッチョ抜群体を最大限に活かしてる。胸に記章がいくつあって、首のネクタイのカラーピンはとにかく凛々しい。
「お待たせしました、殿下」
「…今夜は行かない方がいいかもしれない」
「あら。似合わないかしら」
「逆だ。他の奴等に見せたくないぐらい似合っている」
「魔帝王様の即位記念日ですもの。皇太子の婚約者として相応しくないなんて言わせないようにしないといけません」
「そんな下らない事を言う者はその場で斬ればいい」
「晩餐が修羅場にならないように頑張ります」
アズ兄の手を取って、玄関から出て魔動車に乗った。
「晩餐が行われると言うことは殿下が帰宅しましたね」
「…あぁ。侍女達が今朝慌てて煩かったが。何があったのか知っているか」
祭りの準備で昨日は来れなかったアズ兄は先生の事が知らないみたい。
「昨日は家の使用人とのデートでした」
「…謝罪金はいくらで済むか。もし亡くなったら家族にーー」
「いえ、大丈夫です。彼は朝に無事帰ってきました。楽しかったって言いました」
「たの…しい?頭でも打ったのか」
「健康診査しましたが、本当に傷一つもなく、今日はずっと笑顔で仕事をこなしました」
「誰あいつ。隠し勇者か」
「ヒューストン先生です。調べた所、異世界の血が入ってませんし、彼は平民だと言い切っています。魔法が平等過ぎると言うのは特徴です。魔素量は多い方ですが、量だけなら帝王国の上部ギリギリです」
「帝国貴族でもないなら珍しいが、その程度の魔素量で姉貴の魔波を長く耐えられるとは思わん」
「えぇ、私も心配しました。ですが、彼は平気でした。ちょっと寝不足で二日酔い気味でしたが、それだけです」
「どういう事?姉貴から逃げたか。いや、その方が絶対ありえない」
「彼は他の使用人に任せましたので、私の任務は陛下側の話を聞く事です」
レクセとロデリックは今尋問中。聞き終わったらエルに伝言してと指示しといた。因みに、エルはいつものように影に待機している。
「…姉貴の周りは虫一杯だ。ランは近づかない方がいい」
「最強の虫除けがありますから、問題ないです」
「なんだそれ」
「ふふふ」




