勇者の行方・4
鳥の部屋は名の通り、鳥モチーフで統一されたデザインだ。壁紙は白と灰色の鳥模様で、家具等には鳥が彫っている。天井からぶら下げているシャンデリアにも金属羽形を重ねたように作られた。
その家具に座る人物は奇妙だ。厳しい目付きの二十代男性が部屋の脇にある肘掛け椅子に座って、不機嫌そうにリクを睨んだ。
でもそれより目立つのは三人の女性。全員黒髪で紫目、三つ子と思わせるぐらい似ている。
一人はソファの端っこにそわそわしている、ちょっと幼く感じるかわいい系の娘。くりくりな目をもっと大きくしてリク達を見ている。
一人はラウンジチェアに寛いでいた。ワインを飲みながら色気満々な体制で好奇心満ちた視線をリクに送る。
一人は丸いテーブルに座って静かにお茶を注ぐ大人しそうな娘。リクをちらっと見て、綺麗な仕草で3つのティーカップを準備した。
「ルイン家へようこそ、ユウシャさま」
可愛い兎っぽい子が頑張って喋りだした。つい褒めたくなるぐらい彼女は喋った後緊張を溶いた。
「本物のミランネ嬢は何方でしょうか。」
カップを揃えながらポツリと言う白鳥の様な娘は目も上がらなかった。
「勇者には容易い事でしょ。」
からかっている雰囲気で喋った猫っぽい娘が笑いながらワイングラスを空にした。メイドが素早く注いだ。
困った。本気でリクはこれが苦手だ。
実は何回かやった事がある。でも、その時は彼女の婚約者や兄や想い人が解いた。勇者自身が当たる確率は少ない。
そして、ミランネ嬢に最後会ったのは五年前。カヒラ宮殿の晩餐やらだった。
正直言う。
全く覚えていない。その時はアリスと色々あって、ガキに目はなかった。確かに礼儀方法が完璧で可愛くないと思った。多分。
それだと一番近いのは白鳥の子だ。
タダ、五年立てば誰だって変わる。特に思春期の最中の五年間は元々人見知りでも、成人したら猫娘の様に色気を出しても不思議じゃない。
流石にもっと幼い感じになるのは変なので、うさぎの子はないと思う。でも、見た目は一番近い気がする。恐太子のせいで人格崩壊とかあり得るのか。
「どうぞ座って下さい。お連れの方もどうぞ。」
白鳥の子は丁寧に椅子を勧めた。やっぱり仕草が一番貴女っぽい。
あぁ、アリスの息子を連れて来れば良かった。彼が外れても選択が減るので。
「質問しても構わないよ」
猫娘がそう言った。
やっぱりちょっと違う気がする。遊ばれている感じが強い。
「じゃ、本物のミランネ嬢は誰だ。」
「私です」「わたくしでございます」「あたしよ」
チェ。まぁ、そりゃそうよね。そう簡単に教える訳が無い。
「答えないなら?」
「帰らせて頂きます。」
白鳥が答えた。彼女がこの場を仕切っている。やっぱり彼女か。いや、誘拐された姫様がこの場を仕切るのは変だ。
「あの、もしよかったら、ユウシャさまの世界の事を聞きたいです。」
「ミランネ嬢だったら知っているが」
質問されたら薄い記憶が浮かんだ。確かにおよそ十歳の黒髪少女がお茶会の時に元世界の話をしたら、楽しげに聞いてた。うん、この子の様な深い紫の目が光りながら瞬きもせず聞いてた。
「えっと、ユウシャさまの世界はアスシャと言って、ニュウ・ピアトロ街に住んでましたっけ。他は。。。仮想ゲームが流行ってて、この世界がゲームに似てますっと」
うさぎがペラペラ喋り始めた。そこまで覚えたのか。じゃあ、この子かよ。
迷い続ける中、シアとディアンヌはテーブルに座ってお茶を飲み始めた。呑気だなあ、毒でもー
あそう、美味しい?それは良かった。
カヒラ関連の事から聞いとこう。
「アリスの印象は」
「素敵なラベンダー髪で青い目の綺麗な人です」
「悪戯好きですね」
「凄い癒し魔法が使えて中身まで甘い女性」
うさぎ・白鳥・猫が次々と答えた。全部当たっている。白鳥の答えが一番深い関係だと思わせる。
「アリスの好きな物は」
「色はキャラメル」
「ナンテシ茶にクリームたっぷり、砂糖なし」
「強い美青年」
同じ順でまた当たっている。お茶の名まで知らなかったが、砂糖なしは覚えている。
「アリスの嫌いな物は」
「汚い物」
「辛い食べ物」
「浮気」
オオ、猫はポイント高い。
「ミランネの事を聞かないのか」
男性が喋った。こいつ、多分恐太子だな。威圧感が凄い。
「当たり前だ。ミランネ嬢のマネをするには彼女に詳しくなるのは当たり前だ。でも、知り合いの事まで詳しくなるのは限界があるからあえてアリスの事を聞く。」
勿論嘘だ。ミランネ嬢の事を聞いても正解がわからないから意味がない。
「もっと速くしろ。今何時だと思っている」
確かにもう真夜中だ。仕方ない、速く決めよっか。
「じゃ、難易度上げる。アリスの下着はどんな感じ」
因みに、マルコだったら質問なしで当たります。アズ兄も魔法感知で一瞬分かります。
もしミランネではなくアリスを探さなきゃいけなかったら。。。どうだろ。質問はするが、リクは多分一問で分かります。




