魔嬢様の人形遊びー2
読み続けてありがとうございます。
今日は短めです。
いやぁ、ここまで上手く行くとは流石に想像しなかった。
感謝しなきゃ。向こうのエセ操り師に。
丁度近くに観察している男二人が目に入った。帝国代理人とネアキ伯爵家のルカス。ネアキ伯爵は父の死後、見事大臣の座を勝ち取った男で、ヘレンの兄。彼女と同じ蜂蜜色の髪がインテリ風ロン毛で首元当たりに束していた。最近は銀縁眼鏡まで使って外見はかなりザ・裏ボス感を充実してた。顔は悪くないが、優等生ぶっているのに俺様態度が隙間から出て、気持ち悪い調子乗りアラサーに出来上がった。表情は無に待機しようとしているが、妹と似て口の端が少し上がっていた。
企画した作品がついにクライマックスに入って興奮状態にでもなってんの、こいつ。まだ早いわ。ま、私は私でもう我慢出来ないぐらい高鳴っているから、人の事は言えないが。
「ネアキ伯爵、よく頑張りましたね。」
MVP賞でもあげたいわ。 書類にはなまる書いてもいい。
「。。。は?」
何驚いてんの。バレていないとでも思ったのか。
「?どうなさいましたか。この二つの書類を作ったのはネアキ伯爵でしょう。両種類には大臣の印まで押していますし。」
破棄書には三つの立派な印が押してた。王家と大臣とラオダ家。撤回出来ない破棄書を制作するには必要だったが、
優等生が操縦しているとは丸見えになっちゃうな。前々からはバレバレだったけど。
縁切書には端っこに挟まったように押したが、それも撤回できないように。ラオダ公爵家は国一・二を争う政財力を持っていたが、他家内事情に首を突っ込む大臣はどうみても可笑しい。
「違う!俺がー」馬鹿王太子が吠え始めたが、全スルー。
「だとしても今の貴方は何ができるか。婚約者を失くして、ラオダ家の名も失くした。
カヒラ国民でもなくなった。
貴方はここにいる権利はない。
この子を監獄に入れて。後で処理する。」
イタ眼鏡男は完全に主役ぶっていた。私をガン見している瞳は完全に狂ってた。
警備員達は真剣に近づいたが、帝国魔法騎士三人は先だった。剣を抜く鋭い音が現場を冷やした。
息をのむ音。
悲鳴を噛み殺す音。
鼻で笑う音。
沈黙が全部を引き立てた。
「この茶番を終わりにしろ、ルイン侯爵。」
ここまで読んでくださってありがとうございます。