魔嬢様の人生ゲーム遊びー2
鳥のサロンに入ると、アリスはきっぱり言った。
「やっぱり、カインを置いていけない。ここに残るわ。」
「後悔するかも知れませんのに?」
「この世界に残ってたまに故郷を恋しくなると、あの世界に帰って、毎日後悔するとの違いだわ。」
「。。。あの世界に騎士さんと一緒に行ける方法があると言ったら、どうしますか。」
あら、考えもしなかった?
動揺はかなり顔に出てた。
「まだ試した事ありませんけれど、【巻き込み異世界送り】と言う現象があると古い書類にありました。転移動者が帰還する時に近づき過ぎると一緒に転移動するらしいです。もちろん、逆方向の場合はいくつか歴史に残ってますね。」
百年に一回ぐらい、二人や三人を招く時は何回かあった。その時は本当に問題だらけになる確率は多かったので有名な昔話だ。
もし恋人だったらハニートラップするのは難しいし、成功しても嫉妬や睨みが発生する。でも、そうしないと長く操るのが難しい。友達や他人だったら変なライバル心が生まれたり、周りがどっちが本物かと揉めたり、【闇勇者・闇女】誕生確率は高い。
だから帰還の時も出来るはず。
カヒラの宮殿からアズ兄と退場した時の転移動と理論上同じだから、そんなに危なくない。違う点はアリスを若返る所だけだが、それは魔道具にあった機能なので、失敗する確率は低い。
二人にそう言うと、ちょっと渋味を足そうと続いた。
「1割の確率で問題が発生します。
例えば、騎士さんも若返ってしまって、なくなるかアリス様の中に宿ってしまうかもしれません。」
「それはどういう意味?」
「知りません。妊娠されちゃうか、意識だけ残って体がないか、よくわかりません。
確率は低いです。若返り魔法はあの世界から出た時の体状態で設定してあります。カインはあの世界から出た事はないので、普通に転移動すると思います。1割まで上がったのは行った事のないテストなので、予想外な事を起こる事もあります。」
「やります。」
答えたのは騎士さん。
「っ!勝手に決めないで!」
怒鳴ったアリスに騎士さんは説得しようとした。
「高確率で問題なく行って、アリスの世界を救えるかもしれません。意識だけはちょっと厳しいが、他の失敗シナリオも何とか乗り越えます。一番駄目なのはオレがいなくなるか死ぬか巻き込めないかですね。」
私も意見を足した。
「その確率は断然低いです。招き道具は神級レベルの力があって、どんな形であれ転移動します。」
「失敗したら、私から産まれるかもしれませんよ!」
「うむ、血が繋がっているか繋がっていないかは難問ですけど、なんとかなります。子供を作らないのは惜しいですから、ちょっと嫌ですけど。」
「カインっ!」
「行きましょう、アリス。アリスの世界、見たいです。カヒラ達はついて行けない所まで行くから最適でしょう。」
「一応、カヒラ王太子も帰還出来ると思われます。血が半分あの世界のものですから。カヒラ王族には色んな世界の血が混ざっていますので、かなり難易度が高いですが、私やアズール皇太子なら出来ると思います。」
私の言葉に安堵したアリスと眉を寄せたカイン。
「ならいいわ。このまま一生もう会えないと思ったらちょっと罪悪感を抱いちゃう。でも彼が望めば会いに来れるなら良いわ。ミランネちゃんは彼が望めば送ってくれるかしら。」
「若返りは出来ませんから、アリス様の感覚は二十年後以上になります。」
「二十年後か。強くならないと。」
騎士さんは難しい顔をしたが、アリスは傾いた。
「お願いするわ。」
「ですが、彼らの転移動は只ではないです。アリス様みたいにむりやり転移動させられてきた者を還す慈善活動ではありませんから。」
「何が欲しいの、ミランネちゃん?
私が払えない物ではないでしょ。」
勿論。お祖父様と違って、私はお客様がギリギリ支払える物しか提案しない主義だわ。
「そうですね。騎士さんの転移動料はアリス様作お茶セット一つで、カヒラ王太子の先払いは同作カトラリーセット一つ。彼が転移動しなくても先払いは返しませんのでご注意をして下さい。」
「カインよりマルコの方は随分高いわね。」
「騎士さんの方があくまでついでですから。ほぼ魔力を1か2割を足すだけです。
王太子の場合はまた儀式を1からやって、細かい調整をしないといけません。」
アリスは魔法空間からいくつかの箱を取り出してテーブルの上に置いた。その自然に出来る事に考え込んだ。
「あそこに魔法使えるのかな。」
「それは分かりません。使う知識が残るので、世界や体に魔源があるならば出来ると思います。」
カヒラに連絡を送って色々整理しないと行けなかったので、夕食前に帰還すると言うことになった。アリスは「招きされた時は確か夜だったので、【ジェットラグ】にならない方がいい」と奇妙な事を言った。
何と、アリスの世界では音より速い空に飛ぶ乗り物があったりして、旅行などする時の移動が速すぎて体の感覚がずれたりするらしい。
魔法が無いからこそ技術を極めたと言う事。でも、空に飛ぶ乗り物の発想は有り難く頂く。鳥等に化けて空を飛ぶや飛馬を乗るならできるけど、魔動車を空に飛ばすのは興味深い。転移動の研究がもう少し落ち着いたら作って見たい。
別館にある研究所に集合した。私の助っ人としてアズ兄が参加することになった。そうしないとすねちゃうアズ兄も可愛いけど、これは貴重な実験なので、ちゃんと記録するには第三者が必要だった。でも、アズ兄を初めて会う二人には緊張が顔に出てた。
「最初は魔道具を発動させてから、騎士さんはアリス様を抱き締めて下さい。逃したら終わりですから、絶対離さないで。」
「はい。」
「向こうに行ったら2秒ぐらい繋がったままなので、問題があったら帰って下さい。」
私はティアラを着けてアリスの前に立った。
「色々お世話になりました、アリス様。幸運を祈ります。」
「こちらこそ有難うね、ミランネちゃん。幸せになってね。」
カインはでかいバッグを背負った。魔法が使えるかわからないなので、大事な物は魔法無しのバッグに入れて、もし魔法が可能ならのものは魔法鞄に入れたらしい。
「魔法空間にあった要らないものは部屋に置いといた。好きに売ったり捨てたりしていいよ。」
ティアラに魔法を注いだ。自分の魔素ではなく、空気にある物を使った。
時間かかるが、負担が低くて足りない心配はない。
おでこから光が出た。正直、見えづらかった。
「あ」
アリス様が反応した。
「故郷か?」
私の代わりにアズ兄が質問した。
「はい。私の部屋。。。懐かしい」
魔法がグンッと部屋を満ちた。アリスの周りはもうこの世界ではなく、違う所だった。
「さようなら、ミランネちゃん。ありがとね。」
ティアラからの光が薄くなると、アリスと騎士さんの姿も消え始めた。一瞬で見えなくなった。
夕食と共にアズ兄と情報交換をした。
「騎士さんは無事転移動しましたか。」
「そう見えた。若い王妃とそのままの騎士が見た。魔法が切れた途端何が起きたのかわからないが。」
「向こうから魔法感じましたか。」
「密かに違う魔素があった。実用性があったと思う。」
「で、異世界はどんな所に見えましたか?」
「ラン、ちょっと食べて。自魔素を使わなかったが、空魔素を操るのは大変でしょ。」
「平気ですわ。」
「そうに見えないな。はい、ああん。」
アズ兄がスライスしたロースを食べさせた。
彼が笑いかけるけど、これは恥ずかしい。本気恥ずかしい。
「くく、赤くなるランはやっぱり可愛いな。早く結婚したいな。」
「それは難しいですね。帝王様次第ですわ。」
アズ兄の笑顔が消えた。「姉貴ならもう許可出したが?」
「私、言いましたよね。その、アズ兄と結婚したいですが、皇太子と結婚したくないとちゃんと言いましたよね。」
「あぁ。だから、姉が子供を産めば俺は皇太子じゃなくなる。問題ないでしょ。」
「そうです。だから、帝王様が子供を産むまで結婚しません。婚約の時、言いましたわよ。」
「忘れた。婚約出来たとしか考えなかった。」
「人の話をちゃんと聞いてよ!」
アズ兄はまた微笑んで、またソテーの野菜をああんさせた。
「敬語を使わなかったね。」
「!すみません。失礼しました。」
「失礼じゃないよ。ランはオレの婚約者だ。タメ口でいい。『念話はいつもタメ口だし』」
『人前に出来ないよ。帝王国の貴族はこういう事に煩いのよ』
『誰』
『言わない。言ったらアズ兄は何かをするでしょ。私を過小評価するよ。皇太子に守られた姫様は快楽ですね~なんて言われたら私我慢出来なくて暴走しちゃいそう』
『俺に守られて嫌か』
『そういう問題じゃないわ。女の戦いに男が手を出すと見くびられちゃうよ。本当に駄目だったら助けて頂くわ』
「はい、ああん。」
もぐもぐ食べると、アズ兄は低く呟いた。
「姉貴を妊娠させる勇者でも招きすれば。。。」
カインとアリスのスピンオフ版読みたいなら言ってください。完全にR18になります。




