表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔嬢様の遊び  作者: たんぽコロ
1ー魔嬢様の人形遊び
14/44

王妃のバカンスー3

朝食は静かに取った。


二人は沈黙の中に野菜スープと燻製ソセージとパンを食べ続けた。


他の早朝の冒険者達は似た感じだった。夜飲みすぎたか朝弱いのかわからなかったが、夜明け前の食堂にカトラリーのカタカタしか響かなかった。


だからこそ、カインが食堂の戸口にすれ違った人に声掛けられた時、皆の注目を集めた。


「あれ、カイン?」


一人の若い女性が目を丸くしてこっちを見た。

見覚えはあった。


「お久しぶり。奇遇だね。」


何とか気軽な返事をした。とんでもない悪運だった。まさか知り合いと遭遇すると。


「奇遇な程度じゃないわよ!どうしたの、いつも王都から出ないくせに。今日暇?一緒に組まない?」


積極的に誘う冒険者は距離を縮めて、腕を取ろうとした。それを上手く回避し、後ろに立つ王妃を見た。

頭巾を被って顔ははっきり見えなかったけど、笑顔が冷たかった。


「すみません。」


うっかり王妃に謝罪した。

内密なはずなのに、はっきり名前で呼ばれた。


「あ、出口を塞いだね、ごめんね。でさ、カイン。今夜ーー」


「あ、ごめん、今ちょっと急いでいるんで。」


流そうとしたら、逆に食い付いた。


「え、何?!いいクエストとか見つかった?!」


あぁ、注目を浴びまくっている事になった。


余計な事を言わないでくれ。


「いや、そうでもないーー」


不定したが、彼女は納得してない感じだった。


「そんなにケチしないでよ。もうそんな仲になったから。ね。」


彼女なりに色気を表したが、全く惹かなかった。逆に引いた。


お願いだから、王妃の前でそう言うな!見るのが怖い。


「カイン。」


聞いた事ないぐらい冷たい声がマントから出た。いや、聞いた事はあったな。王妃は国王に話しかけた時と近かった。


「っはい。」


何この冷汗。こんな時に国王と同情したくなかった。


「雑談、終わりにして。煩い。」


不機嫌極まりだ。

頭巾あって良かった。

表情見るのが怖い。


「はい。ではーー」


「ちょっと待て。アンタ、何様?カインの恋人にでも気取ってんの?」


冒険者は逆ギレして王妃を睨み、腕を掴もうとした。


流石AGI系冒険者、動きが速い。


護衛の本能が反応して、伸ばした手を一動きで逸した。


「触るな。」


自分の低い荒っぽい声にビックリしたカインは二人の間に割った。


「ぇ。カイン、恋人作らないと言ってなかった?」


「恋人じゃない。パーティーのメンバーだ。」


朝食の前に宿代を払っといたので、そのまま宿を出ようとした。


「何その態度。騎士でもなったつもり?」


。。。いや、騎士だが。言えないけど。


「彼女さん、騙されちゃいけないよ。この人、王都では有名だわ。性的に露骨だし、女なら誰でも相手するってよ。」


ちょっと殺気湧いてきた。母に暴露されるより罪悪感あって、後悔を初めて感じた気がした。


「はぁ。カイン、最低基準低すぎ。そこを父や兄に似なくて欲しい。」


賛成。今実感した。もうちょっと相手を選ぶようにすると決めた。実際、カレン事件から怖くて性行為していなかった。突然に生活改善始まってしまった。


王妃の態度に異変を感じて、冒険者は動揺した。


「あ。。。もしかして姉だったの?」


姉では無く義母に近いんだけど、まぁそのややこしい家族っぽい関係だ。


「そんなもんだから。じゃあな。」


素早く逃げた。王妃がマジ切れする前に。


馬を乗った時、王妃専属護衛騎士から聞いた話を思い出した。王妃は朝が弱いんだって。その時、寝ぼけちゃう王妃を想像したけど、もしかしてこのピリピリ感が朝のせいだったのか。


兎に角、昼頃は和らいだ。


「カイン、ちょっとしゃがんで。」


休憩兼昼食をした後、王妃は急に命令した。


軽い罰か説教を受ける覚悟を持って、膝を折った。


頭を垂れたら、王妃は近くに来た。丈夫な革靴とマントの裾が視界に入った。


。。。王妃秘伝術【頭割チョップ】か?!噂は聞いた事あるけど、まさか自分がうけると思わなかった。マルコは本気で痛いと言ってたね。


気を引き締めて待つと、違う感覚が。ワシャワシャと髪が。これ。。。


「アリスさん?」


「うん。やっぱり髪変わると結構印象違うね。」


うなじ、何かくすぐったくなった。頬に髪が触れた。


「はい終わり。どう?」



「ナデナデ感想ですか。」


「。。。。」


頭を上げたら、王妃は笑いを堪えた。


「違うわ。カインの髪の毛を伸ばしといたの。わからなかった?」


カインは髪を触った。今朝はショートに揃えて、真面目な騎士っぽい髪型だったけど、今は目と項を隠せるぐらい長かった。


「これ、無駄スキルですよね。」


「え、結構便利だよ。変装の時とか頻繁に使うよ。他人だと時間かかるけど、カインは三時間ナデナデ耐えると腰まで伸ばせられるよ。」


三時間のナデナデ。。。


「腰までだと不便そうだからお控えします。」


「男性は貴族女性の苦労を一度ぐらい体験した方が良いのに。呆れるぐらい面倒だよ。で、感想は?」


「見えないのでよくわかりません。」


「ナデナデは?」


完全にからかっている王妃を見上げて、睨む願望を抑えた。


「。。。不愉快ではなかったです。」


「フフ。それは良かった。

私からの感想は。。。カインの髪の毛は意外とサラサラで、もっとナデナデしたい。腰まで伸ばさせるぐらい。以上。」


王妃はそのまま馬の方に行った。

カインは真っ赤な顔が冷めるまで動かなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ