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枕の下に 希望の上に(5)

弾着ランドスケープ

パーティ会場にノックして

不意に見かけた女の子

似つかわしく無い洋服を着て

雑音の無い片隅

全体見ながら

不満げな顔




オレンジ色の口紅して

エメラルド色のアイシャドウ

視線の先にはシャンデリア

落ちるのを

想像しているのか

艶やかに笑う




革のハーフパンツ

光沢の足先に

ヒールの高いロングブーツ

隠すようなロングコート

後を追えば

面白いのが

見られるかもしれないと

会場内の人をスルーして

近くで様子見して

ジントニック一口




案の定

声かける男性多数

誰にも染まらないって事は

それだけ目立つって事

本人にとって良からぬ相手でも

擦り寄って来るのさ




最初の男から

聞く耳持たず

彼女は

それをビンタする

それでたじろぐ男数名

全員居なくなると思っていたら

腕っぷしに

自信がありそうな男だけが残った

面白い物が見れそうだと

僕はワクワクしたが

彼女は

それもビンタしようとした

だが

男に右手を捕まえられた




瞬間

獣の悲しい鳴き声

左手のロックグラスが

逆さになっていた

上を狙うフリして

下を狙う強かさ

僕は思わず吹き出した

面白い女が居た物だと

胸が高鳴ってしまった




彼女はその後

決めていたかのように

蹲る男の横を通り過ぎて

僕の方へと歩いて来る

僕は気配を消してみたが

通り過ぎる瞬間に

腕を掴まれた

「ちょっと

この後付き合って」

彼女は一言発すると

グラスをボーイに返した

僕もつられて返すと

オレンジ色は笑った




パーティ会場を後にした

僕の滞在時間は三十分

彼女の後を追って行くと

街角のバーに着く

一見さんは絶対入れない

魅力的なバーの風体

「ここで

ちょっと飲んで行きましょ」

エメラルド色と見つめ合う

目だけの合図で同意して

後の事を合意した




音の鳴らない扉が閉まる

彼女の横では

堂々と出来てしまう

二杯分の会話で

何かを

知り過ぎないようにしながら

彼女のリズムに合わせる

「じゃあ行こっか」

声の先にあるドアは

意外と簡単に開いくのさ

失くしたくは無いから




少し離れたホテルへ

彼女と二人

消えてみる

今日はそれで良い

今日から消えてみたいから

それが

遊びのファンタジー

日常から消えてみたいから

それも

遊びのファンタジー

あの中は

必要な物しか無い

その時

必要な人しか来ないから










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