これからはちゃんと起きます。
作品のタイトルをこっちに変えたいと思ったので変えてみました。
6月中旬の午前7時半頃。
梅雨入り前の少しジメッとしたこのもどかしさや、そろそろ海や山の恋しいこの季節。
あぁ...そーだったな。
俺。女の子と海行ったの妹とだけだったわ。
何言ってんだろ。
「お兄ちゃんっ、おっはよ〜!!」
「なんだよ...眠いからもう少しあとに起こしてくれよ...」
問答無用の布団バリアを俺は展開する。
目覚ましコールの相手は幽霊だしめくることは不可能なのでこの効果は絶大だ。
そーだな...時計を見る限りあと15分は夢心地空間を満喫出来そうだし、とりあえずドリームイン。
「ちょっと起きてよお兄ちゃんっ」
そうはさせないと言わんばかりに、同時に布団を揺さぶられたが俺には二枚型高性能裏起毛付き羽毛布団が搭載されているんだ...取るのは至難の技だ。
ってなんで体を揺さぶられてんだ?
迷走モードの瞑想モードに入り、よく考えてみれば知遥の声じゃない
でも知ってる人の声だ。
最近話をした女の子と言ったら我らのクラスで学級委員を務め、みんなからは委員長と慕われ体型も出るところはよく出て、締まるところはよく締まり、誰もが羨む黒髪ロングのお姉さん系美人高校生。そして校内の男子では「NAKANO美人」とも称されが絶大な人気を誇る...
「あばばば!?ばばばばっばっ?ばっ!?」
思考を戻し、布団をめくるとそこに居たのは...
「き、き、き、霧島さんっ!?」
2-7組で同じクラスの霧島恵里香だった。
慌てて起きたためビックリしたのか霧島さんは少し後ずさりして足を内股座りにして座っていた。
「もぅ...せっかく朝のモーニングコールをしにきてあげたのに...お兄ちゃんは起きるの遅すぎるよぉ。」
そう言うと霧島さんはニヤリとこちらを見ながら床を這いつくばりベッドで思考停止モード第二波がきている俺にゆっくりとその距離を近づけ、ついにはお互いの顔が20cmあるかないかくらいまで迫っていた。これは様子がおかしい。
「えへへ、こんなダメお兄ちゃんにはお仕置きが必要ね...」
「あ、あの...霧島さん?どうやって入って...てかなんでここにっ...??」
躊躇なく迫ってくるや否や、左手を俺の両目にそっと添えてきたのであった。
まさかこれは...ハーレム計画実行が成功したのか?まだなにも始めて無いのに?
そーだな。とりあえず目閉じて置こうかな。
「これは罰よ...心の準備はいい?」
「は、はひぃ。」
それは力が抜け、欲望に負けたダメ人間の一言であった。
自分でも思うが情けない。
けど今はそんなのどーでもいい。霧島さんによるお兄ちゃんプレイを楽しもうじゃないか...
ぐへへへへへ...
(バチィィィィィィィン)
「いッッッだァァァァァァァ!!」
豪快に響き渡るビンタの音とともに、情けない自分の声は強さを増して叫び声をあげた。
瞬く間にベッドを跳ね上がるよう起き上がり、視界にはベッドの反対側に吹き飛ばした霧島さんがニヤニヤしながらこちらを見ているのが映った。
そして一気に冷静にに戻りつつ、何故止めなかったのかと賢者モードに入るところであった。
「うぅ...な、なにしてるんですか!?」
「なにって、お仕置きよ?」
「それはそーですけど...」
ほんと自分の語彙力の無さは一級品だな。
「じゃなくて、なんでここにいるんですかっ!!
あなたいつも7時までには登校して教室や廊下周りを毎日掃除してるスーパー優等生でしょぉぉぉ?
両親もお父さんは超大手の電気会社に務める社長さんでお母さんはヨーロッパだかフランスだかどこか分かんないけどピアノコンクールで最優秀賞とったって非の打ち所のないエリート一家のそんな子が許可も取らずに勝手に家上がり込んで、いきなり兄妹プレイを始めてどーしちゃったんだよ!?」
「......」
キョトンとこちらを見つめられて数秒の沈黙が流れる...
「もーいっかいしとく?」
「しませんっ!」
ガッカリしながらこっちを見ないでよ...なんか俺悪いみたいじゃん。
「あの、僕の話聞いてますか?まず言った通りここにいる理由を教えてくださいよ!!
だいたいそんなことしてたら学校での評判とか置いといてイメージガタ落ちしてとんでもないことになりますよ?それでも...
ふびゃァァァァァァァァァッ!!」
話している本人に面と向かって会話をしていなかったため状況を把握していなかった自分のせいではあるが、見てみれば上の制服を脱ぎ、シャツのボタンを外して豊富な栄養が詰まった胸と白い肌を包み込んでいるものははだけたシャツと黒色のブラ1枚のみだった。
黒はちょっと意外かも。
「こーゆープレイの方がいいかな?」
「はい!!
じゃなくて服っ、服を、着てえぇ。」
欠伸をしつつ、口に手を当てながら全く話を聞いてくれない霧島さんはもうしっちゃかめっちゃとしかいいようがない。
「分かったけどさ、お兄ちゃん。
ちょっと疲れたから休憩ね。」
「え?あ!お前、やっぱり知遥か!?
何やってくれてんだよっ!」
そんなの関係ないと言わんばかりにトローンとしていた霧島さんの目は徐々に意識を取り戻し始めていた。
「へっ?ここどこ?私なにしてたんだっけ...
確か午前6時半に家出て...って真琴くんっ!?」
マズイ...あっちはこの状況知らないし、服がはだけたりしてたらそりゃもちろん...
「え、なんで服脱げて...」
霧島さんでも意味わからない状況だがその、自分のはだけた服をみたらまず起こることがある。
そしてこちらを見て一言喋った後の展開はお墨付きだ。
「まさか真琴くんが...?」
「いやあの...これには理由があって...そもそも霧島さんから入って来たというか」
「この馬鹿ぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
(バチィィィィィィィン)
頬を赤らめた霧島さんは話を聞く耳も貸さず本日二度目のビンタをお見舞いしてきました。
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さっきまでのエロシーンは無かったことには出来ないけど無かったことにしといて...
食事を済ませて制服に着替えた俺はその際にもその性格とは裏腹な下着を見られ、持ち前の胸も見られたショックで立ち直れない霧島さんへの弁解を図っていた。
そして今は登校の最中、少し先を歩く霧島さんを追いかけてる途中の新堂真琴である。
「あの...霧島さん...分かって頂けたでしょうか?」
後ろからぼそっと言うも聞こえてないのかそのままスルー。
このままだと事務所の方全員と話しずらくなるしそれだけは回避したいよな。
「ほんとに自分はなんもしてないし胸をみたいだとかそんなことは全く思ってた無かったので...」
流石にこれは聞こえてるよな。
「ふーん。でも私の下着みたよね、はだけた服と私の体をまじまじと見てたよね。」
あぁ...やっぱり返事を聞きたくなかったよ。
やったの俺じゃないのに...
「ほんとすいません...」
「嫌です」
「そぉぉぉぉんなぁぁぁ。」
バックでは何かが崩れ落ちる音が効果音に流れていた。
俺の事務所での女の子とのイチャイチャ交流計画もここまでか...
「じゃあ私先行ってるから遅れないようにね。」
「はい...」
「(まぁ言ってくれたら真琴くんならみても触っても構わないけど...)」
「え、あ、なんか言いましたか?」
「べ、別に無いわよ!」
「そーですか...」
俺がガックリしながら下を向くとボソボソ言いながら霧島さんは急ぎ足で先を歩いていってまった。
まぁ冷たい口調と少しドキッとしたような顔がなんか怪しいけどここは黙って行かせておかないと精神的に持たなそうだ。
けどなんで俺が食事や制服に着替えてる時、先に学校へ登校しなかったのだろうか?
色々と疑問も残ることも少々...
それより先にアイツを成敗しないとならないというミッションも残したままだ。
「おい、出てこい知遥。
俺の後ろからニヤニヤとクスクスと成仏してやりたいくらいうっとおしい声がきこえてくるんだ。」
そしてその昼夜関係なく活動をしている天使のコスプレをした幽霊はぷかぷかと俺の目の前に現れた。
朝から不可解な事件の犯人の名前は新堂知遥。
俺の元妹であり、今はこの世に未練たらたらの浮遊霊だ。
死ぬ前は成績優秀、スポーツ万能、そして俺に入ってほしいという探偵事務所の元1人というかなりのチート性能を持っていた。
ただこいつは死後に魂だけ乗り移るという能力を手に入れ、更に厄介な存在だが今後助かるような場面もあると願いたい。
そして今はその厄介な存在が引き起こした問題だった。
「だって...だって...お兄ちゃん顔がマジでキス顔しててほんとに気持ち悪かったんだもん
あんなのお嫁さんにもらう子が可哀想だよ...ふふふふっ...」
思い出し笑いをする知遥を見ると今すぐ地獄に突き落としてやりたいくらいだがまずは事情聴取といこうか。
「いや、そもそもなんで霧島さんを家に入れてんだよ!」
「え?家の前通ったから。」
「家の前通ったから。
じゃねぇだろ!!
お前は俺が全く交友も関係もない女の子通ったとしても入れる気だったのか!?」
「うん。だってお兄ちゃん起きないし、お母さん今日早めに出てっちゃったし。」
確かに目覚まし無視してずっと寝てた自分にも非があるのは悔しい…
けどこれ常識的にアウトじゃん?
下手したら犯罪じゃん?
絶対悪人扱いされるの俺じゃん...
「一理あるが、流石に道端歩いてる女の子とっ捕まえて家に無理やり入れさせるのは良くないよ知遥さん? (しかも入れるんじゃなくて入ってくるからな)」
苦笑しつつも反省したのか分からんが少し申し訳なさそうで何よりだ。
それよりさっきのどちらとも被害者というよく分からない状況をどうすればいいんだ...
「まぁ...ドンマイってことで?」
「霧島さんになんて説明すりゃいいんだよ...」
「恵里香先輩優しいから大丈夫だよ」
「お前学校では恵里香先輩って呼んでたのか?」
「ほら一応先輩だし?結構お世話にはなったから...」
「南無妙法蓮華経...南無妙法蓮華経...」
すかさずお経を唱え始めた俺の目の前には空からお出迎えの本物の天使がパタパタとやってくるというなんともカオスな光景が広がっていた。
「あ、なんだか急に復讐とかどうでもよくなってきちゃった。って成仏のせいか!!あぁ...それだけはやめてぇぇぇぇぇぇぇ!」
「へへへ、ざまぁみろ。」
という傍からみたら実に近寄り難い独り言を言い放っている俺は周りの痛々しい目に気づく事も忘れていた。
知遥の一言が無ければね。
「お兄ちゃん十字路のとこ見て!
車と女の子当たっちゃう!!」
「へ?っておい、マジかよ!
知遥っ止めるぞ!!」
知遥の逃げる作戦かと思ったら目の前で実際に起きてたので状況を把握し、思考回路を全力で張り巡らせた俺の最善策だった。
「分かってるわよっ」
前方からくる車は電話をしながら走行し、もう片方の左から走ってくる女の子は急いでるせいか聞く耳も持たなそうだ。
「とりあえず私は車の男の方に乗っ取りに行くからお兄ちゃんは女の子の方を!」
自分から車までは距離にして20m。女の子視点だと5mと言ったとこでお互いが接触するとしたらあと数秒しかないし
当たったりしたらただ事じゃ済まない。
中学以来の全力疾走をしながらその子に声をかける。
「危ないぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁいっ!!!!」
「え?」
こちらに気づいた女の子は少し遅かったかも知れない。ただ...それでも。知遥の様にはさせたくない。
(ギュュュッッッガシャァァァァァァァン)
次回は助けた女の子の真相と真琴の探偵事務所への参加です。