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判断の悪さが招いたこと?

久々に出します

「じゃあ体育館に移動だから廊下並んでね〜」

担任の堂本(どうもと)先生と霧島さんの呼びかけにより、とうとう妹の恥晒しへのカウントダウンが始まった。


「今日は寝たりせずお前の妹ちゃんの顔拝んでおくとしますか。」

「もう勝手にしてくれ…」

尚弥の対応も疲れてきたが、クラスの先頭の子は体育館のドアの前だった。

その後に続くように自分もドアを抜け、たくさんのパイプ椅子の中の7組の列が出来た椅子に腰を下ろした。

まぁそっからは進行係を務める代表が出てきて朝礼は始まった。

学校長の長話なり、委員会の活動報告なり、呼びかけなりを適当に済ませ、次は知遥の活動報告のスピーチとなった。


「それでは探偵ボランティア事務所からの活動報告スピーチです。1-5組 新道知遥さんお願いします。」

「はい!!」


「おぉ…妹ちゃんはやはり噂に聞く清楚系ビッ…」

「やめろ。」

尚弥…いくら何でもその発言は兄として許さんぞ、だが全く分かってないな。だいたい知遥は清楚でもないただのビッ〇にしか過ぎない。いや、そもそもアイツに男なんているのか?俺の知らない間に家に上がらせたりしてるのか?…ってそんな想像してる兄も同類か。

とか言ってるうちに知遥話し始めてるし…


「今回の活動報告では皆様にいくつかの問題点と改善点そしてどんな活動をしたか、その対応についてお話したいと思います。まず最近では地域に密着した学校からの些細な事でも力になろうをモットーに心がけてきました。ですが最近は飲んだ飲み物ポイ捨て、学校に登下校をする時の道の歩き方、自転車の乗り方など点々と苦情もきております。私たちからはそのわずかな心遣いをもう少し徹底してもらいたいと思っています。

そして先週までの活動は事務所に依頼のきた土手のゴミ掃除、落し物の捜索、更には行方不明だった児童の捜索も手伝ったりなど地域に貢献を果たしてきました。

そして今後も気を緩めず活動を続け東中野高校の発展。更には心地よい地域への発展に繋がればいいと思います。


以上。1-5組 新道知遥からの近況報告及び活動報告です。ご清聴ありがとうございました。」

すると周りからは

「流石だわ…」

「中間テスト学年トップなだけあるわね…」

「てか新道さんって美人だよな…」

「清楚な顔してそうだけど実は…」


的な声がぽつぽつと聞こえてくるし最後の発言はとてもいらんがこれくらいやってのけないと…


「妹ちゃん…新道さん…いや新道様に言っておいてくれ…清楚なビッ〇と言ってすみませんでしたと。」


「あぁ…このギャップの違いは生まれてこの方兄も知らなかった。」



そう、俺も思った。


ちょっと妹バカにし過ぎた。

ほんとに説明のなにからなにまでしっかり伝えて仕事をこなしてるのが分かった。

知遥も真面目な時は完璧なくらいの女の子だなんて知らなかった。




兄だけど。


「こりゃジュースの1本でも奢ってやらないとな…」

そして朝礼は終わり、ある程度の話を終えた後生徒達はクラスごとに教室に戻り始めた。





〜放課後にて〜





時刻は午後4時を過ぎ帰宅部の生徒はそそくさと下校を始め、部活動がある者は着替えなどを済ませ教室を去っていた。


「じゃあな〜真琴、妹ちゃんによろしく頼むぜ。」


「おう。多分な」


気づかなかったが尚弥が去り、辺りを見渡せばすっかりもぬけのからになっていた。

まぁ家は近いし基本ゆっくりめのペースで帰る支度をするので毎回のように自分が1人になるのは承知の上だが…


「そろそろ俺も帰らないとな。」


バックに教科書、筆記用具などなどをしまい教室を後にし、廊下に出たその時…


「あ、やっぱりいたね、お兄ちゃん。」


聞き慣れたあの声が耳に入った。

今一番に話したい相手だったかも知れない。


「知遥…どうしてここにいるって分かったんだ?」

「そりゃ毎日お兄ちゃんの行動パターンを知り尽くした私にかかればすぐに見つけられるわよ。」


気持ち悪いという考えもあるが、兄の自分をちゃんと見ててくれてるというこの素直な嬉しい気持ちに変えられるものはない。うん、はっきり分かる。


「あ!!それでね、今日もこれから放課後の活動があるからお母さんに遅くなるって伝えておいてくれない?」


「なんで俺が事情を知った途端に言いに来るんだよ…」


「んふふ…普段とのギャップに差をつけるためよっ

どーだ?惚れたか?ほらほらぁ?」


「…っ」


「なに?兄が妹に恋しちゃった?もぉ妹ラブコメじゃあるまいし〜」


「あのな、断じてそれはない。」


恋というより愛だな。

家族としての愛情がより深まったよ…ツンデレ最高かよ…あぁ、それ関係ないよ…


「あ、あと一つ言いたかったことがある」


「ん〜?なぁに?」


「スピーチ…よく出来てたな。凄かったよ。」


「まぁ天才新道様にかかればこんなものよ〜」


そして知遥は少し頬を赤くしてもう一言に口に出した。


「その...登校する時土壇場でも相談に乗ってくれはしたし...一応ありがと。お兄ちゃん。」


「…」

その瞬間の感情はよく分からない。ただハッキリ伝わるこの胸の鼓動は正直だった。

今だけは1人の女として見てしまったと思う。

気まずそうに思った知遥は俺の意外な反応により恐らく恥ずかしさと醜態に襲われていた。


「あぁぁぁぁぁあぁぁぁぁっ!!もう活動行ってくるわ!!」


知遥はずかずかとその場を立ち去り、置いてきぼりに。あっという間に教室と同じ状態になってしまった。


「ジュース…買ってやるって言うの忘れたな。」




ーーーーーーーーーーーー




「ただいま〜」


学校からは寄り道などとくにすることもなくそのまま家に帰宅した。


「あ、真琴おかえりなさい。」


「母さん!!話したい事山々だけど簡潔に言うといつから知遥はあんなに優等生になっちゃったの!?」


「中学の時のテストは毎回のように1位だったわよ。知らなかったの?」


「おいおい、俺の知ってる知遥はどこにいるんだよ。」


「そんなの帰ってきたら家にいるわよ。」


「あぁ…そーですね。兄として妹の情報不足でした。」


「あ、それと母さん買い物に行ってくるから留守番よろしくね?」


「へいへい」


適当に応えてとりあえず自分の部屋に戻り、制服から着替えることにした。


「なんか今日は疲れる1日だったなぁ…」



「ふぁぁ...ちょっと休憩...」



へとへとになりながらベットイン。

色々と考え事はあるが、とりあえず無心になろうと目を瞑った。



ーーーーーーーーーーーーーー




意識をすると無性に雨音が耳にすごく鳴り響いてきた。


「あ、寝ちまったよ…」


ふと気づいたら眠ってしまっていた。

家には誰もいない。いつもなら知遥もいるのに

時間を携帯で確認すると19時10分と表示されていた。2時間近く寝てしまったらしい。


「ん?3分前から母さんの不在着信が何件もきてる…」

まぁどーせ買い物の途中で雨降ってきたから傘持ってきてとかだろう。

折り返し掛け直すとすぐに通話が始まった。


「真琴!?どうしよう…知遥が知遥がぁ…

助けて…」

母さんからは聞いたことの無い悲しさと辛さを交ざったような声と泣き声が突然と聞こえた。

もうただ事ではないことは分かる。

嫌な予感しかしない。


「一体どうしたの?」

「知遥がぁ…誰かに後ろから刃物で刺されて…お父さんはまだ仕事で来れないから……」


「はは…ちょっと待ってくれよ」


ダメだ、思考回路が停止してんのはお互い様だ冷静になれ…ならないと…


「すぐ近くの市立病院か?」


「うん…」


それを聞き、通話を切って部屋着のまま家を出て駐車場に止めてある自転車を取り出し、一心不乱に漕ぎだした。


「畜生。畜生。何でこんな事にっ…」
















読んで頂き嬉しい限りです。

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