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4.アフターフォロー

 

 今日も無事一日が終わると思っていた夕暮れ時。けたたましい音と共にギルドの扉が開かれた。喧嘩かそれとも強盗か(此処を普通の酒場と勘違いして強盗に押し入った馬鹿が昔いた)と思ったけれどそうではなかった。ギルド仲間の一人に体を支えられ、中に入ってきたのは負傷した顔見知り。うちのギルドに登録している冒険者ジャーレンだ。


「どうしたの!?」


 私は慌ててカウンターから飛び出す。駆け寄って近くで彼を見れば、所々打撲痕や切り傷だらけだ。特に足が酷いのか引きずっている。


「あなた、確か今日は商業用の馬車の護衛だったわよね?まさか襲われたの?」

「・・・面目ない。」


 中年と言うにはまだ少し若いジャーレンは力の無い声で頭を垂れた。

 今回の彼の任務は船で港に運ばれてきた積荷を街の商人の店へ運ぶ馬車の護衛。移動時間は明るい昼過ぎだったし、ルートは大きな街道。しかも積荷のほとんどは食料品で宝石類など値の張る品は無い。盗賊の類に襲われる可能性の低い案件。だから依頼人も護衛は一人で十分と判断し、Dランクの彼が護衛を請けた。

 けれどその予想を覆し、彼は数人の団体に襲われたのだと言う。ジャーレン以外に同行していたのは御者と依頼主の店員一人。流石に彼だけでは荷を守りきれなかっただろう。

 壁際に並べられた椅子の一つに彼を座らせ、カウンターの裏に常備している薬箱を用意する。職業柄、誰かが怪我をして帰ってくるなんてしょっちゅうだから、余程酷い怪我でなければこの場で治療してしまうことが多い。まずは腫れた左足から治療に取り掛かると、すぐにラウダさんが店奥から出てきた。既に話を聞いたのか、彼の表情は険しい。


「大丈夫か?ジャーレン。」

「長、俺、・・・すいませんでした。」

「いや、今回は仕方が無い。お前が此処に戻ってきたって事は同行した連中は無事なんだろう?」

「はい。店員と御者は逃がしました。もう店に戻っている頃だと思います。」

「ならいい。奴らが出てきたのはどの辺りだ?」

「アウロ街道からセバへ向かう横道に入って三十分ほど進んだ辺りです。殆どが俺より若い男達でした。」

「リラ。」

「はい。」


 ラウダさんに名前を呼ばれて立ち上がる。すると奥さんが私の代わりにジャーレンの処置を始めてくれた。


「目星は付けられるか?」

「・・・あの辺りで盗みを働いている連中ならいくつか。その中で若い男ばかりとなると、『六つ目蜘蛛』と名乗っているグループでしょうね。」

「最近出来た盗賊団か。」

「盗賊団というよりは、組織の形もなしていない単なる悪ガキの集まりですよ。頭数だけは揃えているみたいです。三十って所でしょう。」

「フン。ガキが調子に乗りやがって。リラ、行くぞ。」

「はい。」


 そのままラウダさんが扉へ向かって歩いていく。私も素早くカウンターへ荷物を取りに行き、すぐにその後を追った。

 すると開け放されたままだったギルドの扉から、長身の男が顔を出した。


「あれ?珍しいね。長とリラが一緒にお出かけ?」


 男が首を傾げればアッシュブラウンの長めの髪が揺れる。丁度扉から出ようとしていた所に登場したスカードを見て、ラウダさんが面白くもなさそうに言った。


「丁度いい。お前も来い。」

「え?何、仕事?報酬出るの?」

「出るわけねぇだろう。お前はただの荷物持ちだ。」


 それだけ言ってラウダさんはギルドの横に建てられた厩へ入っていってしまう。自然とスカードは説明を求めるように私を見る。


「アフターフォローよ。」

「あぁ、成るほどね。」


 その一言で納得したようだ。私とスカードも続けて厩に入った。

 ラウダさんがひらりと跨ったのはガイエンと名づけられた黒の雄馬。プライドが高い馬で長以外は決して背に乗せない。私は栗毛の馬の下へ行き、その首筋を撫でる。この子はアリー。気性は穏やかだが俊足の、ギルドで共有して世話している雌馬だ。私は自分の馬を持っていないので、馬が必要な時は好んでこの子を借りている。


「よろしく。」


 一言声をかければ、アリーは静かに首を下げた。手綱を取って馬の背に乗る。先にラウダさんとガイエンが厩から出で行き、私もそれに続こうと体勢を整える。


「えっ!ちょっと!!!」


 すると突然後ろからスカードがアリーに跨った。危ないじゃない!!非難を篭めて後ろを振り向けば、何が楽しいのかスカードが微笑み返してくる。


「なんで二人乗りなのよ!」

「“アフターフォロー”で荷物持ちが必要ってことは、大方護衛中の積荷を奪われたんだろ?」

「・・・・そうだけど。」

「荷は馬車ごと盗られた?」

「・・・・そうだけど。」

「なら、俺は帰りに馬車に乗っていかなきゃならない。行きに一頭馬を連れて行っちまったら邪魔になるだろう。」

「分かったわよ!」


 仕方なく二人乗りでアリーと共に厩を出る。ラウダさんは既に街道へ向かって走り出していた。遅れないよう私も早く出なくては。焦る私のお腹をするりと大きな手が撫でる。


「腰に手を回すな、変態。」

「ひどいなぁ。俺が落ちたらどうしてくれるの。」

「自分の足で走ったら?遅れちゃうからとっとと行くわよ!」

「うわっ!!」


 馬の腹を蹴り、アリーが勢い良く駆け出す。慌てて私の腰をぎゅっと抱きしめるスカード。

 変な所触りやがったら即効蹴り落としてやるわ!!






 私達が馬の足を止めたのは夜でも賑わう酒場の集まった地区。賑やかな喧騒の中私は長に見えるよう小さな手振りである建物を指差す。そこは表通りからは見づらい位置に建っているこじんまりとした古道具屋だ。すでに店閉まいしていて、灯りは落とされていた。


 職業柄ギルドには様々な情報が集まってくる。それを精査して冒険者達の仕事に活かしたり、時には街の護衛団や騎士団に犯罪の情報を流して注意を促したりするのも長と私の仕事だ。特にラウダさんは王家に信頼が厚いので、紫雷のギルドの情報は重宝されている。

 今回私が記憶から引っ張り出したのは、最近ギルドの間で話題になっていた盗賊の事。この街の付近で相次いで起こっている盗難や暴行事件に関わっているとされている彼らははみ出しものの集団で、メンバーが皆十代から二十代の若者達という点を除けば特別珍しくも無い。大体盗賊団というのは便宜上名前を持っている。所謂通り名というヤツで、彼らは『六つ目蜘蛛』と呼ばれていた。中々の粒ぞろいだと聞いているけれど――


 馬を知り合いの酒場に預け、先を歩くラウダさんの背中を見る。ラウダさんはギルドを立ち上げてから第一線に立つことはなくなったけれど、隙の無い歩き方や現役から落ちていないと言う筋肉のついた体を見ればSランク冒険者紫雷のラウダは健在だと実感できる。背は高い方ではないのに存在感があるのは経験と実力に裏づけされた自信がそう見せるのだろう。


(ご愁傷様。)


 私はまだ目にしていない『六つ目蜘蛛』の連中に向かってそう心の内で呟いた。

 何せアフターフォローがウリの『紫雷のギルド』である。冒険者が任務に失敗しても元Sランクの長が後始末するのだから、依頼人は安心してウチに仕事を任せられるという訳だ。

 ウチのテリトリーで手を出したこと、たっぷり後悔してもらおう。


 古道具屋の表ドアを蹴破り(道具を使わず長は文字通り蹴破った)、迷い無く地下への階段を進むラウダさんに続くと、そこには二十数名の男達が酒盛りをしていた。大方今日の収穫を肴に酒を呑んでいたのだろう。

 ドアが破壊された音を聞きつけた男達は直ぐに階段を下りてきた私達に気付いた。その手には各々の得物が握られている。ナイフ、長剣、槍・・・ってコラコラ。そんなもの室内で振り回す気か。予想通りあまり頭の良くない集団らしい。


「『六つ目蜘蛛』だな。」


 階段の途中に立ったままラウダさんが問う。迫力に飲まれているのか、返事をする者はいない。これだけの大人数がいながら誰一人言葉を発しないのはそれだけで異様な雰囲気だ。


「・・・アンタ、誰?」


 声は奥から。冷静でハスキーな声の主は意外にも小奇麗な格好をした細身の男だった。浅茶の髪に白い肌。清潔感のある白い開襟シャツにベージュのスラックス。一見盗賊には見えないが、猫のような目がこちらを警戒してつり上がっている。

 そうか。この男が――


「この辺りで商売している癖に俺を知らねぇとは勉強不足なんじゃねぇのか?」


 余裕の表情でくっと喉を鳴らし、ラウダさんが笑う。それに触発されたのか猫目の男がぴくりと顔を強張らせた。平静を装っているが、すぐ挑発に乗るあたりまだ若い証拠だ。


「俺達の事を知っておきながら女づれとはいい身分だなぁ。」

「それともあれか?その女は献上品か?」


 ラウダさんの後ろに控える私を見て、若い男達が口々に騒ぎ出す。けれどラウダさんも私もこれくらいで動揺する程短絡じゃない。こんなのガキの戯言だ。


「ばーか、いらねぇよ。こんな年増。」


 ・・・・・・・・今言った奴、後で絶対泣かす。


「悪いが、楽しくおしゃべりしている暇はねぇ。とっとと終わらせるぞ。」


 最後の台詞は私に向かって言った言葉だ。私は声には出さずに頷いた。


「はぁ?おっさん何言って――」


 ゴッ

 鈍い音と共に一人が倒れる。あーぁ。しゃべってないで歯くいしばっておけば良かったのに。アレ痛たそー。

 周りの男達は唖然と突っ立っているだけだ。まぁ、普通驚くだろう。何せラウダさんは丸腰。今男を沈めるのに使ったのは拳一つのみ。ラウダさんは拳法や武道が得意なわけではない。知る人ぞ知る『紫雷のラウダ』の得物は片刃の大剣。けれど今日はそれをギルドに置いて来ている。理由は簡単。その必要が無かったからだ。


「テメェ!何しやがる!!」


 沈黙は永遠ではない。一人を沈め、ゆっくりと部屋を横切ろうとするラウダさんに我に返った男達が次々に襲いかかってくる。途端に騒がしくなる地下室。それに対し長はまるで組み手の相手をしているかのように軽く男たちを“いなして”いる。流石ウラダさん。カッコイイ!!


「くそっ!」


 長の強さに危機を感じたのか、男の一人が私に手を伸ばしてきた。何よ、人質にでもしようって言うの?ナメられたモンだわ。


「うわっ!!?」


 男の腕をかわして腰のホルスターから抜いたのは二本の短剣。私が昔から愛用しているのは長剣と短剣の間くらいの長さの特殊な剣だが、今日は持ってきていない。理由は長と同じで必要ないからだ。

 一本を男の首筋につきつけ、怯んだ所でもう一本の柄部分でみぞおちを突く。ハイ、これで一丁上がり。呼吸が出来ないのか、背を丸めて床で悶絶しているが自業自得だ。おっと次は後ろから椅子の足を掴んで振り下ろしてきた。前に足を踏み出してかわし、その足を軸にして振り返りざまに男の顔面を蹴り上げる。だが、相手は長よりも長身の大男だった。体は揺れるものの倒れはしない。うーん。女の私の蹴りじゃ重さが足りないのよね。けど長じゃなくてレディを狙うなんてなんて卑怯!しかも後ろから!これは重い罰が必要よね。

 大男が体勢を直す前に一足飛びで懐に入り込む。そしてさっきとは違う部分を蹴り上げた。


「っ!!!??」


 何も言葉に出来ないのか、大男は股間を押さえて床に倒れこむ。筋肉の鎧を纏った大男をか弱いレディが倒すには効率よく急所を突くのが一番。という訳で、容赦なくやらせてもらいました。良い子は真似しないでね。

 これで床で悶絶している男が二人。捕らえるのが難しいと分かったのか、顔を上げれば男達が一定の距離を保って私を囲っている。だが、その間にもラウダさんによって男達が次々と倒されていく。これはもう時間の問題ね。私達が降りてきた階段から逃げ出している奴らもいるけど、残念ながら出口にはAランク冒険者スカード=バトラーが控えている。もう此処からは誰も逃げられない。


「ギルドか・・」

「気付くのが遅かったな。」

「ちっ。今日の収穫の中にアンタ達の仕事対象があったわけか。」

「そういう事だ。ウチの信用を落とす訳には行かないんでね。ケツを拭きに来た。」

「ふんっ。ツイてなかったな。」


(え・・?)


 そう言うと猫目の男は座っていた木箱から立ち上がり、ラウダさんの前に進み出る。そして握った両手を差し出した。その行動にラウダさんは訝しげに男を見返す。


「・・・・何のつもりだ。」

「何って、見ての通りだよ。僕の負け。降参するからとっとと自衛団でも騎士団にでも突き出せば?」

「なっ!バル!!俺らを売る気か!!?」


 バル、と呼ばれた男の行動に動揺したのは盗賊達の方だった。当然だろう。仲間の一人が自首したのだ。しかも今までの言動からすれば、恐らくバルが頭だ。もしこの場から逃げられたとしても捕まったトップが吐けば盗賊達は芋づる式に捕まってしまう。だがそんな盗賊達を見渡し、バルは鼻で笑った。


「僕だけが悪いみたいに言わないでよ。僕も君たちと一緒に捕まるんだからさ。」


 罪を犯して捕まると言うのに余裕の笑み。まだ二十歳そこそこの年齢に見えるけれど、バルはまるで何でもない事のように話をしている。服装も立ち振る舞いも盗賊には見えない、おかしな若者。

 その時、私の頭にある名前が浮かび上がった。


「・・・バルミュート=カルコル?」

「へぇ。お姉さん、僕のこと知ってるんだ。」


 バルは口の端を吊り上げて私を見た。あぁ、やっぱりそうだったか。ちらりと私の横顔を見た後、ラウダさんはバルに警戒の目を向けたまま尋ねる。


「リラ。コイツを知ってるのか?」

「・・爵位は無いですが、現第三騎士団副団長の三男ですよ。」


 ギルドに入ってくるのは、何も犯罪者の情報だけではない。関わりの深い騎士団の主要な人物のことなら大抵私も知っている。ここでやっとバルの真意が分かった。

 今『六つ目蜘蛛』の全員が捕らえられたとしても、彼だけ罪に問われず、保釈金をつんで釈放されるだろう。騎士団副団長の息子が罪を犯したと世間に知られればカルコル家にとっては非常にまずい。もみ消される可能性が極めて高いのだ。

 ちっとラウダさんの舌打ちの音が聞こえる。けれどギルドに出来るのは犯罪者を騎士団に受け渡す所まで。その先の裁きまでは口が出せないのが現実だ。


「子供のお遊びだった訳か。」


 そうバルにとっては盗賊ごっこの遊びだったのだ。生活苦で盗みを働くでもなく、仲間の為に手を貸すでもなく、やってみたかったという子供のような好奇心で。

 普通法に背く事をするのなら敵となる騎士団や自衛団、ギルドの事を前もって調べ、邪魔をされないように手を打つだろう。けれどバルはラウダさんを知らなかった。全てにおいて爪が甘いのだ。例え捕らえられたとしても自分だけは助かるのだから、危機感が足りないのも当然だ。


 結局『六つ目蜘蛛』はその場で全員捕縛した。最後まで抵抗した者もいたが、ラウダさん相手に逃げられる筈も無い。盗賊達を騎士団に引き渡す為、一旦階段を上がり出口へ向かう。するとそこにいる筈の無い人物が立っていた。


「・・・キルシュ?」

「あ!リラさん!お疲れ様です!!」


 なんでこの子、此処にいるんだろう。しかも道具屋となっている一階部分の端には逃げた盗賊達が縄で縛られ転がっている。


「もしかして、あれキルシュが捕まえたの?」

「はい。あの、俺・・、長とリラさんが盗賊から積荷を取り返しに行ったって聞いて、その・・・・」


 手伝いに来た割には申し訳なさそうにキルシュの目線が下がっていく。

 このギルドに所属していて長を心配する人なんていない。ラウダさんの実力を皆分かっているからだ。でもキルシュにとってアフターフォローに出かける私達を見るのは初めての事だから、その力量を侮っているわけではなく、単純に心配してくれたのだろう。良い子だねぇ。

 今回の仕事のせいでくさくさしていた私は出迎えてくれたキルシュの邪気の無い笑顔にうっかり癒されてしまった。まさか成人した男の笑顔にそんな効果があるとは。アニマルテラピーに近いのかもしれない。ワンコみたいだもんね。キルシュって。


「そっか。ありがとね。」

「リ、リラさん!?」


 ぎゅっとキルシュを抱きしめ、ポンポンと頭を撫でる。うーん、癒される。あ、顔真っ赤にしてやんの。可愛いなぁ。けどあまりベタベタしたら可哀想だからこの辺にしておこう。

 私は笑ってキルシュを開放する。うん。ちょっと胸のもやもやが軽くなったよ。


「ごめんごめん。ちょっと癒しが欲しくなって。」

「いや、その・・、俺は別に・・・」

「ところでスカードは?いないの?」

「・・・スカードさんは外で積荷の番を。」

「あぁ、成る程ね。」


 あ、キルシュが面白くなさそうな顔になった。そりゃそうよね。積荷の番と盗賊を逃がさない為の出入口の番。その内面倒な方をスカードに押し付けられたのだから。

 それにしても驚いた。キルシュによって倒され捕らえられたのは十人にも満たないが、彼らが逃げ出してから時間はそれほど経っていない。短時間の間にこれだけの人数を相手に立ちまわれるのならば、キルシュの実力はかなりのものだ。しかも見た所本人は無傷。これくらいの相手なら問題にならないという訳か。

 キルシュがウチに入ってもうすぐ1年。既に彼はCランクにまで上りつめていた。


(本人の成長か、それとも潜在能力が高いのか。・・・もしくはスカードの指導が良いか、ね。)


 ・・・・最後はとっても違う気がする。

 キルシュはずっと冒険者になることを目標としていたようだし、ギルドに入る前から戦い方はそれなりに学んできたのだろう。いつもにこにこしている彼が実際に仕事をしている所は見たこと無かったから今まで気付かなかったけれど、体も良く鍛えているし、これなら街のお嬢様方が放って置かないのも当然か。


 その後、街に詰めている騎士団に引渡し、積荷は馬車も含めて回収することが出来た。荷を依頼主まで届ければ、依頼を遂げた事になるのでアフターフォローは完了。まぁ、貴族のボンボンのお陰でなんとも後味の悪い仕事になってしまったけれど、無事に終わったのだから良しとしよう。


 皆でギルドに帰って来ることが出来たのは深夜近く。帰りを待ってくれていた奥さんに挨拶をしてから帰路に着く。ギルドを出るとキルシュが声をかけてきた。


「帰るんでしょう?送ります。」

「あぁ、・・うん。ありがとう。」


 なんだか断れる気がしなかったので、今日は素直に送られる事にした。

 

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