ベランダの猫と女 Act.1.5
この頃、わたしはベランダによく顔を出す事に気づいた。
あの場所は一度味わったらなかなか止められない麻薬のようだ。
ただ暖かいだけではない。
夕暮れ時には、太陽の光が街中を黄金色に染める風景が美しいのだ。
わたしの手にはペットショップで購入したある物があった。
猫には、猫じゃらしである!
そう、お店の人に言われ一番安い物をいつの間にか購入していた。
ミケは喜んでくれるだろうか。
きっと喜んでくれるはず。
お昼がちょうど過ぎるころに野良猫ミケはやって来た。
わたしは早速用意した猫じゃらしを使ってみる。
しかし興味が無かったのか反応はいまいちだった。
わたしは少しあのお店の人を疑った。
手を振る速さを変えると野良猫ミケは体を小さくした。
そして、猪突猛進の如く体ごと猫じゃらしに体当たり。
が、勢いあまってベランダから落ちた・・・。
(大変!!)
わたしはベランダから身を乗り出し安心する。
どうやら無事だったようで何も無かったかのように塀を登り戻ってきた。
その野良猫ミケの顔が・・・。
(ドヤ顔!!)
わたしは笑いを堪えられず笑ってしまった。
そして、また猫じゃらしで延々と野良猫ミケと戯れていた。
その時、わたしは大変な事を今してしまったのだと気づく。
野良猫ミケが・・・。
へばってしまった。
---つづく。