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■ビジネス天使の記憶と黒幕の役割

彼女が最初に認識したのは「夢」だった。


俺の名は佐藤亮二。

70年代に生まれ、90年代、2000年代に青春を謳歌した。

小さいながらも老舗の会社に勤め、妻や子にも恵まれた。

二人の娘に孫ができたときは嬉しかった。

最後は心筋梗塞だった。


突然の出来事として、四十九日の間自らの死が処理されていくのを傍らで見ていた。

妻を手伝いたかったが、幽霊だと怖がられたくなかったため、思いとどまった。

天に登り始めたとき、スーツ姿の自称天使が名刺を渡してきた。


天使の営業トークは、下手に出つつも主張はしっかりしており、なかなか堂に入ったものだった。

俺は会社でエースだったと自負しており、社への貢献は歴代トップだと自認している。

死んだのは天使の手違いであり、そのお詫びとして転生するらしい。


「そもそも、寿命ではないだと!」


碌に孫たちを抱く機会がなかったのが心残りだが、有無を言わさず半ば強制的に転生されてしまった。


俺、いや私。

佐藤亮二だった記憶が混ざり込んだ、あの夜のことは忘れられない。


夢であってほしい孫への思いは、私自身の感情であるはずなのに、どこか他人事のように不憫に感じられた。

この感情が自分の事なのか、他人事なのかわからないまま、私はニーナの手の温もりで目を覚ました。


ニーナは涙ながらに私の生還を喜んでくれた。

乳母でもある彼女は、母上と比べても、いや、それ以上に大切な存在かもしれない。

無くてはならない存在だ。


「ああ、そうだ。父上にも母上にも、まずは無事を伝えなければ。」


そんなことをぼんやりと考えていると、ニーナがそっと白湯を運んでくれた。

喉の渇きを察してくれる、その素朴な愛情に、私は涙が溢れたのだった。


病から回復して三日。

両親との再会は久々で、学舎に来てからこれが初めてだった。


何かと贈り物は届けてくれていたが、今回も土産だと言って、大きなぬいぐるみが持ち込まれた。

両親に抱かれながら、ニーナが箱を開けてくれる。

領地にいた頃と変わらない光景に、私は言い知れない嬉しさを覚えた。


「もう子供じゃないのよ」と大人ぶって抗議してみたが、頭を大きく撫でられて笑われてしまった。


両親を見送った後、私はこみ上げる寂しさをニーナに打ち明けた。

ニーナは何も言わず、私を黙って抱き寄せてくれた。

その温もりに安心感が押し寄せた。


自分の意外な寂しがり屋の一面を再認識したとき、ふと、かつて娘たちも同じような寂しさを感じていたのだろうと思えた。


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