8/59
第1章:きらめきのかけら 2
谷には、かつての賑わいの面影がかすかに残っていた。
けれど、今はもう誰も笑ってはいない。
ネオスペーシアンの姿もなく、沈黙が辺りを覆っている。
その中で、ひとりぽつんと座っていた白銀の戦士──ネオスは、どこか空虚な瞳で空を見上げていた。
「……ネオス……」
ルビーが小さく声をかけると、隣からふわふわと飛び出してきた影があった。
「ルビー! 無事だったんだね!」
元気そうに見えて、どこか必死な様子でハネクリボーが声を上げる。
その翼は少し擦り切れ、瞳には疲れが滲んでいた。
「ネオスは……その……目を覚ましてるけど、記憶が……」
ルビーが視線を向けると、ネオスはゆっくりと立ち上がった。
けれど、その目に宿るのは、かつての力強い光ではなかった。
「君は……誰だ?」
その問いかけに、ルビーは一瞬だけ目を伏せ、そしてにっこりと微笑んだ。
「……私は、あなたの仲間だった……そう、信じてるの」