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初めてのBar
色んな職種の人達が、このバーには集まっている。
保険会社に勤めていると、自分から話す女性もいた。
何をしてるか、自分が何者なのかも話さない人もいた。
ここでは、そんな事はどうでもいいようだ。
ただ、酒好きが集まって、たわいのない話をして、帰りたくなったら、3千円をカウンターに置いて帰るという具合だ。
初めてのバー。。彼は、ボトルキープしているウイスキーを、笑顔で私に注いでくれた。
私は、「ありがとうございます」と言い、一気に飲み干した。
私は、早く酔いたかった。
彼にも、バーの人達にも、自分が人間嫌いだという事を知られたくなかった。
いつまでも隠せるとは思ってなかったが、笑い声で溢れる、この雰囲気を壊したくなかった。
そして、なにより、彼の前では、いつも笑顔でいようと思っていた。
仮面を被ったまま、私は彼と過ごす事となる。