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14.エピローグ

「お姉様。とても綺麗よ……」

「ありがとう。アデラ」


 アデラがうっとりと呟いた。

 ヴァネッサはウエーバー公爵邸でウエディングドレスの最終調整をしている。たくさんのデザインから選び、素晴らしい生地と腕利きの職人さんたちが総力を注いで作ってくれた。それはとても素晴らしい、眩いドレスが出来上がった。これを着ると緊張するがそれ以上にヴァネッサの心は浮き立つ。

 オーディスのご両親は「聡明なお嬢さんがお嫁に来てくれて嬉しいわ」とヴァネッサを歓迎してくれた。

 オーディスは張り切って結婚式の準備を進めてくれている。何ならヴァネッサよりも気合が入っていて、ドレスのデザインに指輪、招待客に出す食事、テーブルに飾る花など希望を上げてはヴァネッサに細かく確認をしてくれる。至れり尽くせりで申し訳ないほどだ。


「花嫁が主役だから当然だろう?」

「ありがとうございます」


 ウエーバー公爵家ともなれば招くお客様が多くて、そのリストを見てヴァネッサは圧倒されたが、ウエーバー公爵家が一丸となって支えてくれるので不安はない。間違いなく最高に幸せだ。


「もっと幸せになるのだから、これくらいで満足しないで。私たちの幸せはまだ始まったばかりだ」

「ふふ。そうですね」


 学園在学中のオーディスは生真面目でしっかり者というイメージだったが、婚約者になったオーディスはひたすらヴァネッサに甘い。最初の頃はどう反応すればいいのか分からずおろおろしたが、今は素直に受け止めている。


「オーディス様。お姉様を泣かせたりしたら私が許しません! その時は――(自主規制)しますから!」

「ひっ?!」


 オーディスが顔を引き攣らせた。ヴァネッサにはアデラの声が聞き取れなかったが、不穏な言葉が飛び出したような? いやいや、気のせいに決まっている。可愛い妹がそんな言葉を使うはずがない。

 オーディスは気を取り直しアデラに向かって断言する。


「ヴァネッサには不安を少しも感じさせないと約束する」

「ヘタレのくせにどこからその自信が……私の方がお姉様を笑顔にできると思うけれど……」

「とにかく安心して欲しい!」


 そのあとも二人は小さな声でぶつぶつとやり取りをしている。

 しばらくするとオーディスがアデラに微笑んだ……が、よく見るとそれは優越感を滲ませた笑みで、それに対しアデラは挑むような笑みを浮かべている。

 二人はどちらがよりヴァネッサを喜ばせるかで張り合っているらしいとバルウィンが教えてくれた。なるほど?


「ふふ。私、幸せだわ」


 もう、初恋の人が妹に微笑んでも、ヴァネッサが不安になることも嫉妬することもない。

 二人を眺めながらヴァネッサは柔らかく微笑んだ――。


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ありがとうございます。

お読みくださりありがとうございました。

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