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2話 出来ること


 赤子の時の流れというのは早いものであっという間に時間が過ぎていき1ヶ月の月日が流れた。


 どうやら本当に生まれ変わったらしい。

 やっとその事実を飲み込めたところだ。


 ひとまず赤ちゃん生活の俺だが、生まれた時から言葉を理解し、この世界のことを少しづつ学んでいるところである。

 とはいえ、話すのも身体を動かすのも意思に身体が追いついてはいないから話そうにも上手く口が回らない、動くのも寝返りが関の山だ。


 さらに半年の月日が流れやっと自分で体を動かせるようになった。


「レイン、おはよう、よく眠られたかしら」


 アルバの声に気づき身体を向けると、とても優しい手つきで抱き抱えてくれる。

 本当に優しさの権化のような女性だ


「レインは生まれた時からそんなに泣かない子だから心配したけど、こんなに大きく育ってくれて嬉しいわ」


 そういうと父のアンセルもやってきてアルバに代わり俺を抱き抱える。


「確かにな、今でも全然泣かないし、でも元気に育ってくれて俺も嬉しいよ」


 どうやら俺の家は割と裕福な家庭で、コーラット家という侯爵貴族の家系らしい、そして父アンセルはこの国の騎士団の聖騎士の位置についている。

 母は隣国の侍女の娘でこの国の貴族は政略結婚が主流だが珍しく恋愛結婚をしたんだそうだ。


 (羨ましい限りだぜ…こんちくしょー…)


 この国は俺の住んでいた場所とは全く違う文化だった。前世の記憶があるとはいえ、話している意味は理解できるのに話し方が分からない、寝る時にアルバが読んでくれる絵本の文字も分からない、かろうじて絵で理解するくらいだ。


 やがて立って歩けるようになった頃、この世界の言葉も喋れるようになってきた。


 俺は今する事、出来ることをを明確にすることにした。

 にしたって剣聖なんて簡単になれるものでも無い、いくつもの困難が立ち塞がっているんだろう。

 まず何をするべきか、生きてくために必要なもの…言語の習得だろう。

 よって言語の習得を初めの課題とした。


 まず初めに家にある本という本を読み漁った。

 母のアルバは結構なほどの読書家だったため、家には腐るほどの本があった。


 日本語とは全く文字の形は違ったが、幸い言葉の仕組みは日本語と似ているから難なく覚えられたし、言葉を先に覚えていた事が大きい。


 その中でこの世界の成り立ちや宗教関連の教典、人以外の生物がいること、この国以外の国やその地名、そしてこれが一番驚いたのだが、なんとこの世界には魔術があるのだ!

 神に剣聖になることを運命(さだめ)としてこの世に生まれたが、魔術なんてものがあるのならそっちで最強になってみたい、なんなら魔術剣聖なんてのも良いんじゃないか?なんて考えたりもしたが、参考程度に読む事にした。


 勿論剣を振る練習もしている。

 と言ってもただの木の棒なのだが、生前のゲームの中の勇者だって最初は木の棒なのだ、いいじゃないか木の棒だって…


 すると部屋にアルバとアンセルが入ってきた。


「まぁレインったら、危ないじゃない!」


 そう言うアルバを他所にアンセルは


「おっレインも男の子だな!もう剣に興味があるなんて、これは育てがいがあるぞ〜!」


 父のアンセルは剣に見立てたただの木の棒を振る俺を見て目を輝かせて後ろからこうだ!と言わんばかりに素振りをしている。

 それを見ているアルバは心配の眼差しで俺を注視していた。



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