プロローグ
なんてことない人生、一般的には普通と言われる生き方をしていたつもりだ。
高校を卒業からというもの大学を受けようにも両親ともに共働きでそこまで裕福では無い家だ、もちろん就職し、彼女も出来ぬまま一人暮らしで今年29歳になる。
彼女だって作ろうとしたことがない訳では無いが、身長もそこそこ、顔もそこそこ、中途半端なのである。何度か告白もしたことはあるが5回を超えたあたりから心が折れた。
朝起きて、顔を洗い歯を磨き支度をして仕事に向かう。仕事が終わったら家に帰りメシを食い、寝る。そんな生活だ。
「こんな生活小さい時の俺が見たらなんて言うかな。」
仕事も仕事、いわゆるブラック企業ってやつで朝は早く夜は遅い、そんな俺の趣味はゲームくらいしかないだろう。趣味というか取り柄ってやつかな、一通りのゲームはかじってきたが1番好きなのはRPGだ、何故かと言うとキャラを自分と重ねられるから、没入、まるで自分が主人公になって世界を冒険する、そんな感情移入ができるから好きだ。これでもあるゲームでは巨大クランを率いていたクランマスターだったりもする。
そんな毎日を送っていた俺はこれからの事を絶望していた。これからずっと同じ毎日の繰り返し、たまにゲームをしてストレスを解消する、そんな毎日に嫌気がさしていた。
仕事帰りにとぼとぼと帰路についている時、そんなことを考えていた。
「もう死んだっていいかな…」
静まり返り、暗い夜道で言葉が溢れた。だが、死ぬって言ったって痛いのは嫌だし本当に死にたい訳では無い、でもそれくらいには絶望していた。
「コンビニ寄って帰ろ…」
水や栄養補給のゼリーなんかを何個かとってレジに向かう。
「892円になります」
店員さんにお金を渡し、お釣りを貰う。軽く会釈をしコンビニを出る。再び歩いていると、女性がこちらに向かって歩いていた。携帯をいじって歩いている。
歩きスマホはやめなさい、、心の中でそう思っていると前方から車が来ていることに気づいた。しかもそこそこスピードが出ている。ここは夜道で暗いし、轢かれてしまうかもしれない!!と思った俺は大声で叫びながら走った。
「おい!!車が来てるぞ危ない!!」
彼女は気づかない。イヤホンでもつけてるのか??走ってはいるが運動不足のせいか息も絶え絶えになってきた。必死に走り彼女の元にたどり着くが俺には何とか車の進路の外へと押すことしか出来なかった。
その後はどうなったかって?
見事に轢かれた。持っていたコンビニの袋に入っていた水やらなんやらが宙に舞っている。もちろん俺も、よく言う在り来りな話で事故の時は、スローモーションになったり走馬灯を見たりする、って話を聞いたことがあったけどまさにそれだった。地面に叩きつけられるように体を打ちつけた。
全身が痛い、息が出来ずに痙攣する。もう死んだっていいとは言ったもののこうも早く実現するなんて、でも女性を助けられていたなら、、無駄ではなかったと思いたい。視界がぼやけていく中でそんなことを思いながら死んだ