4-11 息抜き
「はぁ〜疲れた〜」
部屋につき次第ベッドに体を投げ出す。
夕食を摂り終え満腹ということに加え、シャワーも浴び、やることもないのでこのまま寝ちゃいそうだ。
まだ新学期の初日なのになんでか疲れた。
まあ異様に情報量が多かったのが原因な気がするが。
「明日休みだけどなんかする?」
「休み……ああそっか、今日金曜か」
「なんで今日登校日にしたんだろうな」
「さぁ……まあ、何かあるんでしょ」
なぜか新学期初日の登校日が金曜日だったので始まってすぐ休日を挟むという良く分からないスケジュールになっている。
「それで、なんかする?」
「まあ何かやりたいことあるなら」
「俺も。といっても今やらなきゃいけないことって何かあるか?」
「ヒナなんかやりたいことある?」
私とマルクは中立の意見なので言い出しっぺのヒナに決定権を委ねる。
本当は色々練習しなきゃいけない時期なんだろうが遊びに行きたいと言うならその意見は尊重する。まだ一応時間はあるし。
「う〜ん、買い物とか?」
「買い物?なんか欲しいものあるの?」
「ちょっと背が伸びたから服が小さくなってきたからさ」
「あ〜たしかに。でも私服着る機会ないから別によくない?」
「家に帰る時着るからちゃんと大きさあってるやつが欲しいんだよね」
「そういえばヒナは長期休暇は家に帰ってるんだったな」
「マルクもでしょ?」
「俺は……ほら、ほとんど宴会とかに顔出してるだけだから制服しか着ないし」
「そうなんだ」
この世界の貴族については全然知らないけどなんかオーダーメイドのスーツとか着ないのか。
まあ学生の正装は制服だし間違ってないのか?
「まあ別に俺は構わない。レイは?」
「私もいいよ〜。それに私も服が小さくなってきてたし、買いたい物もあったから」
ちなみに私が言う服というのは下着だ。マルクが居るので一応伏せておく。
というか最近胸が大きくなってきたのか動く時痛いから割と困ってる。
今までブラとか要らなかったのに……
あとサポーターもボロボロになってきたので買い足したい。
「買いたい物ってなに?」
「剣を買い足したいんだよね」
「なんで?剣はあるじゃん」
「魔闘大会だと武器破壊も許可されてる……というか人によっては壊されたら戦闘不能で負けだから武器破壊は狙われてると思うんだよね。審判によっては負けになるし。まあ私たちは壊されたところでなんとかなるけど」
「まあ、だろうな」
「だからさ、今使ってる持ってるのって先生から買ってもらった結構良い剣じゃん?だから壊されたくないなって」
「あ〜」
「あと装備に関しては制限がなかったから何本か持ち込みたいんだよね」
「たしかに制限はなかったが……持ち込むと邪魔にならないか?そこら辺に置いとくと相手に盗られたり利用されたりしないか?」
「まあそこは対策するから大丈夫」
「わかった。じゃあ明日の行き先は服屋と武器屋でいいか?」
「いいよ〜!」
「私も」
話し合いの結果、行き先が服屋と武器屋に決まる。
まあ話し合いと言ってもほぼヒナの案とそれに私が便乗しただけなんだけど。
「そういえば先生に言ったほうがいいかな?」
「まあ言ったほうがいいだろうな」
「あ、でも服を買いに行くことは言わないほうがいいかも」
「うっ……たしかに」
「私が魔闘大会に必要なものを買いに行くって明日の朝言うから適当に話し合わせて」
「わかった」
「了解!」
ミシェルは趣味が出るとほんと身の危険を感じるからなんとしてもついてこさせたくない。
もう上級生だし生徒だけで外出してもいいだろ。さすがに。
「じゃあ早めに寝るか」
「そうだね」
「は〜い」
せっかくのお出かけに寝坊しないよう早めにベッドに入る。
さすがにこの年で遠足前の子供用になることはなく、さっさと意識を暗闇に落としていく。
「──というわけで今日出かけたいんですけどいいですか?」
「ええ、構いませんよ」
朝食の雑談のついででさらっと言ってさらっと許可をもらえた。
しかし本番はここからだ。
「なら先生もついて行ったほうが──」
「いえ、私たちだけで大丈夫です。ね?マルク?ヒナ?」
「はい」
「うん!」
「それに個人的な買い物もあるので私達だけでなんとかします」
「そうですか……まあ、もう皆さんは上級生になったし大丈夫ですよね」
「はい」
「わかりました。楽しんできてくださいね」
「「「はい!」」」
なんとか言いくるめ監督者の居ない自由時間をもぎとることに成功する。