表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/398

4-9 見学の成果と制限の解除

 あれから研究を行っている生徒に色々聞きに行った。


 ある生徒はより効果の強い(ポーション)を開発し、ある生徒は新しいものを作るのではなく魔術の歴史を研究し、今後の研究に役立つ情報を残そうとした。


 色々な人に質問をし、結果として分かったことはまず、研究の種類(ジャンル)はバラバラ、本当にやりたい研究をしているということ。

 これは教師にも確認をとり、基本何でも研究対象にしていいとのこと。


 次に用意してくれる素材はかなり高価なものでも仕入れてくれるのでとても自由に実験できるということ。もちろん、教師の監督下というのが条件だが。


 そして三つ目、研究成果を出さなくても成績には加算されるので受講生のやる気のある人ない人、研究自体はするが趣味レベルの軽いノリの人など、様々な人種が集まっていること。


 研究する種類(ジャンル)も各々のやる気もバラバラのせいか一種の独特な空気感が作り上げられている。


 あれだ、教師が来ない自習時間のようなものだ。


 とまあそんな感じでちゃんとやる人とそうでない人の差が激しい。


 しかし設備もあるし質の良い素材を用意してくれるということもあってか真剣に研究に打ち込む人は多い。


 さっきの『複合魔術』の授業とはまた違った方向でレベルが高い人が多い。


 そういった感想を踏まえてマルクたちと感想を交わす。


「どうだった?」

「面白かった、設備も良いものが多いし個人的に研究したいものもあるから俺はこの授業?は受けたい」

「ヒナは?」

「私も作ってみたい物あるから受けたい!てか、そういうレイチェルちゃんは?」

「私も受けたいかな」

「じゃあ決まりだね!」

「ああ、三人で受講申請を出そう。それに、何人かでやってる人もいたし三人で共同研究とかも面白そうだな」

「あ〜、いいねそれ」

「賛成!」

「じゃあ何研究するか考えとかないとね」

「だな」


 話の流れで共同研究が決定する。

 まあ嫌ではないし力を借りたい部分もあるので拒否しない。

 まあ、楽しそうだしいいか。


「それで、このあとどうする?時間的にはまだ結構余裕あるが……」

「あ、それなら──」

「ああ、そういえばあったな」

「え、そんなのあったの?」

「うん、だから気になってるんだよね」

「じゃあ確認しに行くか?」

「うん。ヒナも来る?」

「もちろん!」


 自由時間を持て余した私たちは次の目的地に向かって歩き出す。


















「「「失礼します」」」


 一言告げてから中に入る。

 ここは静かにしなきゃいけない場所──そう、図書室だ。


「はいはい……って君たちね。何年もこの仕事続けてるけどこんな来るのは君たちが初めてかもね」

「ははは、ありがとうございます。それでなんですけど、私たち上級生になったじゃないですか」

「そうだね、それがどうかしたの?プレゼントなんて用意してないよ?」

「いえ、プレゼントが欲しいわけではなくてですね。たしか、上級生からじゃないの読めない制限のかかった本があったと思うんですけど」

「……ああ、あれね」

「はい、今なら読めますか?」

「う〜ん、あれちょっと危険なものが多いんだけどな……まあ、君たちなら大丈夫かな。いいよ見せてあげる」

「ありがとうございます」

「ついてきて」


 そういうとカウンターから出て、どんどん本棚の壁をかいくぐり、奥まで入り込んでいく。


 人気のないレベルで奥まで入り込んだあと、急に止まる。

 そこには数年前、マルクが触ろうとして弾かれた本棚があった。


「たしか前だれか触ろうとして弾かれたことあったよね」

「はい」


 マルクが軽く手を挙げ返事をする。


「今度はそうならないように取り出し方説明するから聞いててね」

「わかりました」

「といっても簡単なんだけどね。まずこの魔道具に触って」

「はい……ってこれ教室に置いてある出席確認の魔道具じゃ……」

「うん、それと仕組みは同じなんだよね。この中には生徒の記録が入ってて上級生が触ったときだけ制限が外れるようになってるんだよ」

「なるほど」


 そういう仕組みだったのかこれ。

 条件を満たす人のみ使えるようにする、この仕組みは使えそうだし覚えとこう。


「はい、解除できたよ。もう触っても大丈夫」

「ありがとうございます」

「あ、先に言っとくけどこの本は貸し出せないから」

「わかりました」


 そういうと教師はカウンターへ戻っていく。


「……読もうか」

「……ああ」

「……うん」


 短く言葉を交わし覚悟を決める。

 いや、覚悟というより多分好奇心が恐怖を上回ってる。



 怖い、けど読みたい。その興奮が冷めないうちに危険だと言われ続けた本に手を伸ばす。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ