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3-4 危険な魔術

「や、やった!」

「おめでと……あ」


 喜びのあまり魔力の操作がぶれて《緋炎剣(レーヴァテイン)》は消えてしまった。


「あ……」


 ヒナのテンションがジェットコースターのごとく急降下する。


「うん、まあ、気にするな」

「……うん」


 すかさずマルクがフォローしたがしょぼんと擬音がつきそうな表情は消えない。


「ま、まあ成功したしいいんじゃない?できることがわかったんだから一緒に練習しよ?」

「……うん」


 私もフォローしたけどまだ表情は変わらない。

 う〜ん、多分しばらく戻ってこないな……どうしよ。


「なあ、そろそろ戻らないか?もう魔力も減ってきただろ?」


 絶妙な空気と沈黙が場を満たす中マルクが切り出した。


「そうだね、時間的にもそろそろ戻ろうか」


 時間は現在午後3時、特段遅くはないがマルクの言った通り魔力も残り少ないし他に何かしようと思ったらそろそろ移動したほうがいいかもしれない時間だ。


 実際私はこのあとやりたいことがあるから場の空気をリセットするのも兼ねて提案する。


「そうだな、そろそろ戻ろうか」

「……私はもう少し練習してから戻る」

「わかった」


 マルクがそれに同意しヘコんだヒナがまた魔力を動かし始める。


 結局私とマルクの二人だけで足を動かす。


「なあ、このあと何かする予定あるのか?」

「う〜ん、図書室に借りた本返しに行こうかな」

「俺もついていこうかな。俺も借りた本返しに行きたい」


 私とマルクは図書室に足を運んだ。












「すいません、これお願いします」

「俺のもお願いします」

「返却ですね。はい、ありがとうございました」


 借りてた本を無事返却し終える。


 あのあと一度部屋に戻り本を取ったあと図書室にそのまま来た。

 結局別れる寸前までヒナを気にかけてたがヘコんだままだった。


 まあ次会ったときには多分元気になってるだろ……多分。


 今は今のことに集中しよう。


 ここに来た目的はだいたい3つ、借りた本を返すこと、新しく情報を仕入れること、また新しく本を借りること。


 一つはもう達成したので残り二つ。


 とりあえず今知りたいことは刻印魔術のことと、空間魔術と血属性魔術のことかな。


 確か空間と刻印は多分こっちの方で血属性は多分ここらへん……ん?なんだこのジャンル。


「ねえマルク、これ何の本だと思う?」

「……なんの本だ?わからない」


 マルクに聞いてみたがマルクも心当たりが無いらしい。


「試しに読んでみればいいんじゃないか?」


 そう言いマルクが手を伸ばす。


 その伸ばした手が本に触れようとした瞬間、赤雷が走る。


「っ!」

「大丈夫!?」


 なんだ今の!?いや今はそれよりマルクのほうが優先だ。


「マルク、手出して」

「いや、もう大丈夫だ」

「ほんとに?手見せて」

「いいけど……ほんとにもうなんともないぞ?」


 確かにマルクの手には傷も火傷もない。本当に何とも無いようだ。


 だとしたらさっきのは何だったんだ……?


「大丈夫ですか?」


 声が聞こえたのか図書室で貸出、返却の管理をしていた教師が声をかけてきた。


「この本を触ろうとしたらなんか雷みたいなのがでてきて……」

「ああこの本ね、少し危ない内容だから制限がかかってるの。十歳以上じゃないとさわれないようになってるわ」


 それでその制限の年齢以下のマルクは弾かれたってことか。


 ていうか制限掛けなきゃいけないってどんな内容だろう。聞いてみるか。


「どんな内容の本なんですか?」

「う〜ん、魔術の扱いに慣れてないと危ないものね。『代償』とか自分の体に影響する魔術とかね。危ないから使っちゃだめよ?」


『代償』──前に聞いたことがある気がする。確か武器屋の主人が口にしてた気がする。


 名前からして明らかに危ないな。


 というか自分の体に影響する魔術?もしかして血属性ってそれに含まれる?


 身体強化の魔術は普通に制限無かったから大丈夫だと思ってたけど駄目なのか?

 まさかこんなところで人前で使うのを控えたことが功を奏するとは……最低限偽装しといてよかった。


 仕方ない、探して無かったら血属性は諦めよう。


「とりあえず、ここには触っちゃ駄目だからね」

「わかりました」


 最後に忠告だけして戻っていった。


「じゃあ俺は本探しに行くから」


 一難去ってマルクは本来の目的に戻って行った。私も探しに行こう。



 結果的に言うと血属性魔術の記載のある本は見つからなかった。やはりあの規制のかかった本の中にあるのかもしれない。


 ただ刻印魔術と空間魔術の本はまだ読んでないものを見つけてきた。


 やっぱり蔵書量が多いのは助かる。前に通ってた図書館よりも深く魔術に踏み込んだ内容が多いから勉強になる。


 今日はこの本を借りて帰ろう。


「すいません、これ借りてもいいですか?」

「貸出ですね、はい、どうぞ」

「ありがとうごさいます」


 教師に渡すと毎回のことだが魔道具のような物に通したあと貸し出してくれた。盗難対策はバッチリらしい。


 前通っていた図書館にも同じものがあった気がする。本は貴重なものだからこういった道具がやっぱり必要なんだろうな。


「終わったか?」

「うん、ごめん待たせちゃったね」

「いや、俺もついさっき借りたとこだ。全然待ってない。時間もそろそろ遅いし部屋に戻ろう」

「うん」



 一難あったものの無事新たな本を借り終え、部屋に足を運んだ。

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