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8-3 新調

「いいよ〜。アベル達も手伝ってくれるんでしょ?なら何とかなるんじゃない?」

「俺は面識ねぇけど上位魔術師(アークウィザード)組の卒業生だろ?索敵なんかの立ち回りは俺達がやって魔物はそいつらが倒す。そうすれば負担も減って楽になるしやるだけやってみていいんじゃないか?」


 二人とも依頼を受けることには賛成らしい。まあある程度の実力が担保されてることと、顔見知りっていうのが大きいのかな。


「じゃあ受けるって言っとくね」


 二人がいいならパーティーとして受けれるし、カイさん達も手伝ってくれるらしいし、まあ何とかなるでしょ。


 そんなことを考えつつ、ノックをして部屋に入る。


「レイチェルか」

「うん。……あれ、サリーとマカラムは?」


 魔闘大会で戦った雷と木属性の二人がいなくなっていた。


「あいつらは迷宮探索には向かないと思ってな。マルクの方に事情聴取に行ってもらってる」

「あー……」


 確かに天井が高いとは言えない迷宮じゃ大きい植物は生やせないし、雷はいろんな所に電気を吸われて大変そうだしな……


「それで、受けてくれるか?」

「うん。二人もいいって。カイさん達も手伝ってくれるらしいんだけど一緒に行ってもいい?」

「ああ。報酬はその分増やしておこう」

「ありがとう」

「それじゃいつ行くかだけ決めておこう。俺達は基本ラタトスクに滞在する予定だからいつでもいいが……」

「私達も基本暇だしいつでも。カイさん達次第になるんじゃないかな」

「分かった」


 あっちもこっちも暇らしい。意外と早く決行することになりそうだな。


「それじゃ……ダグラス、ラザ、下がっていいぞ」

「了ー解」

「分かったわ」


 ここでアベルが二人を下げる。


「……さて、一体一で話そうと思ってたんだが……お前、何やらかしたら教会に目付けられるんだ?」

「……正直、まだよく分かってない。アルの時目を付けられて、桜華の時何も無かったのか違いがわからない」

「それはラタトスクに滞在した時間の問題じゃないか?実際教皇から命令が出たのはラタトスクだけみたいだしな」

「そうなの?」

「アンブロシアに査察に入るにあたって色々調べた。違いを見る限りラタトスクに転移者が居ることが問題なんじゃないか?」

「ん〜……」


 確かに違いを見るとそうなんだけど……それはそれで違う気がする。


「なんか、命令が追い出せでも捕縛しろでもなくて殺せなのが引っかかって……」

「確かにな……まあそのうち教会にも査察が入るはずだ。結果が出たら俺から連絡する。当事者だし知る権利はあるだろ」

「まあ教えてくれたら嬉しいかな」


 果たして査察の命令をする上層部にも査察する魔導師団にも信者が沢山いるのにちゃんと調べられるのかという疑問はあるけど……私が介入できる問題じゃないし仕方ないかな。


「それじゃ、詳しいスケジュールが決まったら連絡してくれ」

「分かった。じゃあ、また」

「ああ」


 部屋を出る。とりあえずこれで一通りやることは終わったかな。


 ここからは、やりたいことの時間だ。


「失礼しまーす」


 久しぶりに分厚い鉄扉を開ける。

 それと同時に籠っていた熱が前髪を靡かせる。


「レイチェルか。久しぶりだな」

「はい。ご無沙汰してます。ダグラスさん」


 ギルド専属鍛治師のダグラスさんを訪ねる。


 ……そういえば上位魔術師(アークウィザード)組にもダグラスって居たな。流行りの名前だったのかな?


「んで、今日はどうした。ベインみたく刀壊したか?」

「あ、いや今日は武器じゃなくて防具の方で相談があってですね」

「破いたか?」

「いや、新しく習得した魔術師がちょっとですね……」


 試しに使って見せてみる。


「は〜手足の長さ力の強さを変えられると」

「はい。なのでもうちょっと調整できる仕組みにして欲しいです」

「ふーむ……いっそのこともっと上位グレードに作り替えないか?」

「作り替えるとどうなるんですか?」

「人工聖遺物にしよう。値は張るが性能は折り紙つきだぞ」

「作ったことあるんですか?」

「何回かな。防御力の向上は当たり前として、自動修繕、撥水、遠隔操作なんかもできる」


 遠隔操作ってなんだろ……自動で飛んでくるのかな?


「お前の場合は伸縮性を体の変化に合わせるよう設定すれば使い勝手はそのままで好きに戦える」

「そうなんですね……」


 ……普通に欲しいな。


「ちなみにお値段は……」

「安いものでも白いコインが千枚以上。お前にあわせてしっかり作るなら五千枚はいるかもな」

「なるほど……」


 高い……けど払えなくはない。

 今はギルドからの報酬がある。さらに言うならアベル達からも報酬が出るらしいし余裕をもって作れるな……


「……じゃあ、お願いします」

「おう。任せとけ」



 日本円にして約五千万円以上の金額が飛ぶ買い物の契約を済ませ、熱気のこもる鍛冶場を後にするのであった。

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