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7-71 また、会いに

あれから話し合って決めた作戦は大まかに三つ。


一つ、奇襲は夜じゃなくて昼に行く。

これはあっちも人目につきたくないから夜に動くと考えてだ。まあ桜華の反応を見る限り未開拓の森の中だから昼も普通に活動してる可能性はあるけどその時は仕方ない。


二つ目、捕まってる人を助ける方法。

これは前回と同じで休み休み歩いての移動になると思う。受け入れに関してはギルド支部の方に連絡してある。大丈夫らしい。


そして三つ目、桜華について。

こればっかりは不確定要素が多い。隷属機の術者が殺せと命令すればその場で全力の殺し合いが始まるし、前回みたいに術者を守る命令をされれば立ち回り次第ではなんとかなるかもしれない。

要するに、こっちの動き方が完全に相手に依存するのだ。こればっかりはどうしようもない。


場合によっては、その場で桜華を殺すことになると思う。


もちろん覚悟はしてる。仕方ないことだって。

でも、ここで一つわがままを言った。


「オウカと話がしたい?」

「うん。色々思い出して、それを視て、そのまま何も話さずには終わりたくないから。……無責任では、いたくないから」


勝手に喚び出して、身勝手に殺す、なんて無責任なことはしたくない。

そうしないと大変なことになることは分かってる。でも、せめてその人のことを知って、したいことをさせて、多少不満があるのは仕方ないけど互いに少しは納得できるようにしたい。


「……分かった。できるだけ努力はしてみよう。ただ──」

「それが難しいことはレイチェルもよく分かってるだろ」

「分かってる」

「……はぁ。ならいいか。やれるだけやってみよう」

「まさかベインが日和ってるわけないもんね〜?」

「あぁん!?」


とりあえずなんとか頑張ってみる方向で決まった。

具体的なことは何も決まってない。行き当たりばったり、出たとこ勝負の作戦とも呼べない大雑把な行動目標かもしれないけど、やるしかない。


でもこのメンバーならうまくいく気がする。というかこのメンバーで無理ならどうしようもない。


やれるだけやってみよう。


「──ありがとう。それじゃ、行こう」

「ああ」

「だな」

「うん!」


立ち上がり、歩き出す。

今は午前十時、奇襲をかけるなら丁度いい時間だ。


でも一つだけ寄り道をしていく。


「入れ」

「失礼します」

「主か。どうした?」

「仲間を取り戻しに行こうと思います。なので、出発する前に挨拶をと」

「そうか、わざわざすまない。……仲間を助けに行くということはまた奴隷も助けるのか?」

「……多分、そうなります。というか助けます。なのでまた受け入れをお願いしたいんですけど……」

「構わん。備蓄はまだある。だが……主らに何を返せばいいものか……」

「いえ……」


昨日マルクに言われたことが頭をよぎる。


「……その時はまた宿を貸してください」

「いいだろう。そのときは助け出された者の歓迎も兼ねて宴を開こう」

「ありがとうございます」


うん、多分これで大丈夫なはず。

でもまあ、宴か……そういえば大人数で会食する機会ってあんまりなかったな。


きっと、楽しい時間になるはずだ。


「じゃあ、行ってきます」

「武運を祈る」


ザイルガンドさんに見送られながら部屋を出る。


「終わったか?」

「うん。受け入れられそうだって。成功して無事に帰ってこれたらみんなで宴をしようだってさ」

「そうか。なら大丈夫そうだな」


多分昨日注意されたことのことかな。そこはちゃんと注意して話してきたから安心してほしい。


「宴かぁ……郷土料理とかねぇかな」

「お肉食べたいな……」


二人はもう完全に宴の方に意識が持っていかれてるな……まあ、これはこれで頼もしいな。


「それじゃ、行こう」


集落を出て、未開拓の森の中を歩いていく。


最初の方は手間取ったけど、数時間ほどして賊に隠れ家──鉱山に辿り着く。



「作戦、開始──」

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