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7-61 会敵

 バレたか?それが最初に考えたことだった。


 酒が入ってるとはいえかなり響いた。多少酔っていたとはいえ不審に思われる可能性は十分にある。

 《空間把握(グラスプ)》でも大分怪しい反応になってる。


 なら──


「ここを曲がって真っ直ぐ行ったところに外に出れるドアがあります。そこから東に向かって歩いてください。途中で仲間と会えたらその仲間の指示に従ってください」

「わ、わかりました」


 バレた可能性があるなら早く逃がすべきだ。

 隷属魔術は聞いた限りだと発動した時点で負けが確定する。

 今捕まってた人はざっと数えただけでも三十人はいる。この人数をまとめて運ぶ手段はないから結局ある程度歩いてもらうしかないんだが、隷属魔術が発動すると自力で逃げれなくなる。


 その時点で作戦が崩壊する。


 だから隷属機を持ってるやつと捕まってる人を出会わせてはいけない。


 ……そして、できるならオウカも会わせたくない。

 確証はない。でも推測が正しければ──


「マルク!バレたかも!」

「分かった。ヒナは避難誘導に行ってくれ。足止めは俺がやる。オウカもヒナと一緒に避難誘導に行って欲しい。頼めるか?」

「分かりました。……一人で大丈夫ですか?」

「大丈夫だ。レイのおかげで魔力に余裕がある。それにいざとなったらベインが加勢しに来るだろ。まあ、まだ忙しそうな反応だけどな」


 ベインは別室で何かしてるらしい。こういうときはっきり状況を把握できないのが悔やまれる。

 まあ、利点はあるからいいんだけど。


「……分かりました。後で落ち合いましょう」

「だな。それじゃあ、また後で」


 一旦別れ、追手が来る方向へ向かう。


「来たか」


 反応が近づいてきたのと同時に光が真っ暗な廊下を照らす。


「あ"ぁ!?誰だテメェ!」

「ガキがンな時間に何の用だ!ブッ殺すぞ!」

「お前らが奴隷犯罪の首謀者か」

「ハァ!?お前奴隷どもに手ェ出したのか!?どこやりやがった!」

「答えるつもりはない。大人しく降参してくれ。手間はかけたくない」

「ンのクソガキがァ!!」


 降伏の意思は無いか。


 なら──


「ふっ!」

「ガッ──!?」


 大振りのパンチを屈んで躱し、顎をしたから突き上げ、突き出した腕を掴んで投げる。

 そして地面に転がったところを魔術で固めて拘束する。


 こいつらは後で騎士団に引き渡す。ここで殺すわけにはいかない。


「ぁ──」

「どうした?降伏するか?」

「に、逃げろ!」


 仲間が一人やられても助けず逃亡を選択か。

 そもそもナイフ程度の武器しか持たずに見に来たあたりかなり詰めが甘い。こんなやつらに何十人も連れ去られるとは、東はかなり警備と捜査が甘いように見える。


 レイの指輪を起動し、身体能力を底上げして追いかける。

 逃げたのは三人か。最初に盗み聞きした時は反応が四人あったから数は合うな。


「クソッ!クソッ!!来るなぁっ!!」

「大人しく檻の中で罪を償え。ふッ!」

「グッ──」


 逃げる男の後頭部を掴んで地面に叩きつける。そして気絶したみたいなのでそのまま固めて放置する。


「ふッ、ざけんなァ!!」

「遅い!」


 震える手でナイフを取り出す──が、手首を掴んでひねり揚げ組み伏せる。そしてそのまま固める。


 ナイフの使い方も判断も何もかも甘いし遅い。

 いや、そう思えるのはこの一ヶ月オウカに鍛えられたからかもしれないな。


「ひ、ひぃっ!」


 あと一人はそのまま走って逃げた。

 ……ちょっと方向がまずいな。このまま進まれると森の中に入る。見失うことは無いにしても戦いづらくなる。


 ……しかも近くにレイがいる。

 もしかしたら出くわすかもしれない。


 ……早めにかたをつけないとな。



 走る足に力と魔力を込める。ここで、絶対に捕まえる。

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