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7-49 東へ

 あれから一回部屋に戻って荷物をまとめることになった。


 出発はできるだけ早い方が良いが……五人となると足がない。

 そこで相談してみたところ、ギルド保有の馬車を一台貸してもらえることになった。

 しかも馬がただの馬じゃない、魔道具の馬だ。

 さらに荷車にはギルドの紋章があるので大抵の関所や検閲は顔パスらしい。


 私達の中に乗馬の心得がある人はいなかったのでありがたい。

 けどこんなものあったんだな……面白い。荷車のほうじゃなくて引く馬のほうを魔道具化するというのがいかにも異世界の発想で面白い。どんな術式なのか一回解析してみたいけど……流石にそんな時間はないかな。


 そうして荷造りをし、武器の手入れなど必要なことを済ませ、依頼が発行された三日後──


「それじゃあ、行ってきます」

「おう。頼んだぞ」


 大陸最北端の街、ラタトスクを離れて東を目指して旅に出る。

 推定だが、移動にかかる時間は一ヶ月ほど、悪天候に見舞われればもっとかかるだろう。


 しかし、拡張収納(マジックバッグ)と魔術の馬のお陰で大抵の不安や心配は払拭された。なので安心して旅に出れる。

 そんな安心感とまだ行ったことのない場所に行くという期待で胸を膨らましながら進んでいく。



















 あれから四十日が経った。

 昼は馬車で進み、夜は近場の宿か野営して夜が明けるのを待つ。そんな流れを繰り返しつつ東を目指して進んできた。


 その旅路は、平穏ではあったが色々あった。

 まず桜華から剣を学んだ。頼み込んだベインに桜華が応え、ついでにと私達も学び、結局四人揃って桜華から剣術を学んだ。

 ついでに桜華の魔術も教えてもらった。身体変化の魔術だ。


 端的に言うと、これは自分の望む姿に変形させる魔術みたいだ。

 より力の強い体を望めば筋肉が増え、より目の良い体を望めば目が変化して視力が良くなる。

 けどもとの体からかけ離れた変化をしようとするとその分体に負担がかかる。

 練習の一環で身長を伸ばしてみたけど、百六十センチから足がいたくて伸ばせなかった。


 ちなみに亜人みたいな特徴を作ろうとすると私じゃどうしても外付けのパーツが必要になる。

 まあ、もともと無い器官を作ろうとしてるんだから仕方ない。

 でもまあ氷で作れるパーツなら真似られるし、全く使えない訳じゃなさそうだな。


 まあ、結局のところ応用が効く強化魔術みたいな感じになるんじゃないかな?


「レイチェル、ちょっと見てくれませんか?」

「いいよ──うん、綺麗。これだけ作れたら十分じゃないかな」


 この一ヶ月と少しで桜華も強くなっていた。

 具体的には、水晶を使った物体の造形が上達してた。

 本人もあのガタガタのナマクラは思うところがあったらしく、ちゃんと造れるようにと練習していた。

 幸い、うちのパーティーは全員が魔術学校の出身だ。大抵のことなら答えられる。


 そんな環境が良い影響を与えたのか、今では刃文が見えるくらいには上手くなっていた。


「爪の造形も大丈夫かな」

「はい。というか自分で変化させるよりこっちの方が楽ですし切れ味もいいです。便利ですね、魔術というのは」

「それは聖遺物のお陰じゃないかな……」


 さらに私が外付けパーツを氷で造ったのをみて、負担がかからないよう水晶で代替するようにもなっていた。

 破損しても簡単に取り替えられるし、負担もかからないという理由で今は水晶の武器ばっかり使ってる。

 まあ、自分の思う通りに作れるのは便利だし当然といえば当然なんだろうな。


「レイ、そろそろじゃないか?」

「うん地図だとそろそろ平野に出て……それで街が見えるはず」

「やっとか……大陸東で一番でかい都市『ティアデルフィア』、どんな街なんだろうな」

「まあ、見てからのお楽しみになりそうだね。それじゃ──行こっか」


 全員乗り込んだのを確認して、馬を起動する。



 そうして私達は大陸東に現存する最大の都市、『ティアデルフィア』に到着した。

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