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7-45 隷属の対象

「はぁ……ちょっと脱線したな、話を戻そう。その記憶の条件が本当なら多少猶予がある。何か頼みや要求があるならできる限り応えるが……」

「そうですね……では、一つお願いがあります。この時代に亜人は生き残っているか調べてもらってもいいですか?」

「は?亜人って……急にどうしたんだ?」

「ああ、そういえばまだあなたには見せてませんでしたね」


 そういうと、桜華は変身を解き、もとの姿を見せる。


「は──ははっ、そうかそうきたか!」

「か、カイさん?」

「亜人関係でギルドで握ってる情報が一つ、俺が個人的に持ってる情報が一つある」

「!」


 カイさんが亜人の情報を持ってる?

 ついさっきまで桜華は自分が亜人であることを明かしてなかったはずだ。なのになんで先回りするように情報を持ってるんだろう?


「まず簡単な方から行こう。俺は個人的に亜人とつながりがある──いや、亜人の友人がいると言ったほうがわかりやすいかな」

「それは……どういう経緯で出会ったんですか?」


 単に気になったことを聞いてみる。

 実際この世界で生きてきて約十五年、亜人との関わりを持つ機会なんてなかった。秘密にするようなことじゃないなら聞いてみたい。


「街の外で行倒れてたのを拾った。ちなみにお前ら四人は会ったことあるぞ」

「え!?」


 まさか知り合いにいたとは……でも誰だ?私とカイさんの共通の知り合いなんてそこまで多くないけど……わかんないな……


「まあそいつは今度呼んでくる。話はその時にしよう。それで構わないか?」

「はい、構いません」

「それじゃ──二つ目、ギルドで握ってる情報だ。最近おかしな魔法陣と奴隷が出回ってるって話はしたな?」

「はい。この前聞きました」

「その情報がこっちに回ってきた。奴隷にされた子どもの中に、亜人が紛れてたらしい」

「それは……!」

「もちろん騎士団の方で保護してある。その出所も調べてるらしい。結果がでたら教えてもらう予定だ。今分かってる情報だけで良いなら資料があるが、いるか?」

「はい。私たちも力になれるかもしれないので、ぜひ」

「わかった。……あった、ほら」

「ありがとうございます」


 奴隷の中に亜人か……桜華の記憶でラギオンさんが同じようなことをいってた気がする。

 今でもその習慣が残ってるのか……?いや、単に差別の対象ということと奴隷というシステムが噛み合っただけかもしれない。


 まあ、なんにせよあまり気分の良い話じゃない。止められるなら今すぐにでも止めるべきだろう。


「とりあえず今提供できる情報はできったな。まだ例の魔方陣の解析もできてないし、奴隷を扱ってる組織の素性もわからん。分かり次第連絡はするが、もう少し時間がかかると思っておいてくれ」

「何から何までありがとうございます」

「気にしないでくれ。今は俺達が一方的に条件を押し付けてるようなものなんだ。この程度じゃ、まるで釣り合ってない」

「それこそ気にしちゃ駄目だと思います。組織として、この時代に生きる人として、仕方のないことだと思います」

「そうか……すまんな。とりあえず今日はここまでにしよう」


 カイさんに促されるまま今日の話し合いは解散となり、夕食を摂ることになった。


「はぁ……まさか奴隷に亜人が絡んでくるとはねぇ……」

「流石に予想外だったな。奴隷システムに差別、最悪なマッチポンプだな」

「ほんとにね……」

「……私にできることはないんでしょうか」

「今は難しいと思うよ。とにかく情報が足りてないもん。東区でそれっぽいやつらとでくわしたことあるけど、結局それきりでその後どうなったのかわからないし……明日東区に行ってみる?」

「……はい。少しでもやれることをしたいです」

「だね……とりあえず今日は無理だからゆっくり休んで明日に備えよっか」

「だな。あ、すいませんこれ追加で!」


 結局そのまま食べたいものを食べて、早めに寝て明日に備えることになった。


「……そういえば、(これ)しか今服持ってないんですけど……大丈夫だと思いますか?」

「……明日は服屋に行くところからかな……」



 ……早速心配が一つ増えたけど、まあなるようになるだろ。

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