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2-13 息抜き

 魔術の研究に打ち込む日々の中、いくつかのイベントがあった。


 その一つが両親(ルーク達)からの手紙だ。

 手紙の内容はこうだ。


『レイチェルへ


 学院には馴染めたでしょうか。まだ始まってそんなに経ってないですが元気であることを祈っています。

 第一志望の学科には合格できましたか?


 最初お父さんが条件を提案したあと、お母さんに話してきたの、危険な仕事だから無理な条件を設けて諦めさせる気だったんですって。


 でも、この二年でひたむきに頑張るレイチェルを見て気が変わったんですって。

 本気で夢を叶えるのを手伝いたいそうです。


 まあそういうことなのでお金とかそういった心配はしなくていいわ。だから、頑張ってね。


 ローラより』


 これが母さん(ローラ)からの手紙だった。

 父さん(ルーク)からの手紙も入っていた。


『レイチェルへ


 最初に記す。無理な条件を設けて悪かった。

 本当は危険な仕事だからほかの夢を追いかけてほしかったんだ。


 だけどこの二年、何度も図書館に通い、何時間も本と向き合うレイチェルを見て、自分がなんて愚かなことをしたんだと思った。

 娘は全力で夢を追いかけてるのに邪魔しようとするなんて馬鹿なことをしたんだと。


 だから戦魔術師(バトルメイジ)クラスに合格したにせよ何にせよ、自分の夢を追いかけなさい。

 応援は惜しまない。欲しいものがあったら何でも手紙に書きなさい。


 手始めにお小遣いをいくらか入れておいた。好きなように使いなさい。


 頑張れ

 ルークより』


 最後の不格好ながらも力強く書かれた『頑張れ』の一言に本気なんだという気持ちが感じられる。


 ああ、こんなに応援してくれてるんだ。中途半端なこと、できないな。


 ああ、なんで──なんで涙が出てくるんだ……


 うれしいな、やっぱり。応援してくれるって。

 ありがたいことだな、やっぱり。認めてくれるって。


 なおさら頑張らないとな。



 そうだ、手始めに手紙を返そう。

 手紙を出すと言って結局まだ出せていなかった。

 合格の連絡もしなきゃいけないしな。







 寮にもどり貴重な紙を取り出す。

 手紙を書くためにいくらか家から持ってきていたものだ。

 書き直しはできない。慎重に書かなきゃな。


 書く内容は……そうだな。


『父さん、母さんへ


 手紙ありがとう。元気貰ったよ。

 それと試験合格できた。無事戦魔術師(バトルメイジ)クラスに入れました。


 人数はやっぱり少なくて私含めて3人しかいません。

 けど全員冒険者になりたくて来たそうです。

 お小遣いは皆と一緒に大切に使います。


 やっぱり人はいないし大変な事も多いです。

 けど、頑張ります。

 今はまだこんなことしか書けないけど、いつか冒険者になってお金も稼いで夢を叶えます。

 待っててください。


 レイチェルより』



 こんな感じでどうだろう。紙があんまり無いから文章はあまり多くは書けなかった。

 けど近況報告も含めて簡潔にかけたと思う。

 ちゃんと届くと良いな。


 それと貰ったお小遣い結構入ってて銀貨が百五十枚に銅貨が百枚──日本円にして大体15000円。

 子供に渡すお小遣いとしてはかなりの額だ。

 これだけあれば大体のものが買えるだろう。


 手紙にも書いた通り二人を誘って買い物にでも行ってみよう。

 ちょうどいろいろあって今週は休みなかったけどその振替で明日からしばらく休みだし。


 治安もいいしきっと許可は降りるはずだ。

 ちょうど部屋に二人共いるし聞いてみるか。


「ねえ二人共、お小遣い貰ったから街に買い物に行ってみない?」

「ん?いいぞ」

「行きた〜い!」


 二つ返事で了承が返ってきた。


「夕食の時、行ってもいいか先生に聞いてみよう」


 マルクの言うとおり、あとはミシェルから許可を貰うだけだな。








「いいですよ」


 結構あっさり許可降りたな。


「ただし、条件があります。先生と一緒に行くことです」


 まあ、妥当なところか。

 小学生のみで街に行かせるのはいくら治安が良いとはいえ危ないし。


「それで何を買いたいんですか?」

「あ〜、それは」


 考えてなかった。行けばなんかあるだろと思ってた。

 とはいえ無くて困ったものはある。


 手紙書くために紙は買わなきゃいけないし、ミシェルがつかってるような髪ゴムやヘアピンが欲しい。

 要するに日用品を買いに行きたい。


「手紙を書きたいので紙を買いたいのと、服とか買いたいです」


 軽くごまかしながら伝える。

 当たり障りのない返事だ。


「いいですね〜。手紙ですか。マルク君とヒナちゃんは家に手紙出したりしないんですか?」

「そうですね、俺も書きたいので一緒に買いに行きたいですね」

「私も書きたい!」

「私も手紙を書きたい相手がいるので一緒に買いに行きましょう。その後はご飯食べたり洋服とか見に行きましょう。それじゃあ明日の朝9時までに校門に集合でいいですか?」

「はい」

「わかりました」

「は〜い!」


 結構あっさり、それも教師が乗り気で外出の予定が決まった。


 こうして息抜きは二日目に突入する。

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