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異世界の夢物語  作者: 藍本海


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2-11 魔術開発

 翌日朝八時半、ホームルームに授業開始の挨拶を済ませ体操服で運動場に来ていた。


 高火力の火属性魔術の対策として、先日の鬼ごっこのとき、凍気(フリーズ)で気温を下げるのは一定の効果があったように見える。


 それを元に手当たり次第構築し続けて掴んだ手がかり。

 空間把握(グラスプ)の魔力を一定に配置して新たな感覚器官とする部分、ソナーのような部分にする魔力を凍気(フリーズ)の冷気で代替して、相性の悪い属性の妨害と気温を下げることに加えて空間認識の補助をすることで自分に有利な状況を作り出す魔術を作る。


 それに加えて魔力の性質から他人の魔術に干渉できないという特性、これは私の推測だと逆説的にその空間が私の魔力で満たしていると相手の術は私の魔力に弾かれて陣の構築を妨害できるかもしれない。


 だからやることは陣を構築しては魔力を流し、術を発動させ改善点を探す。


 といっても失敗のほとんどはソナー代わりの冷気が上手くその場にとどまらず風で流れていってしまったことだ。


 涼しげな冷気の名残が残る中術は霧散してしまった。


「はあ……まあ分かってはいたけど、そう上手くは行かないよな……」


 還元のときもだが魔力は容器に入っていない水のように勝手に簡単に動いてしまう。

 冷気という形で放出してしまっては風の影響も受けるため、維持することができない。


 放出後の魔力の操作は練習次第で改善できるが屋外で使えないというのは致命的だ。

 改善策、探さないとな。


 新たな目標が定まり一段落ついたので時計を確認するともうそろそろ十一時だった。

 そろそろ授業の時間も終わるし戻らないとな。

 制服に着替えないといけないし。


 そういえば今日はずっと氷属性ばっかり試してたからか昨日ほど汗かいてないな。

 いちいちシャワー浴びるのも面倒だし、寮に戻る手間も省けてよかった。

 さっさと着替えて教室に戻ろう。












「今日は大丈夫だったか?」

「うん、今日はなんとか」

「良かったね!」

「ヒナはどうだった?」

「結構調子良さそうだったがどうだったんだ?」

「うん!実はもう完成しそうなの!」


 ……早いな、こっちはまだピースが足りないというのに。

 うーん、こっちも急がないとな。

 そのためにも。


「私今日は見学行かない」

「…意外だな。じゃあ今日はどうするんだ?」

「図書室の方で調べ物」

「そうか、必要な情報を集めるならそっちのほうがいいかもな。頑張れよ」

「うん、ありがとう」













 昼食を終え図書室に来る。

 昨日借りた本もついでに返却する。

 この時間は大抵の人が課外見学に行くから人は居ない。

 これなら何時間でも集中できそうだ。


 さて、今必要なピースは風で冷気が流れるのを防ぐ手段。

 それなら風魔術──それも風を操ることがメインの物だ。


 なら風属性の棚から数冊取って椅子に座る。

 風を操作する記述を探しながら文字に目を通す。



 ……駄目だ、風を操作する記述がないわけじゃない。

 しかし操作した結果攻撃するものばかりで俺も目的の環境を操作するようなものにはできない。


 うーん、探し方を変えるべきかな。

 この際複合魔術の本を目を通して探すか。


 複合魔術の記載、風、もしくは氷+αの属性の複合魔術を調べあげる。

 空間魔術も使えそうなのでそれも調べあげる。

 時間にして2時間次から次に本を変え、記述を読み込む。



 あった、これだ。

 今作りたい魔術の手がかりにできそうな魔術。

 風空間複合魔法《風域(ワインドフィールド)》。

 今作ろうとしてるものの冷気の風版だ。


 効果は空間把握(グラスプ)の等間隔で配置する魔力をゆっくり動かす風に変えることで風属性魔術の通りを良くしながらソナーとしての効果を増強する。


 なんだ、ほとんどこれが答えじゃん。

 これなら常に風を動かし続けてるから動かす速度を変えれば周りからの風の影響を軽減できるだろう。

 あとはこれに冷気を乗せて広げるだけ。

 答えは見つけたしそろそろ時間も遅いしそろそろ切り上げるか。


 新たな手がかり──ほとんど答えを手に寮に戻った。












 部屋に戻るとヒナがシャワーを浴びていた。


「レイチェル、収穫はどうだった?」

「手がかり、見つけたよ」

「そうか、収穫があったならよかった」

「マルクの方は?」

「俺はもう一押し、かな。今は魔道具の刻印技術に手がかりがありそうな気がするんだ」

「なるほど、頑張ってね」

「ああ、互いにな」

「うん」


 刻印技術、か。

 一体どんな方向で課題を解決しようとしてるのか。

 楽しみだな。


 その後はヒナの後に風呂に入らせてもらった。

 疲れて煮えきった頭と体にお湯が染みる。


 疲れを吹き飛ばした──といいたいがそんな簡単に疲れは消えたりしなかった。


 昨日と同じように3人で本を読もうと思ったのだが、睡魔に負けてしまったので早めに切り上げて寝ることにしてくれた。助かる。



 八日目朝八時半、同じように運動場で練習に入る。

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