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6-35 下準備

 濃紺のロングコートとインナーとスカート、あと見落としてたが一緒に用意してあったブーツに履き替え、更衣室を出る。


「とりあえず着てみました」

「おう、似合ってんじゃねぇか」


 似合ってるか似合ってないかという話なら、似合ってると思う。

 けど、今重要なのはそこじゃない。


「動き辛くないか?」

「はい、特には」


 最初はぶかぶかで動き辛いかと思ったけどボタン留めて腰回りの紐……というより帯?を締めたら胴と腰回りは体に密着するから特に邪魔にならない。


 けど余裕がないと苦しいところはしっかり余裕があるように作ってあるし、調整できるようになってるから苦しいとかもないし、思ってた以上に動きやすい。


 それに各所に取り付けられた金属パーツのおかげで強度も問題なさそうだし、ぶつけても痛くなさそうだ。


 ブーツも歩き辛くないし、むしろ歩きやすい。


 これ思った以上に考えて作ってあるぞ?


「なら良かった。まあなんかあったら手伝ってくれた服飾師呼んで直させるから、そんときゃ遠慮なく言えよ」

「わかりました。……あの、なんでこのデザインになったのか聞いてもいいですか?」

「ん?デザインに関しては俺の趣味じゃねぇから何とも言えないが……強いて言うなら、前情報で氷の魔術師で、幅広い武器を扱うってことを伝えた時収納は多いほうがいいかって話になったな。ほら、刀抜いたり杖に持ち替えたり、この前鉄球の魔道具作ってたし、咄嗟に手が届くところに引っ掛けるなりしまっとくなりできたほうがいいかもってな。左のポケットのところに鉄球用のホルダーが付いてるぞ、嵌めてみろ」

「あ、ほんとだ。……ぴったりです」

「動き回って落ちなさそうならいいんたが……」

「多分大丈夫です」

「そうか」


 やっぱしっかり考えられてたな……プロの仕事って凄い。


「あとは鎧の損傷具合から被弾、負傷は少なそうだったから布の面積増やして肌を守ったほうがいいって話もあったな」

「へぇ〜……」


 確かに目立った負傷はアルノーさんを庇ったときくらいだ。負傷を嫌う立ち回りをしてたのもあるだろうけど。

 やっぱよく見てるんだな……


「あと白髪白目ってのを伝えたら黒とか紺にすると素材が映えそうとか」

「え」

「氷の魔術師って言ったら寒そうだとか」

「んん……?」

「まあ服飾師の趣味もあるが実用的なのは確かだ。それは保証する」

「は、はぁ」


 ここまでの感心を返して欲しい。

 この世界の服飾師はそういう奴らしかいないのか?……いや、見た目も大事なのか?

 二人の装備も見た目は格好良く作ってあるし服飾が発達した背景も考えれば見た目に拘るのはある意味当たり前の事なのかもしれない。


「んじゃ、問題ないなら料金を回収するが……」

「俺は特に」

「私も〜!」

「ん〜……まあいっか。大丈夫です」

「そうか、なら一人金75ずつだ。お釣りはあるから白金からでもいいぞ」

「じゃあ白金から」

「俺も」

「私も」


 懐から白く輝く硬貨を一枚取り出し、丁寧に手渡す。


「はい、毎度あり。お釣りは金25ずつな」


 ダグラスさんは大量の硬貨が入ったケースを取り出し、三枚の白金をしまい、金貨を75枚丁寧に数えてから私たちに手渡す。


 その枚数があってるのを確認してから懐にしまい、新しく得た装備を丁寧に畳んで両手で抱える。


「それでは失礼します。夜分遅くにありがとうございました」

「気にすんな。もともと仕事の都合上おそくまで起きてるしな。あ、レイチェル、例の鉄球はもう少し待ってくれ、明後日にはできる」

「あ、すいません、ありがとうございます」


 そういえばヒナに魔導榴弾(マジックグレネード)を使わせると過剰火力で本体が融解して数が減っていくから補充を頼んでたんだった。


「それじゃ明後日受け取りに来ます」

「おう、待ってるぜ」

「ありがとうございます。それでは、失礼します」


 新しい装備を手に抱き、熱のこもる鍛冶場から出て各々自室を目指す。

 今日はもう出来ることがないので明日に備えて解散となった。



 行動を起こすための下準備は出来たし、今日はゆっくり寝よう……

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