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5-71 迷宮探索、第八階層探索開始

「え〜っと……ここはこっちで……あ、あれじゃない?」

「あれだな。どうする?降りてみるか?」


 八層へ続く階段の前で立ち止まり下を見る。


 相変わらずひび割れた石のタイル、その隙間から覗く土の荒れた床が見える。

 けどその光景が同じだからといって他も同じとは限らない。


 ここまで二桁以上の天風狼(スコル)と遭遇し、戦って消耗した状態で降りるのはそれなりにリスクが伴う。


 けど、それでも──


「すぐに引き返せる範囲で降りてみよう」


 リスクを受け入れ、先に進む判断をする。


 次の探索でより深く潜るためにも情報が欲しい。

 受け付けの人に聞いた限りだとあと三種類は精霊が確認されている。


 そして風精霊(シルフ)を見る限り同じように黒死狼(ブラックウルフ)に、いや、黒死狼(ブラックウルフ)に限らず何かしらの魔物に寄生してる可能性がある。

 そういう可能性も含めてできるだけ情報が欲しい。


 全員魔導榴弾(マジックグレネード)の扱いに慣れてきた頃合いだし多少のリスクは許容できる。


「準備はいい?」

「ああ」

「大丈夫だ」

「いつでも行けるよ!」

「わかった。……行こう」


 常時発動させている()()空間把握(グラスプ)》に加え、()()()()()()()()を増やす《空間把握(グラスプ)》を展開し、二重に察知ししながら階段を下る。


 最大限警戒しながら八層の床に足をつけ、魔力を全力で術式に乗せて広げ、自分を中心に半径三百メートルの範囲のありとあらゆる情報を脳みそに叩き込む。


「マルク、ベイン」

「ああ。結構近くに四匹、多分透光蜥蜴(インビジブルリザード)甲冑虫(アーマードビートル)が二匹ずついるな」

「俺も四匹分の足音と呼吸音が聞こえる」

「だよね……で、近づいてきてる?」

「いや……」

「近づいてきてるような足音じゃないな」

「だよね……あの察知能力は風精霊(シルフ)の固有の能力なのかもね」

「かもな。で、どうする?戦うか?今なら距離もあるし引き返せるが……」

「う〜ん……上にいるのと比べると色が違うのが気になるんだよね……精霊が入ってるとしたら色を視る限り多分火精霊(イフリート)地精霊(ノーム)かな?」

「色?あぁそうか、レイは視ることに特化して変質してるんだったな」

「で、推測するに赤と茶色か?」

「うん。透光蜥蜴(インビジブルリザード)は透明化せずに皮膚が赤くなってる。甲冑虫(アーマードビートル)は装甲が茶色にね」


 細かい情報を共有していく。

 四層のときの二の舞にはなりたくない。

 あのときは何とか対応できたからよかったもののこのレベルの階層だと命取りだ。


「火と地の精霊か……正直透光蜥蜴(インビジブルリザード)甲冑虫(アーマードビートル)だけなら余裕だろうが……」

「精霊の力がわかんないからね〜風精霊(シルフ)は溜めが大きかったから余裕で対処できたけど他の精霊がそうとは限らないし。まあなんとかなるとは思うけど」

「俺もヒナと同意見だ。戦っても勝つ見込みはあると思うぞ。最悪ヒナに魔導榴弾(マジックグレネード)を使わせて全部焼き払えばいい」


 んな力技な……でも正しいのか?

 実際私もあの火力なら層を一つまたいだくらいの魔物なら変わらず焼き払えると思う。


 戦ってみてもいいかもな……


「……戦ってみよう。ただ、すぐに撤退できるようにはしとこう」

「わかった」

「了解」

「了解!」


 各々武器を手に歩き出す。

 刀と剣を握り、杖に魔力を回し、いつでも放てるよう魔導榴弾(マジックグレネード)に魔力を込める。


 とくに切り札になるヒナが持ってるものと、予想される精霊と同じ属性のマルクのはより濃密な魔力を込めてもらう。


 《空間把握・二重展開グラスプ・デュアルエクスペンド》で行動を監視し続け、指の一本、毛先の動きまで見逃すことなく、完璧なタイミングを計る。


「三、二、一……行くよ!」

「ああ!」

「了解!」

「了解!」


 未知の魔物に向けて走り出す。


 どんな能力か、どんな対処をすればいいか、その全容は未だ闇の中だ。

 臨機応変に対応できなければ負傷者も出るだろう。



 だから、一部の隙もなく、全身全霊でかかる。

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