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5-61 迷宮探索、第七階層探索開始

「よし、それじゃ行こう」


 朝の六時、迷宮の前に立ち、そう宣言する。


「ああ」

「了解」

「了解!」


 いつもと同じやり取りを繰り返す。


 この光景にももう慣れたものだ。

 だから今回も安心……ではないな。余裕を持って、好奇心と興奮を胸のうちに秘め、この一歩を踏み出せる。


 好奇心と興奮、探究心とも呼べるものと共に、暗闇の中に足を運ぶ。


















「とりあえずここまでは来れたね。それじゃ、予定通り対迷宮石人(ラビュリンスゴーレム)の逃避案試してみよう」

「わかった。俺とヒナが破壊役でいいな?」

「うん。隙は作るから膝関節の破壊はお願い」

「任せて!全力の一撃を叩き込んで見せるから!」

「余力を少しでも残すための案だからね?ほどほどにお願い」

「は〜い!」

「レイもだぞ。俺も手伝うから背負い込みすぎるな」

「ありがとう。……それじゃ、行こう」


 《空間把握(グラスプ)》で事前に確認した最短ルートにいる迷宮石人(ラビュリンスゴーレム)に向かって走り出す。


 私たちの接近を感知したのか周囲の迷宮を吸収し、人の形を作る。


 ただ──遅い。


 感知範囲が狭いのもあってか既に走り出していた私たちが先を行く。


「《氷晶の槍(フロストジャベリン)》!」


 未完成な体に向けて、魔術で作り出した私の身体より数倍大きな槍を飛ばす。


 未完成で脆かったのか轟音と共に崩れる。


 ただ、(コア)を破壊したわけじゃないのですぐに再生を始める。


 ただこのペースなら……


「なんか今ので十分時間稼げそうだからこのまま走ろう!」

「あ、ああ!」

「了解!」

「了解……」


 いつでもいけるよう気構えてたせいか二人の反応が微妙な気が……

 けど目的を達成できるなら過剰破壊(オーバーキル)する必要はない……はず。


 今日は色々試したいことがある。こんなところで躓いてられない。

 その一心で回廊を駆け抜ける。


「はぁ──思ったより……」

「思ったより楽にいけたな」

「生まれたては脆いっぽい。思ったより楽に攻撃が通った」

「拍子抜けだったな……」

「もうあのままとどめ刺せばよかったのにぃ……」

「できるだけ体力魔力を残すための作戦だったからね……ごめんね」

「……いや、私こそ我儘言ってごめん」

「……よし!進もう!体力と魔力を残せても時間は有限だ。先を急ごう」

「……わかった。ありがとう」


 マルクが重い空気感を読んでか話題を変えてくれる。

 こういう時空気を読んで行動してくれるのはほんとありがたい限りだ。


 マルクに促されるまま足を進める。

 今回はさっきのを除いて迷宮石人(ラビュリンスゴーレム)と遭遇しなかったしかなりスムーズに進めている。

 お陰でもうすぐ七層と繋がる階段に着く。


「よし、今回と無事にたどり着けたね。とりあえず、はい」


 拡張収納(マジックバッグ)から魔術薬(ポーション)を取り出し、一人二本づつ、体力回復用と魔力回復用の二つを手渡していく。


 それを各々渋い顔をしながら飲み干す。私も飲む。

 空き瓶となったガラスの容器を回収し、一緒に水も渡す。


「よし、それじゃ行こう。前回の動きを視る限りこっちから近づかなくてもあっちから近づいてくると思う。そこを注意して」

「わかった」

「了解」

「了解!」


 警戒を強めながら階段を下る。

 そして七層の地面に足をつけたその瞬間──


「来るよ!」


 《空間把握(グラスプ)》で見つけていた天風狼(スコル)が動き始めた。

 その翔ける先には私たちがいる。

 間違いなく私たちを狙ってる。


 なら、このまま迎え撃つ!


「このまま接敵する!構えて!」

「わかった!」

「了解!」

「了解!」


 私の号令によって各々剣、刀、杖を抜き、構える。



 擬似的な対魔術師戦が始まる。

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